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上村元のひとりごと その512:ニーズ

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 使い道のない物は、買わない方がいい。

 つくづく、思いつつ、ため息をつきながら、片付けにいそしみます。

 みーにー。

 可愛らしく鳴きながら、愛猫ミントが、周りをうろつきます。

 ずっと溜め込んでいた、イヤホンやコード類、各種プレーヤーが、ふと、気になって、いざ。

 まとめて、選り分けることにしました。

 大半は、パソコンデスクの引き出しに詰まっていて、あちこち探さずに済むのは、楽ですが、見よ。

 この、埃とカビの山。

 とてもじゃないが、素手では、触れない。

 がっくりと、観念し、マスクにビニール手袋、アルコール除菌シートを携えて、出るわ、出るわ。

 怪しげな部品を、片っ端から、拭き上げます。

 ふんふん。

 すんすん。

 ぷひっ。

 ちゅふーん。

 エタノール臭が苦手と見えて、ミントは、顔をしかめて、きれいになった物の山を離れ、代わりに、洗濯不足で、いつも同じ匂いの、僕の服に、ぐりぐりと、鼻先をすりつけます。

 勢いで、四段ある引き出しの、全ての中身を空にして、ふーっ。

 マスク越し、大きな息を吐いて、あぐらをかき。

 ふぬんふー。

 ご機嫌で、よじ登ってくる愛猫を腹に、不用品のかたまりを、ぼんやり眺めます。

 …これ、全部、ゴミなんだな。

 もったいない話だ。

 でも、これを売り払ったら、もっと、もったいない。

 選ぶ目が、なくなる。

 使わなかったら、売ればいいやと、ゆるい気持ちで、どんどん、買ってしまう。

 使わなかったら、捨てるからな。

 なけなしのお金が、全部どぶ、ってことだからな。

 よく考えて、買うんだぞ。

 自分に言い聞かせるためにも、ここは、涙を飲んで、全処分。

 そうか。

 noteに、有料記事を書くにあたって、返金を受け付けるか否か、選べるのだが、やっぱり、返金不可にしよう。

 読んで下さる方に、たとえ、重量のない文章といえども、気に入らなかったら、返金すればいいやと、浪費溜め込みを促すような設定は、してはならない。

 ここは、涙を飲んで、禁返金。

 にーすふふーん。

 愛猫の、ぽさぽさの毛皮にくすぐられて、よろよろと、立ち上がり。

 大量の廃棄物を、小分けにして、部屋とゴミ捨て場を往復するのに、小一時間、かけました。

 すっきりと、からっぽになった引き出しに、風を通し、ついでに、廊下のクローゼットも、換気して。

 父の遺骨を、じいちゃんのラジオの脇に添え、形見のチェロを、壁に立てかけ。

 先代のiPhoneと、iPadを、それぞれ、電源に繫いで、バックアップとアップデートを行います。

 死んだままには、できません。

 手元に残すなら、なんとしてでも、使わないと。

 どんな形でもいい、あらゆる持ち物に、役割を。

 与えられなかったら、持ち主失格、それくらいの意気込みで、これからは、臨む次第です。それでは、また。

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