電車で遭遇したトラブル諸々。

今回は駅や電車で遭遇したトラブルを淡々と書いていく。ショートショートのような気持ちで読んでいただければと思う。オチはない。

■子連れがきらいなおばさま

子連れで電車に乗ったとき、隣に座っていた50代くらいの女性から苦情を受けた事がある。

その時息子は3歳でベビーカーには乗っておらず、夫と親子3人で徒歩で乗車した。社内は空いていて誰でも座れる状態。息子も騒ぐ事なく大人しく座っていたが、そのうち退屈になり急に私の膝の上に立ち上がった。

危ないから座ってと言っている時に、隣の女性が怒りの声をかけてきた。

曰く、私は骨の弱い病気でちょっとの事でも骨折してしまう、貴方の子供が恐ろしくてしょうがない、貴方の子供のせいで骨折したらどうしてくれるんだ、ちゃんと躾けろ、的なお話を強い口調で延々となされた。

私達夫婦は「それは恐ろしい思いをさせて申し訳ございませんでした」と謝罪して、息子を膝の上に座らせしっかりと抱きしめた。そして電車の座席で立ち上がってはいけません。自分も周囲の人も危険だからと説明した。

そして次の駅で下車する時に、もう一度謝罪してから電車を降りた。

その女性が本当に骨粗鬆症なのかはわからないが、とにかく子連れが好きではなく、攻撃的で雰囲気も異様なのはよく伝わったし、息子が立ち上がったのは事実なので速攻謝って離れることにしたのだ。

■いきなりキレるおじいさん

女子学生が混み気味の電車で文庫本を読んでいたら、たまたまその本が自分の顔の前に来たらしく、背の低いおじいさんがいきなり大声を上げながらその文庫本を薙ぎ払った。何が起こったかわからない女子高生がぽかんとしていると、追い討ちをかけるようにおじいさんは何事かわからぬ罵声を浴びせ続けた。

女子高生は本を読むのに夢中で他人の顔前に本を突きつけた事には気が付かなかったのかもしれない。けれどおじいさんは避ければいいだけであって、女子高生を罵倒する必要も無かったと思う。

■浜松町のモノレール乗り場で

乗り込むための列に並んでいたが、先頭は穏やかな老夫婦だった。するとその前に突然、若い男性が割り込む…、というか、列の先頭にすっと立った。

驚いた夫婦の夫の方が、割り込まないで欲しい、列の最後に行って欲しいというような事を言うと、若い男は突然ブチギレた。周囲の人間は皆???である。

何でもその男は並ぶ場所を間違えて並んでいたので、正しいこの列に並び直した。そして間違えて並んでいた列では先頭だったので、ここでも先頭になる事はなんらおかしい事ではないといった主張であった。

説明を聞いてなお???であった。男の主張はあきらかにおかしい。老紳士はそれを諭そうとしたが無理だった。男の外見は大人しそうな黒髪眼鏡、中肉中背、the普通といった体だったが、中身は異常だった。顔を真っ赤にして怒鳴り立て、決してその主張をまげようとはしなかった。

とうとう老紳士が折れて、「それならそれでもいい、しかし君は私たちや後ろに並んでる人たち全員の前に来ようとしているんだから、お願いする言葉や態度があるんじゃないですか?」と言った。おお、なんという大人の対応…

すると男は「お願いします」と頭を下げ、老夫婦は一番前を譲った。男はもうしゃべらなかった。

■酔っ払いに蹴られた話

終電間際の時刻。車内はほどほどに混んでいたが、車両のなかほどだけ人垣が少なかった。なぜなら座席をまくらに大の字でいびきをかいて寝ているサラリーマンがいたからだ。

彼は長身で、手足が長く、大量の床面積を独占していた。いびきをかきつつも、さらに時たま寝言を言っていた。何を言っているのかわからないが、枕にしていた座席からずりおちてだんだん通路の真ん中へと移動してきた。

そして、そのままズルズルと横方向に移動し続け、とうとう私の左斜め前までやってくると、ーああ、なぜ私はさっさと席を立って逃げなかったと今書いていても後悔しきりなのだがー大きく足を上げ、ぐるりと寝返りを打った。そしてそのアンガールズの田中くらい長い足が、私の首からほほにかけてバチーン!とhitした。

痛かった…

しかし相手は寝ている酔っ払い。抗議のしようもなく、私は目当ての駅で降りるしか無かった。

さいわい痛かっただけで怪我なくすんだが、もしこれで大怪我をしていた場合、どう行動するのが良かったろうか。駅員さんは駅にしかいないし、あの頃は携帯はあったがスマホはなく、今のようにサッとググれもしなかった。

仮に周囲の方が助けてくれたとしても、あの寝転がった大男を運んで駅に下すのは大変だろうし、終電近い時間にそんな事をしてくれる人はいないだろう。そして苦労して運んだ男は泥酔しているのだから、きっと話にならなかっただろう。

怪我なくすんで良かったと思うしかない。

■太ももすりすり男

私は地味で大人しくもないが、派手でも特別美人でもない、いたって普通の外見をしている。だから痴漢にもあった。

その太ももすりすり男は、私が電車に乗り込んだときからばっちり目が合ってぎょっとしたのを覚えている。いや、普通見ず知らずの人の目を凝視しないでしょう。

だから瞬時にわかった。こいつはやべえやつだと。

車内はガラガラで、そいつから離れたところに座ったが、そいつはぴったり追いかけてきて、このガラガラの車内で私の隣に腰を下ろした。ぐえええっ!と思った瞬間、そいつはガバッと股を広げ、私の足に自分の足を押し当てすりすりし始めたのだ。

直接乳や股間を弄ってくるタイプのやつは遭遇した事があったが、これはニュータイプの痴漢だった。


こんな所だろうか。
あのようなクソ狭い空間にぎゅうぎゅうづめで揺られて移動すると言うのは、なかなかに面倒で危険な事だと思う。