成瀬源三の俳句【令和三年晩冬】

皆さん、こんにちは。成瀬源三です。一月に令和二年までの句をまとめてアップしましたが、今後は随時アップしていきます。
今後の掲載の方法は「初春、仲春といった旧暦の季節ごとに一つの記事として掲載する。基本的にその期間に発表となった俳句賞、ネット句会の句を掲載する」とします。
「俳句ポスト 提出句」に関しては、提出して入選しなかったもののうち、皆さんに読んで欲しいものを選んで掲載します。

● 成瀬源三の俳句【令和三年晩冬】
1. 俳句ポスト 入選句
【寒海苔】並選
シュレッダーのごと少女は寒海苔を
【鷹】並選
鷹の目やヒッチコックは目を逸らす
【狐火】並選
狐火よ疫禍に泣かぬ我は鬼か
2. 俳句ポスト 提出句
【寒海苔】
寒海苔は二番独房宛とある
寒海苔を赤子に食はせバズるとは
寒海苔は九年前の原告より
【鷹】
パパあれが鷹ねと盲目の少女
sin(鷹仰ぐ角度)の高まれり
峻嶺やお前も老けたなあと鷹
【狐火】
狐火を見てゐる赤子だと判る
毛が胸を覆ひて狐火と戯れる
換地予定地に狐火の白々と
3. 月路地の会 発表句
吹雪くほど翼をひしと抱きしめる
虎落笛ディスプレイへと猿の指
褐色に濁りゆく星あゝしばれる
4. ネット句会 発表句
獄窓の初富士兄の背のごとく
ボンの冬空や窓辺のホットワイン
落葉焚戻れぬ町の地図を焼く
凍鶴の静脈にゅるるると縮む
門松の裏にもパパの鍵はない
(全20句)
手前味噌になりますが、今回は参加させていただいているネット句会で総合得点1位となりました。選んで下さった皆様、誠にありがとうございます。

令和三年二月一八日

成瀬源三

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