諧謔日記その11:2023年4月21日(金)のきろく

旧バラ荘という野毛にあるショットバーでサックスのTed秋山といっしょに演奏しました。
白石は横浜育ちなのでこのへんは庭でェ〜とかいう話をしたかったが、所詮学生とかいうクソガキと同じくらいの身分のときの話なので、野毛なんてダーティでアダルティな街には馴染みがなく、海側のバエバエでパリパリな方(俗に言うみなとみらい)しか知らないのであった。
みなとみらいの話する?高校時代からデートと言えば横浜駅から歩いてコスモワールドのあたりまで行って臨港パークに寄って海を見ながら語らってたよ〜なんて話がしたかったわけではありません今回。

せっかくTwitterと違って文字数に制限なく好き勝手に色々書けるんだから、セットリストといっしょにひとこと白石視点で曲解説とかできたら面白いじゃんね〜と思ったんですよ。ほな、やってみよか。

1:Fly Over the Horizon
ブラジルのアジムスというバンドの曲です。20年くらい前まで放送していたNHKラジオ番組「クロスオーバーイレブン」のテーマ曲だったことから親世代に知ってる人が多いらしいです。僕は最近まで全く知りませんでした。ゆったりとした4コードの循環に馴染みやすいメロディが乗ったシンプルなつくり。リラックスできる曲。簡単だからこそいくらでも脱線できて難しい曲でもある。

2:Just Friends
アメリカの作曲家ジョンクレナーが90年以上前に作った曲。いわゆるスタンダードナンバーとして広く親しまれているそうで、ジャズのセッションでもたびたび演奏される曲らしいが、セッション嫌いの白石には馴染みがなく今回初めて演奏しました。ツーファイブがいっぱいでジャズらしさが詰まっていますね。ストアへっぽくやりました。

3:Blue Bossa
セロニアスモンクやソニーロリンズのサイドマンとして活躍したトランペッターのケニードーハムによって作られしナンバー。白石は大学出るくらいまでミシェルカミロの曲だと思っていた。アンニュイ〜なかんじのアレンジで演奏したよ。

4:美貌の青空〜Crystal Silence
大好きなチックコリアの大好きなクリスタルサイレンスをソプラノサックスとローズピアノでやった!当日の思い付きで坂本龍一の大好きな美貌の青空をイントロにして繋げた。ふたりとも私の中に確実に生きているのだ。

5:Foot Prints
Ted秋山が敬愛するサックス奏者ウェインショーターのナンバー。こういうモーダルな曲は白石も大好物です。

6:All Blues
ジャズの歴史的名盤として圧倒的知名度を誇るマイルスデイヴィスのアルバム「カインドオブブルー」に収録された曲。自身の主宰するトリオでもアレンジを書いた大好きな曲です。どうしてもヨッシーアイランドのオープニングやホルストの木星を混ぜたくなってしまう。

7:I Thought About You
ジェームズヴァンヒューゼン作曲、ジョニーマーサー作詞のスタンダードナンバー。このふたりが遺したスタンダードはかなり多い!ヒットメーカーだったんですね。スタンダードやストアへを大して知らない白石ですが、この曲はジャズボーカリストの小森剛が歌っていた影響で馴染みがあります。(彼は中学の同級生だ!)遅〜いテンポのバラードにして、気儘なストライド奏法でたっぷり演奏した。

8:小さな空
日本を代表するクラシック音楽家である武満徹の有名な歌曲。童謡と言って差し障りのない素晴らしい曲だ。白石は高校生のころからこの曲が好きだ。白石にとってはこういう曲がスタンダードであるため、いままでも演奏する機会が多かったし、きっとこれからも演奏していくのだろう。

9:アンダーカレント
これは白石の作曲です。ナルトリオを始めてすぐのころに勢いに任せて作った曲なのですが評判がよく自己評価も高い曲なのでトリオやソロではよく演奏しています。デュオでやったのは初めてでした。7拍子で難しいはずなんだけどTedはよゆうそうでした、すごいね。やり慣れた自作曲だからか悩まず自由に弾けたし手応えも感じられたんだが、ほんとはどの曲もそれくらいの理解や愛を持って臨むべきなんだよなぁともおもう。

10:Feel Like Makin Love
イントロが鳴ると会場がものすごい歓声に包まれるような有名な曲でセッションのド定番になってるそうです。白石はずいぶん長い間マリーナショウの曲だと思ってました。オリジナルはマリーナショウでもジョージベンソンでもなくロバータフラックです。作曲はユージーンマクダニエル。こういうファンク系の曲をアコースティックでミニマルな編成で演奏するときはベーシストになりきって鍵盤を弾いています。たのしいね。

はい。こんなかんじでした。
さすが金曜夜の野毛、あちこちで人々が酒を飲んでおり愉快だった。演奏中にもふらっと来てババッと飲んでまた別の店に行くようなかんじの人が多くいた。外国人観光客もけっこういた。こういう活気が戻ってきているのは嬉しいことだなぁと供給する側の人間として思いますね。

ところでTed秋山って何者?という話もしておくべきだった。
ぼくは令和がはじまったくらいのころからTokyo Funk Federation(東京ファンク協会)というグループでキーボードを担当している。このTFFを立ち上げたのが、サックス奏者のTed秋山だ。
彼は確か1964年生まれ。たぶん父親と同い年だ。なんか大学でジャズ研に入ったとかだったかな。大手企業に就職して上海だか香港だかに赴任しているときに現地のミュージシャンや楽器好きの同僚なんかとバンドをやったりしていたらしい。そのころピアニスト小曽根真の通訳をやった経験からそっちの界隈の大御所と顔見知りだったりしていてこわい。で、よくしらないけど帰国して40歳を過ぎたあたりで音楽仲間を集めて設立したのがTFFだ。
TFFについて、普段どういうことをやっているだとか、どうして白石が加入したのかとか、そのへんのことはまたどこかで機会があったらいたします。

ライブ後には店の名物であるカイピリーニャをいただいた。ライムがはじけるせいでラム(厳密にはカシャッサでありラムとは全くの別物だそうです、しらなかった)がさわやかにゴクゴク飲めちゃうドリンクにメタモルフォーゼしており危険なかんじがしてよかったです。
最初から最後まで店にいて聞いてくれた人のなかに4人ほどTedの高校時代の同級生だという方がいた。白石は高校以前の同級生に今も親しい人間なんてほんのちょっとしかいないので、なんとなく「えーすごいなーいいなー」なんて言ったのだが、聞くところによるとナント「同級生だったけど当時は殆ど関りなくて、こうやって会うようになったのはここ10年とかそれくらいの話だよ」なんて具合なので本当に驚いた。Facebookで見つけたのをきっかけに交流が始まったのだそう。なるほど、おっさんおばさんになってから「出会い直す」ということもできるのだな。これには素直に面白そうだと思えたし、ほんのちょっと未来が明るくなったような気がした。

はい。今回はここまで。

おたより、想像の4倍くらい届いていてありがてぇ!めちゃくちゃ楽しく読ませてもらってます。ここで取り上げられそうなものに関してはタイミングを見てリリースさせていただきますので、気長に待っててね。

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