諧謔日記その45:2023年12月30日のきろく

惑星アブノーマルのワンマンライブにピアノとアレンジで参加しました。

惑星アブノーマルはTANEKOのソロプロジェクトで、バチバチの打ち込みやバンドサウンドのトラックを使ってバリバリ歌うパワフルでワンダーな楽曲を発表している。ぼくが知る限りでは彼女のライブは同期音源を用いたバンド編成で行うものだったので、ぼくはバンドの一員としてキーボードを弾くものだと思って出演の依頼を引き受けたのだが、Twitterに投稿されたこのワンマンライブの告知を見て椅子から転げ落ちてしまった。
「今年はふたりでやります!」
聞いてない、聞いてない。

彼女が所属するSHACALANDAというユニットがある。そこではぼくが所属しているオワリズム弁慶という大所帯バンドで活動を共にするギタリストの世古ちゃんが曲を作ったりギターを弾いたり喋ったりしているため、そのつながりを辿ることでTANEKOと惑星アブノーマルのことはそこそこ前から知っていた。2022年末、SHACALANDAが企画するライブイベントを見に行こうと思っていたら、(開催直前になってなんか色々あって)nameshopというこれまたぼくが長いことやってるアコースティックプログレッシブポップデュオ(何)で出演することになった。TANEKOと直接会って話をしたのは、そのときがはじめてだった。
彼女はnameshopの演奏をめちゃくちゃ気に入ってくれて、ぼくに「今度どっかしらでいっしょに演奏してほしい」と連絡を寄越した。実際に2023年6月にSHACALANDAのアコースティックライブにキーボードで参加する機会をもらってすぐに共演が叶ったのだった。

「今年はふたりでやります!」
オイどういうことだ!?!??と慌てるぼくにTANEKOは「アレ、言ってなかったっけ笑」とかいう具合にとぼける。ふざけやがって。そして詳しく考えていることを伺うと、同期音源を使う一部の曲を除く全ての曲をほんとにふたりだけで演奏したいのだと言う。
察するにTANEKOはあのときのアコースティックサウンドで味を占めたのだろう。SHACALANDAではなく惑星アブノーマルという彼女自身のプロジェクトで白石(ぼく)を使ったら面白いと思ったに違いない。
これはぼくにとって一大事だった。何故ならば、そこそこの数の曲のアレンジを一任されているから。あれだけバキバキにキマった曲たちを歌とピアノというミニマルな編成でどう聞かせられるだろうか。同期を使う曲に関しても、ぼくなんかよりずっと前から彼女の曲を聴いているお客様を前にどれだけやれるのだろうか。それ以前にまず、舞台に立つ者としてぼくよりもずっとキャリアも実績もある彼女を満足させられるだろうか。そんな不安を抱えたまま、唐突に、年末に向けて大きなプロジェクトを走らせることになった。

11月初頭、仮のセットリストと資料の譜面が送られてきた。暇を見付けては曲を聴いて体に馴染ませる。しかし本当に全曲もれなく素晴らしいこと!繰り返し聴いてはピアノ1台でどんな伴奏を付けられるかを妄想する。
一旦TANEKOとふたりで通話して、各曲をどんなふうにしたいか、どんなことができるかを相談する。ここで大方の方向性が決まり、ようやくプレッシャーが楽しみに変わっていくのを感じることができた。結局このとき決めたことが本番まで殆ど変更なく突き進む指針となった。

11月中旬、数曲アレンジが書けた段階でひとまずいっしょに演奏してみる。ここでTANEKOがものすごく喜んでくれたので、ようやく最初の壁を突破した実感を得る。惑星アブノーマルに慣れ親しんだお客様方に受け入れてもらえるだろうかという不安はずっと残っていたが・・・。
この初合わせの際に、なんかお菓子とかコーヒーを飲み食いしながら、お互いが影響を受けた音楽のことについて話した。なんとなく聞いていた話ではあったが、共通するルーツが多くあって大変盛り上がった。「そうだよな、こういうの大好きだったよな」という気持ちをジャンジャン出していこうと思うきっかけになる重要な出来事だった。
そこからはもうやるだけだった。どんどんアレンジを仕上げて、同期を使う曲は聴き込んでおく、それだけ。とはいえ、例年以上に作編曲や演奏の仕事が多く忙しない日々だったので、それらと並行してこのプロジェクトのことを考え続けるのはそこそこ大変だった。いろんな仕事や舞台を終えてもちっとも頭が休まらないかんじは久々だったように思う。

本番の10日くらい前に2度目の合わせをした。このときにはもうアレンジは書き上がってるし、同期曲もバッチリ暗譜できていた。(曲の作りがしっかりしていることに加え、先述したような共通のルーツを感じられるような曲はとくに暗譜が容易だった。そして弾いていて楽しい!)
残る不安はこれがお客様に受け入れてもらえるのかということだけ。という話をTANEKOにしたら「あなたは自己評価が低すぎるわよ!??」と言われたのが印象的でした。
この日は打ち合わせ後に急遽TANEKOのインスタライブに参加することに。配信を始める前に何をするのかたずねると「ライブで喋る練習!曲もやりたい」とか言う。やる曲を決めるも「歌詞が検索しても出てこなくて歌えない」とか言う。ジブンの曲なのに。そんなこんなで配信が始まって、ふたりの馴れ初めとかそのへんの話をコーヒー(白石が淹れた)やティラミス(TANEKOが買ってきた)を飲み食いしながらたっぷり58分くらいしたのち、「やばいあと2分で配信止まっちゃう!」と騒ぎ、「ライブで披露する予定の曲を途中まで演奏して、続きは12月30日に〜ってことにしよ!」と言って始めた『人生はロマンティック』は1番のサビ前に終わりました。楽しかったね。

本番数日前にスタジオに入り最終リハーサルを行った。ぼくはこれまでに用意したものを確認するだけだったが、TANEKOはずっと流す音源の調節を念入りにやっていた。「何よ、なんなのよこのディレイピアノとかいうトラックは」とか「どうしてアンタの音が鳴っちゃってるよ」とか「このギターは何、どうしてこんなところにいるの」とかいうことをずっとパソコンに向かって喋っていた。オンマイクで。愉快なやつ。

そんな具合で本番当日には準備万端、舞台で力を発揮するだけだ!と意気込んだ。大好きなミスドで大好きなエンゼルフレンチを食べて、集中するためのおまじないとしてライブ前に必ず食べる森永ラムネを頬張って開演に備える。楽屋ではTANEKOとカメラマンの美澄ちゃんがキャッキャしながら私をメイクアップしてくれました。「目元にラメ塗っちゃいましょ!」「あんた涙袋チャーミングなんだから強調していくわよ!」「やだ~かわいい~!」とか言ってほんとに楽しそうにしてやがりました。

ここからはセットリストに沿って、アレンジャーあるいはプレイヤーとして具体的にどんな仕事をしたのかを記録していく。

1.人生はロマンティック
いい曲なんだわ!かなり好きです。原曲はすごく元気にドンツコドンツコしてるけど、弾き語りっぽさをたいせつにしっとりとした雰囲気にアレンジしました。アレンジの方向性を決めるときに「矢野顕子みたいにしていい?」っていう確認をしました。実際にジブンで歌いながらピアノを弾いて譜面を書いた。参考として矢野顕子の『SUPER FOLK SONG』や『はじめての矢野顕子』あたりを聴き直しました。この曲を1曲目にやったら今回の雰囲気を一発で説明できるかんじがして良さそうだよな~と思っていたら、TANEKOも同様に考えていたらしく1曲目に置いてくれていました。
イントロや間奏は自由に作らせてもらった。歌に添えるコードの認識も全面的に見直した。原曲のような賑やかなバンドサウンドだと殆ど気にならないような音のぶつかりも、歌とピアノだけで鳴らすとかなり濁って聞こえてしまう。そのあたりの整頓がメインだったかなぁ。あと、これはジブンの信条として全曲共通のルールにしてることがある。それは「同じことを弾かない」ということ。1番と2番とか、いわゆるラスサビとか、1曲のなかで同じメロディが出てくることは多いのだが、ここで毎度違う伴奏をしよう、ということだ。同じ和音でもリズムを変えてみたり、オクターブを変えてみたり(ボイシングを変える、とか言います)、あるいはぜんぜん違う和音にしてみたり(リハーモナイズする、とか言います)、といったことをマジで全曲でやってます。歌詞が変わるだけじゃ退屈しちゃうもんね。

2.無双
TANEKOってこうだよな~というようなバッキバキの原曲が好きです。マジでボーカルとして戸川純くらいのふり幅が出てる曲だとおもう。すごい。
デュオでやるのに際してはロシア民謡のコロブチカみたいな軽快なアレンジにしてみました。トビーフォックスの『Bonetrousle』や東京事変の『母国情緒』なんかも参考にした。
原曲にあるイントロアウトロのシンセのフレーズはTANEKOに弾いてもらいました。SHACALANDAのライブで彼女が5秒くらいだけMIDIキーボードを押してるのを見ていたので、てっきり普通に弾けるもんだと思って「TANEKOシンセ弾かない?」と聞いてみたら「できるかわかんないけどやりたい」と即答するのでやってもらいました。そのせいで彼女は余計に苦労することになったのだろう、というのはまた別の曲のおはなし・・・。(ちなみにアウトロでシンセ弾き忘れて慌ててフレーズを歌ってましたね、あれよかった。)

3.臆病者ラプソディー
この曲は「原曲の雰囲気を残してやりたい」とTANEKOからリクエストがありました。原曲は楽器こそ多いもののかなりアコースティックでクールなサウンドだったので、ピアノだけでコードとリズムを出すだけで十分成立しそうだったので作りやすかった。ただリハモは念入りに設計した。けど割とその場の雰囲気で伴奏を付けても面白いタイプの曲だと思ったので、ざっくりコードネームだけ書き換えて、あとはかなり自由に弾きました。今回のライブでいちばん自由度の高い曲だったと思うし、とりわけ「最近のジブン」を投影するだけで成立させられるので気合いが入った。アウトロはひとりきりで2分くらいずっとアドリブを弾いた。いい空気が作れていたと思う。昔から好きだった音楽もごく最近好きで聴いている音楽もしっかりアウトプットにできたと思う。

4.ぬすっと
今回のプロジェクトが始まったとき、最初にこの曲の原曲を聴いてけっこう衝撃を受けた。こんな曲作って歌ってるアーティストを相手にしてんのか私は?!と思った。けどアレンジは一瞬で浮かんですぐ書けた。原曲のバキバキでイケイケなかんじをピアノでやってやるぞ~となった。間奏ではTANEKOにシンセでベースを弾いてもらって、その上でピアノがアドリブを取るつくりにした。ベースは4小節1ループのフレーズを一生弾いてもらうだけにして、彼女が家で練習できるようにマイナスワンの音源を作ってあげたのだが、これが想像の4倍くらい難して笑った。ドラムがいなくてクリックも使ってないので、ベースがドラムの役割も担うことになっていてただでさえ大変なのに、そこにフレーズも付いている上に、ピアノはすぐ半分のテンポで取ってスウィングしたり元のフィーリングに戻るとポリリズムを仕掛けてきたりするわけですよ。ひょっとすると今回演奏で一番苦労したのはここだったんじゃないかな。すいませんでした。楽しかったです。
アレンジを書く前に、原曲で鳴っているコードを徹底的に解析する作業を必ずやるようにしています。メロディと和音の関係を知ること(作者が元々どういうことを意図して音を並べているのかを探ること)は絶対に省けない作業です。この曲は解析の結果「なんでこのメロに対してこの和音が違和感なく聞こえるんだ?」という箇所が特に多かった。理屈ではどう解釈しても間違った音の積み方がされている、でも解析するまで一切気付かなかった、これは一体?という具合だ。もちろん理論なぞ感覚を説明する共通言語に過ぎないので、感覚的に違和感がなければなんでもオッケーという話であるのだが、TANEKOの曲は「理論で説明できるかっこよさ」と「理論で説明できないかっこよさ」の両方があるケースが多い。この両方を併せ持つ人はけっこう珍しいと思う。これは彼女の感覚が良い(たぶんシンプルに「耳が良い」と言って問題ないと思うが)ということなのだろうなぁ。

5.BE P!NK
これも原曲好き好きシリーズ。妙に元気出る。細かく色々鳴ってるけど不必要な音がぜんぜんないとこもポイント高い。あと「夢に落ちたら君に会える こんな所までありがとう」っていう歌詞すごくない?
この曲は「いつもの惑星アブノーマル」を見せるべく、同期トラックを使った演奏をした。原曲から歌とピアノを抜いたものを流して、我々はそれに乗せて歌ったりピアノを弾いたりする形だ。ピアノはまず原曲をしっかり聴いて、絶対に原曲通り弾くべき箇所と、大事な要素をおさえて好きに弾く箇所と、ほんとにジブンの感覚で勝手に弾いちゃう箇所を把握する作業から始めました。その上でテキトウに譜面をバババッと書き上げるころには曲の構造や鳴らすべき音が頭の中で整頓されているので、とくに練習なぞやらんでもバッチリ楽しくできました。これは私が演奏家としてそこそこちゃんとしてるからでもあるし、それだけ曲がしっかりできてるから馴染むということでもある。また先にちらと触れた話と被るところだが、やはり共通のルーツが分かっているので、原曲にないようなテンションを積んだりしてみてもお互いが「それいいね」「これいいでしょ」ってなるのが面白かった。これはお客様の中にも「(同期流す曲も)ピアノが新鮮だった」と言ってくださる方がいらして、してやったり、という気分でしたわよ。

6.祈り
今回一番アレンジに悩んだ曲。ピアノだけで原曲っぽさを再現するのが難しい部類だと感じていたので、いっそ思い切り伴奏の音数を減らして歌を聴かせるアレンジにしようという方向で作っていった。
前半は原曲にあるような刻みを全て省いて白玉で和音を出す程度に留め、後半もジャカジャカ弾くよりは静かに燃える青い炎のようなイメージでラテンテイストのものにした。ラテン要素は当初はルーベンゴンザレスやミシェルカミロのようなキューバ系のリズムを意識したものだったが、リハを重ねる度にちょっとずつ南下して最終的にはミロンガ風の伴奏になっていきました。いっぱい弾きたくなるところを抑えて抑えてぐいぐい推進させるかんじはここ数年身に付けたいと意識していた伴奏のスタイルでした。
リハモも試行錯誤が多かった。とくにサビの進行は元々がなかなか癖強だったので他の曲と比べると書き換えづらかった。それでも4つくらい案を書いて、実際に歌ってもらってどれを使うか決めるような比較的細かい作業をしました。それでも中間に尺が決まってない語りが入ったりするおかげでセッション感の強い曲にできたのは良かったですね、やっぱりその時々の空気に応じた演奏がしたいですから。

7.怠惰
こ~れも原曲好きですわ、バンド始めたくらいの頃ってマジでこういうの大好きだったよなぁという感じがしてさぁ。でTANEKOのボーカルとしての表現の幅の広さも堪能できる曲です。「新東名にて置き去りにしてよ 好きなの朝焼けが」ってとこ痺れるよね。なんていうか、ぼくラーメンの”丼一杯で完結する世界観”が好きなんですけど、それに近い1曲だと思います。わかりづらいね。
そしてこれも歌とピアノ抜きの同期音源を使う曲でした。原曲はピアノがけっこう忙しいのですが、ほんとに昔マジで絶対めちゃ得意だったようなかんじすぎて、もうね、よゆうの楽勝でしたよ、冗談じゃなくて「いままで生きていられてよかった~!」みたいな気持ちで弾いてました。
余談だけど、今回資料として全曲の譜面をいただきました。譜面と言ってもリードシートのような尺や構成とコードネームが書いてある程度のもので、けっこう貴重な資料だったと思われます。ただこの曲だけはそれがなく、「ネットで調べて出てきたコード」が送られてきたので笑いました。すごいよな、こいつレベルになるとググればそういうのが出てくるんだぜ。ふざけやがってな。

8.2つの約束(新曲)
初演の新曲でした。なんか2022年末にTANEKOひとりきりでやったワンマンライブで「来年は新曲やります」って宣言しちゃったんだって。でもなかなか作れなくて悩んでたみたいなんですけど、数曲書きつつも以前から温めていたこの曲を解き放つことにしたんだそうです。ぼくの所に音源や資料が送られてきたのが本番の1週間くらい前で、同期音源は本番当日のサウンドチェックのときまで調整していたので、ほんとにギリギリまで頑張ってたんです。
打ち込みならではのノリがフラットなドラムとベースから生まれるドライブ感がキノピオハイウェイみたいでクールだったよな。TANEKOは「チープじゃないかな~」と不安がっていたけど、1曲こういうのがある分にゃプラスにしか働かないでしょ~という話をしてそのまま使ってもらいました。ぼくはいい判断だったと思ってるぜ。
ピアノは原曲を完コピしつつもこっそりリハモしたりテンションを足したりしてスパイスになるようにしました。こういう「そんなん誰が気付くの」みたいなことをこっそり仕込むのもぼくは大好きです。ジブンが楽しいので。

9.ひとりになれない
原曲でギターを担当した世古ちゃんをゲストに迎えての演奏。同期音源も使ってもうほぼSHACALANDAじゃねーか!
世古ちゃんは弁慶で演奏してるときもそうなんだけど、いっつも「いいテキトウ」をやってるんですよね。おいおいなんだそれふざけてんのか!みたいなフレーズがよく出てくる。けどちゃんとサウンドするのはリズムを絶対に外さない技術と、ほんとに誰かの邪魔になるところではそういうことをしない耳の良さと育ちの良さがある。ぼくは彼のそういう絶えないチャレンジ精神みたいなものに勇気をもらっている。「もっと自由で大丈夫だろ」というマインドを育ててくれている。ギタリストの友達なんだけど、尊敬するミュージシャンでもあるんです。いっしょに演奏できて嬉しかったッス。
そういえばこの曲と『怠惰』は同期を流しながらも歌とピアノだけになる箇所があるので、ふつうならクリックを聴いて演奏するところでした。が、16拍程度ならね、そんなんなくても楽勝でしたね!!!!(そんなに自信なかったけどやってみたらぜんぜん問題なくできてたので私のタイム感はそれなりにはいけてることが分かってよかったです~という話でした。)

10.愛してやまない
今回のプロジェクトが始まっていちばん最初にアレンジを書いたのがこの曲でした。比較的つくりがシンプルで、とくにメロディのモチーフの繰り返しを聴いて「これはリハモしやすそう」と思って手を付けやすかったのを覚えています。この曲はとくにリハモを施しまくっていて、Aメロもサビも登場する度必ずぜんぜん違うコード進行になるようにして、同じメロディなのに聞こえ方が変わり続けるというね、拙い恋をしているときの浮遊感というか情緒不安定なかんじをイメージしたアレンジなのでした。これは初合わせの際にTANEKOが「リハモすごいね、私これ作ってた頃にこのリハモやられてたら打ちのめされてたと思う」と言っていました。恐れ多いですね。
そういえばTANEKOは曲の資料として歌詞は教えてくれないタイプのひとでした。これは悪口じゃないよ!演奏や編曲を依頼するのに資料として歌詞を送ってくれるひとと送ってくれないひとがいて、送ってくれるひとの中でも歌詞の内容について説明してくれるひとと「一応送っといた」くらいのひととに分かれます。歌詞や物語に沿った編曲や伴奏をしてほしいという考え方と、サウンドはサウンドで導かれる場所があるという考え方があるのかなぁとぼくは思っています。TANEKOが歌詞をシェアしなかったのが意図的なものだったのかはわかりませんが、少なくともぼくは「歌詞に引っ張られずサウンド的に面白いと思う所を目指してくれ」ということなのだろうと解釈して作っていました。

以上です。アンコールは客席に出て見てました。やっぱり客観的にTANEKOを見てると「えっ私ついさっきまであそこでピアノ弾いてたのか・・・」という気になりました。

終演後に見に来てくれた友人たちに感想を聞いて回っていたら、惑星アブノーマルやSHACALANDAをずっと応援してくれているお客様方がぼくの所にやってきて、色々と感想を話してくれたり、アレンジのことを質問してくれたりして、そのときようやくジブンのやってきたことが受け入れられた実感を得られた。ちゃんと届いた。
これでやっと夏の終わりごろからずっと休みなく続いていた仕事に一段落がついた。充足感でいっぱいだった。今回ばかりはジブンを褒めてやるべきだ。電車のドアが開くたびにどこかしらから聞こえてくる「よいお年を」という声に耳を傾ける。2023年がおわる!帰って風呂に入って気絶するみてぇに30時間くらい寝た。お疲れさまでした。今回はここまで。


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