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【小説】妖怪たちの苦悩 その1

わたしは、陶子(とうこ)。
妖怪の高校二年生。
特技は待つこと。

人間の皆さんにはわからないでしょうが、妖怪も何かと苦悩しているのです。皆さんにはそんな苦悩を紹介していこうと思います。

傘をたたみ、校舎に入る。
今日は健康診断。
「びしょびしょじゃないの。ちゃんと傘をさしなさい。」
「え~~。だって~~。」
と先生に怒られる、から傘お化けの小笠君を横目に、廊下を進む。

体操服に着替えて、健康診断へ。
身長は、12メートル。
体重は、58キログラム。

自分のカルテ?に記録をつけながら、順に検査してまわる。
ちょっと体重が増えたな。
検査項目はスムーズに進んでいたが、ある検査の列が長蛇になっている。
教室から生徒があふれ、後ろにもどんどんならぶが、全く進む気配がない。
どうしたんだろうと考えていると、私の前にならんでいた、ねこむすめの幸子ちゃんが私に言った。
「あんた、首伸ばして、前の様子を見てきなよ。」
「うん。わかった。」
私は首を10mほど伸ばして、先頭の様子を伺う。
首を戻して、幸子ちゃんにつたえる。

「となりのクラスの百目くんが、視力検査してるよ。」
私たちは深くため息をついた。