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校長室通信 HAPPINESS ~「あいさつ」っていろいろあっていいんじゃないのかな…

 ここでは今、校長として勤務している学校で、頑張っている先生方に向けて発行している「校長室通信 HAPPINESS」に書いていることを、全国の先生に向けて発信します。

■先日、生徒指導部会で「子どもたちのあいさつがなってない」ということが話題になりました。私は今、登校時間に門の前に立って、子どもたちに朝のあいさつをしています。その時に感じた子どもたちの「あいさつ事情」を報告します。ここに出てくる「数字」はあくまでも個人的感覚。何の根拠もありません。悪しからず…。

「あいさつ」のレベル

■まず最高レベルの「自分から進んであいさつする子」は全体の2割。先日の報告より若干増えました。この礼儀正しい2割の子たちのあいさつには、オプションとして「頭をちょこんと下げる」が付いてくることがあります。立ち止まってお辞儀をしてくれる子も2人いました。次のレベルの「あいさつを返してくれる子」は4割くらい。こちらも増えました。これまであいさつを返さなかったのは、校長への警戒心でしょう。今でも「あいさつされたらあいさつする」という受け身パターンは崩さない子どもたちです。
 この2つのレベルを合わせて、だいたい6割。つまり、本校には「声に出してあいさつする子」が半分以上いるということになります。ただ、マスクのために声が聞き取れない子もいるので、もしかしたらもう少し多いかもしれません。ちなみに、ここでは声の大きさ、言い方は無視します。蚊の泣くような声のあいさつも、タメ口あいさつもOKです。「声に出してあいさつしていること」を評価基準とします。
■そうなると「声に出してあいさつしない子」が4割となります。この子たちの「サイレント」の原因は多種多様です。まず多いのは「校長に気がつかない」というパターン。前の日の出来事についてヒソヒソ話しながら、あるいは大声で笑いながら私の前を通り過ぎていきます。まあ、学校に入るとくだらない話、恋バナ、親の悪口もなかなかしにくいから登校中に話しちゃおう…っていう気持ち、分かります。校長にあいさつするよりこっちが大切!ってことです。さらに「明らかに校長の存在に気づいていながら、目をそらして足早に去っていく」パターンもあります。照れ屋さんなんですね。でも、目をそらしながらも頭だけちょこっと下げたりします。高学年に多い。恥ずかしくて仕方ないのに、ちょっとだけでも好意を返してくれる。これだって形を変えた「あったかはあと」ですよね。一方、低学年に多いのは、いきなり話しかけてくるパターン。「校長先生、うちのお父さんもワンピース好きだよ!」といきなりくる…こういう場合は、一応あいさつしてから「お父さんによろしく」とか付け加えます。まあ、好意を持ってくれているから話しかけてくれるわけで、これも許容範囲。それ以外に「反抗的な態度であいさつをしない」という子は0。いや、そういう子もいるんでしょうけど、私にはわかりません。

「あいさつ」の評価って実は主観的!

■「あいさつをする子」とか「しない子」っていう評価は、実はあいさつレベルの線引きをどこにするかで全然変わっちゃうんです。つまり、挨拶された側の主観的な判断で「あいさつをした」「あいさつしていない」って言うのは決定するんです。だから、恥ずかしがって目をそらしながらでも、ちょこんと頭を下げる…これも「あいさつ」ってことにしたら、妙典小はほとんどの子どもたちが「あいさつする」ってことになるわけです。
■ひとつポリシーがあります。子どもたちにあいさつをする時、「あいさつ以外の余計なことは一切言わない」ことです。例えば、「声が小さいよ」「時間がないのに何で歩いてるの?」「帽子はどうしたの?」などです。なぜか。それは子どもたちに敬意を表すためです。人は他者から敬意を受けると、敬意で返そうとする性質を持っています。これを心理学では「好意の返報性」と言います。「返報性」は教育の原点です。「子どもたちに心のこもったあいさつさせたい」と思うなら、教師が子どもたちに「心のこもったあいさつする」ことが鉄則です。毎朝、注意と説教、指導ばっかりの上から目線の先生に、心のこもったあいさつをする気にはなれないですよね。できることならそんな人に朝から会いたくない…。そうじゃなくて、あいさつしない子には、さらに敬意を示して「この人にあいさつしなきゃ」と思わせる…これが教育です。これでたいていの子はあいさつするようになります(前任校で立証済。2年かかった子もいますが…)。

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