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成瀬源三の俳句【令和三年春】前編

● 成瀬源三の俳句【令和三年春】前編
1. 俳句ポスト 入選句
【春の夕焼け】人選
昭和二十年の春夕焼を抱く
【磯巾着】人選
怪獣の角の付け根の磯巾着
十年の哀や磯巾着ひとゆれ
【卒業】人選
卒業歌清らに梁の上からも
切り株の匂ひどこかの卒業歌
2. 俳句ポスト 提出句
【春の夕焼け】
口笛や帝釈天の春夕焼
悔いはなしやはり悔いあり春夕焼
【磯巾着】
線香を磯巾着の横に置く
我を呼ぶ声や摩文仁の磯巾着
【卒業】
卒業式日向に松葉杖一歩
柴田翔返せないまま卒業す
3.岩波俳句
【5月号】秀逸句
陽だまりのテラスにひっそりと余寒
4.月路地の会 発表句
滂沱たるオイルの泪遍路道
ランプより出づるフワちゃん春日和
5.ネット句会 発表句
がなる子よそれでは薄氷は割れぬ
朧月父の代わりに缶切りを
掌に慈雨の一粒菜の花忌
バレンタインデーや朱肉の横にチョコ
爺と居るバス停剪定の匂ひ
春の日やボンドガールのアイシャドウ
ふらここに腰掛けサプールの陽気
伊予柑を六等分し母に一つ
ハイウェイのひかり刹那の雛流し
水温む緑の気球だけ遅い
6.成瀬源三の俳句
不織布のマスクを外し青き踏む
(全25句)

【晩冬】では俳句ポストは三連続並選だったので、【春】に三連続人選となったのは嬉しいですね。特に「十年の哀や磯巾着ひとゆれ」は思いのこもった3.11追悼句だったので、人選に選んでいただいたことは望外の喜びでした。

これからは成瀬庵では季節ごとに詠んだ句を発表します。
暦の上で春が終わったので、現時点で結果が分かっているものを「前編」と銘打ち掲載します。春の季語の俳句賞の結果発表はまだ残っているので、それらは「後編」で掲載します(数は前編に比べてわずかとなりますが)。
今後も成瀬庵をよろしくお願いします。

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