諧謔日記その53:ワイヤレスヘッドホン比較したった回

  大学生になって電車に乗る時間が増えたことをきっかけに、移動時間にできることを考えるようになった。結果として本を読んだり日記を書いたり五線紙に音符を並べてみたりするようになった。
  ぼくは音楽を聴くことが好きだが、ガシャガシャうるさい電車内で音楽を聴くことは諦めていた。ちゃんと聴くには騒音に負けない音量を耳元で鳴らす必要があるが、それはあまりにも耳に悪いし、きっとまわりにも迷惑だろうから。抑々ちゃんと音楽が聞こえたとしても噪音が強すぎてとても聞いた気になれないだろうとおもうので、普段持ち歩いている外を歩きながら聴くためのヘッドホンを身に付けて耳栓代わりにしたり、ほんのりBrian EnoやHarold BuddやShiraishi NALのアンビエントを鳴ってんのか鳴ってねぇんだかわかんねぇくらいの音量で流しておくか、ということをしていた。
  ところがドッコイ!「ここ数年音楽聴く時間あまり作れてないよな〜郊外に越したら増えちゃった電車での移動時間で音楽聴けたらいいのにな〜アッさいきんのノイズキャンセリングしてくれるヘッドホンってどうなんだろう?!」とおもい、大好きなインターネットで調査して、大好きなヨドバシカメラで3時間くらい聴き比べをして、良いワイヤレスヘッドホンを、買いまして!そしたら!移動時のストレスが!かなり!軽減されました!という話です。
  ぼくは音楽や音が好きですが、聞きたくもないのに聞かされるそれは嫌いです。毒だとすらおもっています。そういうものは注目することも無視することもできるものであるべきとおもっています。そんなんだから渋谷とか新宿みてぇなド都会がめっちゃ嫌いで(人混みが嫌という話でもあるんだけど、人混みが嫌な理由として「うるせ~から」というのは大きいという話です)、そのあたりに用があるときはあえてひとつ隣駅の明治神宮前駅とか西新宿駅とかから歩いて目的地に行くようにしているくらい。普段からヘッドホンをイヤーマフとして使っているわけだが、新しく買ったこれはそれをめちゃくちゃパワフルにしたグレートな機材でしたわ、渋谷歩いてみたけど不快感減ってますわ、こりゃ世界変わったわ、とおもったわよ!

  そんなわけでせっかくなのでヨドバシで何を見て何を比較して何を買ったのかを記録しておくぞ!ブログっぽいね!
※レビューじゃなくて感想なので、きちんとした比較や検証をしてほしいひとはそういう専門家のブログや動画を参照してね。

・まず前提としたこと
移動中に音楽を聴くことだけが目的なのでワイヤレスであることとノイズキャンセリングの性能を重視することと、コーデックがaptX Adaptiveに対応したものを選ぶということだけ(これだけで選べる機種がかなり絞れました)

・BOSE QuietComfort Headphones(BOSE)
「せっかく良いものを買おうって意気込んでるんだからまぁこれだろ」くらいにおもってました。それくらいBOSEの機材には長年お世話になっているし信頼しているので。実際かなりいい音でさっさとこれに決めちゃおうかというくらいで、音圧ゴリゴリのバンドモノや周波数帯の広いエレクトロ系が気持ちよかった。けど最近聴きたい音楽の傾向ってそれらとは真逆のアコースティック系で、古めのジャズのカルテットやクラシックのオケとか室内楽の鳴りはちょっと不自然なかんじがしちゃった。
あとノイキャンがすごかったんだけど、ちょっと耳が詰まるような、乗り物酔いを起こしそうなかんじがしたんだよな。慣れだとはおもうんだけど、慣れるまでつらそうだなと感じてしまった。

・MOMENTUM 4(Sennheiser)
BOSEとこれを比較したくて店に行った。ぼくがまだイヤホンで音楽を聴いてた大学時代に気に入っていたのがゼンちゃん(ゼンハイザーのこと)だったことと、その後現場でゼンちゃんの機材を愛用しているひとにちょいちょい出会っていた関係で信頼のメーカーなのだ。
結論から言うとこれにしました。アコースティック系の鳴りがとても心地よかったので。聴き慣れたはずの曲なのに「えっめっちゃペダルノイズ鳴ってたんだ」とか「こんなにゴースト弾いてたんだ」っていう発見を与えてくれたので感動いたしました。ゴリゴリの音の迫力はBOSEのほうが明らかに上だとおもったが。
リファレンス音源なんて1つあれば良いとおもっていたんだが、その1つって果たして万能なのか?ということを考え始めてしまい、今回の聴き比べのためにリファレンス音源を12曲も用意してしまった。最終的に3曲しか比べなくなってたけど、結局決め手になったのは「いま一番良い音で聴きたい曲」の鳴り方でした。私がいままで信じてたリファレンス音源は役立たずだったのでかなしい。あとみんなのリファレンス音源を知りたくなったのでナイショじゃないひとは教えてね。
ノイキャンはBOSEのほうが優れているのはよ~くわかったが、こっちのほうが装着感に不自然がなく長い時間使っていても大丈夫な気がした。見た目は一番スタンダードっぽい黒いやつを見てすこし安っぽさを感じたが、灰色っぽいやつはメカメカしくてカッケーし、白いやつはキュートでよいとおもったよ。(せっかくなので白にしました。白石だし。)

こっからはついでに試聴してみたやつら。

・SONY WH-1000XM5(SONY)
これとBOSEのが大人気商品らしい。見た目が未来っぽくてよい。音は「悪い意味で」BOSEとゼンちゃんの中間あたりにあるように感じた。あいつらと比較すると無難で平凡でどこに行きたいのかがわからんかんじがしちゃった。けどこのへんは正直ほんとにわずかな違いであり、好みであり、下手すると気のせいであり勘違いであるようにもおもえました。こうやってこだわろうとして比較するから気にできてるだけで、どれもきちんと同じ価格帯のものとして良い音出てるとおもう。見た目が好きだとかメーカーが好きだとか、それくらいの理由で買っちゃっても全然オッケーなレベルにあるものなんだろうなぁとおもったよ。

・YAMAHA YH-L700A(YAMAHA)
見た目がゴツくていい!しかし装着感が気に入りませんでした!音もべつに印象に残ってないので無難にハイスタンダードなかんじだったんじゃないすかね。個人的に音屋としてのヤマハはグランドピアノしか好きじゃないのであまり期待できないんだよなぁ。ステージキーボードとかマジでぜんぜん好きじゃない。悪口になっちゃった。いや違うよそれくらい生ピアノは一流であり信頼してるよって話だよ。生楽器だけ作っててくれ。

・アンカーのなんか
一旦ここでテキトウに1万円もしないくらいの安価な(激ウマギャグ)ものを聴いてみた。中音域スッカスカで完全にノットフォーミーだった。もちろん値段が5倍以上違うのを分かって比べてるので当然の結果なのだが。というかこれで大差なかったらかなしい。ジブンの求めるものは1万円では買えないということがきちんと確かめられたのでよかった。

・Px7 S2e(Bowers & Wilkins)
全く知らないイギリスのメーカーのもので完全にノーマークだったが、高級感とかわいらしさを持ち合わせた見た目に惹かれて聴いてみた。こいつがマジでダークホースでした。絶賛一騎打ち真只中のBOSEくんとゼンちゃんを合挽にしたような音。こっちは「良い意味で」ね。本当にいいとこどりな印象を受けた。価格帯もちょっと上だったが、第一印象でピンと来たものだから選んでしまっても良かった。が、一旦落ち着いて全然関係ない家電を見て戻ってきて冷静な目と耳で再判断、と思いきや、私が良いとおもったモデルは6月下旬の入荷とのこと。通販サイトをあちこち覗いてみても入荷待ちになっており世界的に品薄の様子だったため、じゃあいいやっつってさっさと諦めました。危ないところだった。

  ってことで無事ゼンちゃんのワイヤレスヘッドホンと三菱の冷蔵庫を買って(!?)、ついでに万豚記で担々麺を食べて(万豚記と言えば退院して最初に行く飯屋って決まってるよな~って話、してぇ~~~)、帰って寝ました。たのしかった。今回はここまで。

音屋のくせに良いヘッドホン持ってなかったのかよ〜とか思われたらくやしいから今度使ってる機材を紹介する回とかやろっと。
先行ネタバレ:アシダ音響のヘッドホンめっちゃいいよ

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