諧謔日記その17:2023年4月27日(木)のきろく

~まえがき~
今回の日記は4月29日には書き終えていたものの、なんかとくに理由なく公開を先送りにしていたものです。たぶんゼノブレイドやったりゴールデンウィークだったりゼルダやったりで忙しかったんだとおもう。知らないけど。
ということで、以下、4月27日に開催した「NARUTRIO ONEMAN LIVEその33」に関する記録です。


◆神楽坂u-maでNARUTRIO通算33回目のワンマンライブでした。

この日のライブに限らず、演奏中ってだいたいいつも「もっとできるだろうが~~~」と思っていらついています。ナルトリオはまだ途中でのんびり喋ったりできるから心穏やかにやれてるほうなのですが。たま~に「おっ、いまのはイメージした通りのことができたな」とか「何が起きたのかわかんなかったけど良かったよな?!」みたいな瞬間が訪れることがあります。それがあるから宝探しみたいで面白いんだと思えてはいますが、やっぱり演奏しながら内容に満足できることなんてないです。でも後日録音を聴き直すとびっくりするくらい良いんです。なんなんでしょうかね。もう10年くらいこんなことを繰り返しています。

◆セットリストとちょっとした解説
ここ3年くらいのナルトリオを依頼を受けて演奏することしかなく、プログラムはジャズのスタンダードや日本の歌謡曲のカバーがメインでしたが、この日は3年半ぶりの自主開催ライブということで、活動初期のころのようにオリジナル曲を中心に演奏しました。そのセットリストをちょっとした解説といっしょに記録しておきます。

1. アンダーカレント
変拍子だったりコード進行にちょっとした引っ掛けがあったりする難曲。7年前に音楽仲間が急逝したときに勢いで書いた。怒りや悲しみではなくやるせなさが原動力でした。
3人で集まって演奏する度に必ず演奏していますが、長い月日をかけてすこしずつすこしずつアレンジが変わってきました。過去のジブンに負けるまいと、こなれてしまわないように、こなしてしまわないように、挑戦する曲になっていると感じます。

2. 不思議の国のアリス(O.ウォレス)
広く知られたディズニー映画のナンバーです。浮遊感マシマシで一層不思議な雰囲気にするアレンジを書きました。メロディラインはそのままに、如何にダイアトニックから外れるか、トーナルセンターをぼかすか、というのを考えるのはなかなか楽しいところです。実演するのはまあまあたいへんですが。
かなりいい編曲ができた自覚があってお気に入りなので、アレンジャーとしての白石の顔も見せるべく採用した1曲でした。活動初期と比べるといわゆるスタンダードのアレンジを書くのも前向きにできるようになったなぁ。そのきっかけの話なんかもいつか書いておきたい。

3. Between Transparency And Sedecim
2014年3月、当時住んでいた横浜市の果ての深夜に自転車に乗っているときに思い付いた曲。この曲のことだけで3000字くらいの記事が書けそうな気がするくらい思い出深いのでそのうちどっかでちゃんと紹介したい。
ジブンの和声感を決定付けた重要な1曲だったと思います。『アンダーカレント』もそうだけど、きっと一生演奏していく曲なんだろうなぁ。

4. 祝電の音楽より第3楽章
これも7年前、トリオを結成してライブの予定を立てて、さぁバリバリ練習していくぞというタイミングでベース渡部とドラム小林の結婚報告を受けたショックで作った曲です。
比較的シンプルというか、白石の素直さみたいなところがよく出ている。何度か「ドラクエっぽい」とか「MOTHERっぽい」とか言われたけど全くその通り、幼いころからの好きな音楽たちの影響がよく出ています。

5. 景色
高校3年生のときに音楽科の非常勤講師としてやってきた本田武久というテノール歌手と出会いました。彼のこともまた書き出すと止まらないのでいつか書きたい。彼のレパートリーだった日本の童謡や唱歌のようなイメージで、彼が歌うことを想像しながら書いた曲でした。
・・・っていう背景を一切説明せずに、かをりさんに譜面だけ渡して書いてもらった歌詞があるのですが、これがほんとにもう、いちいち説明したくないくらいに良いんですよ~という話もしたいのですがそれはそれでまたの機会にいたします。
殆ど悩まず、それこそ鼻歌を歌うような感覚でテキトウにチャチャッと作った曲だったんですが、その手軽さに反する評判の良さでして、作ることの難しさというか、作り手と聞き手の感覚の差の面白さみたいのがよくわかった気になった曲でした。そういえばFFシリーズの植松先生もそういうこと言ってたよね、「あんなただのリックウェイクマンのパクリの高速アルべジオが神曲とか言われちゃってさ笑」みたいなね、あ~また脱線しちゃったね、やめやめ。

6. けけジャズ(戸高一生)
2001年4月に任天堂から発売された『どうぶつの森』に登場するナンバー。ゲーム中ではシンガーソングライター犬が弾き語りで演奏するものと、おうちの中でラジカセで聞けるインストのものがあるのですが、その両方をミックスさせていわゆるストレートアヘッドなジャズの枠に当てはめるようにアレンジを書きました。
作曲者の戸高一生は『どうぶつの森』シリーズ以外にも『ヨッシストーリー』『マリオペイント』『スーパーマリオランド2 6つの金貨』『ゼルダの伝説 夢を見る島』『カエルの為に鐘は鳴る』などで作曲を担当していて、どの作品も本当に幼いころから大好きなものでかなり影響を受けています。

7. ブルースカイトリップ#2
トリオを結成した7年前に作ったものの、ちょっと難しすぎるよね~つってなかなか人前で演奏できずにいた曲。拍子や調性の変化が多く展開も忙しく、作曲時に楽器を使ってないせいもあり指馴染がわるく、たいへん。パッと聞いたところは難しいかんじがしないのも厄介なところ。でもほんといい曲なんだよな~ってドラム小林がうるさいので採用した1曲。ありがたいね。
まぁたいへんだったけど昔ほど難しくは感じなかったしちょっと3人でしっかり練習すればすぐできるようになるだろ、という気がした。けど冷静に楽譜見るとすげー難しいよ、なんでみんなできてるんだろ?すごいね。

8. 平凡な人生
「おわりよければすべてよし」なハッピーでC調なナンバー。実際ハ長調です。ハッピーエンドで暗転したスクリーンにスタッフロールが流れているようなイメージ。
なんとなくネガティブなかんじのする題だが「人生にはドラマがつきもので、誰もがドラマを持っていて、それは並べて眺めりゃ平凡で、ようするに、みんなそうだよ、人生いろいろあるのが当たり前だよ、なんとかなるよ」という話です。実は高校時代には出来ていた曲。たぶん当時のジブンは誰かに「人生いろいろあるけど大丈夫だよなんとかなるよ」って言ってほしかったんだろうなぁ。
山あり谷ありな人生をテーマとアドリブで表現しています。テキトウな鼻歌みてぇなメロディだったり、ちょっと悩ましかったり、「な~んちゃって」なんて言ってるようでもあり、急にワ~ッて喋りだしたり、『亜麻色の髪の乙女』がふらりと通り過ぎたりね。複合変拍子に見せかけて実は徹頭徹尾4拍子なのもポイントなんですけど、我々自身も騙されることがあったりしちゃって、でも「それもまた人生ってことで」とか言ってちゃんと練習しないようにしてます。で、最後はチャンチャン♪よかったね♪と終わるのでした。

おまけ. テイクファイブ(P.デスモンド)
時間押し気味だったからアンコールやりませんって明言したのにも関わらず会場一杯鳴り止まぬ拍手と、会場のマスターの「時間は気にしないでいいからやってください」という耳打ちによって実現した幻のアンコールでした本当にありがとうございました。
この曲もトリオ結成当初からずっと演奏してます。初ライブでも1曲目に演奏しました。ジャズなんて普段聞かんぞという人でも聞いたことあるであろう「世界一有名な5拍子」の曲です。白石はこれを5拍子じゃないアレンジにしています。5拍子じゃなくて何拍子なんだと言われてもマジで何だかわからない感覚的な拍子になっているので、これは我々にしか演奏できないアレンジになっているのかも。拍子だけじゃなくて調性も和声もジブンの好きなように付け直しています。アドリブも結成当初はモード意識のワンコードでしたが近年はポリトーナルなかんじになってきていて面白いです。

(作った曲のことより、好きな曲をどうアレンジしたかを解説するほうが楽しいなって思ったよ、いま。)

◆ナルトリオのこれから・・・?
近年のナルトリオのことについては第5回の日記で書いた。

「久々のライブに挑むことで何か変わるのかな」という話で終わった日記だったわけだが、まぁ結論から言うとやっぱり別に変わることはないのかなと思った。
抑々の話になるが、やっぱりぼくはなんというか「演奏するから聞いてほしい、見てほしい」みたいに思うことが全然ない。普段仕事で作ってる音楽だって、なんなら「聴かれることを目的にとしていない音楽」だし。作りたいものを作っているだけで、みんなに聞いてほしいとは思わない。聞きたいひとが聞いてくれればうれしいし、こっちが望まなくたって聞いているひとは聞いているということを知っている。届くべくひとには届いているのだと思っている。
トリオなど仲間と演奏することだって同じことだ。信頼する仲間といっしょに演奏するのが楽しかったり、演奏することで仲間の役に立てるのがうれしかったりするだけだ。もちろん態々お金や時間や体を使って会場に来てくれるひとがいることは本当にありがたいと思っているし、リスナーにとっての選択肢になれているのならばそれはとても光栄なことだ。でも、やっぱりぼく個人の根っこの部分では「売れたい」とか「観客を喜ばせたい」みたいなことはすこしだって考えようと思わないのだ。
というわけで、「今回のライブを皮切りに、今後はガンガン人前に出て演奏することにしました~」なんて言うことはありません。今後も変わらず、声が掛かればよろこんで舞台に立つ所存です。

◆ナルトリオは日本全国どこでも出張演奏いたします!
まぁ「顎足枕がいただければ」という注は付きますが。でもマジで顎足枕さえいただけるのであれば全国どこでも伺います。音楽ホールに限らず学校とか老人ホームとか個人宅とか、電気が使えるところならどこでも楽器を持って行って演奏できます。ぜひお気軽にお呼びください。よろこんでお引き受けいたします。当然のようにノルマを突き付けてくるライブハウスやイベンターの方はごめんなさい。今回はここまで。

~あとがき~
そういえばこの日のライブのもようをドラムの真也ピが定点カメラで記録してくれてて、なんか「イイカンジの曲切り抜いて動画上げるとかしませんか」みたいなこと言うので、まぁそういうかんじになりまして、今夜YouTubeに動画が上がるようにしてもらいました。うpされたらTwitterでなんかそれっぽいこと言う予定だから(ゼルダやってて忘れたらゴメン)テキトウにチェックしてみてね。

これはなんですか。常に最新のツイットが表示される仕組みですか。はずかしいですね。今回はここまで。


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