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即日配達

ヤマトのメール便は郵便局よりもずっと安く、簡単で、しかも荷物を客のところまで取りに来てくれる。愛用していたが、惜しくも無くなってしまった。

法律の規制にひっかかるからとのことだが、そもそも宅急便の創設からヤマトと郵政省の対立は長い歴史を持っている。実需と規制のせめぎあいだったとも言える。忘れもしない。お歳暮に送ったミカンが東京のお得意さんに届いた時、お礼の電話の中で「中身が潰れて汁が滴っていた」と聞かされてやるせない思いをしたものだ。当時は鉄道輸送以外になく、4日も5日もかかり、荷扱いは乱暴で積み替えごとに放り投げていたようだ。そこへ登場したのが宅急便だった。客の立場に立った、まったく新しいサービスで小口輸送の革命だった。

今では、ほとんどの地域が翌日配達になっているが、2017年には東京ー大阪間は当日配達になるという。羽田、厚木のゲートウエイが稼働し、三河の建設を始め、続いて大阪に伸ばす。17年には東名阪がつながって即日配達できる計画である。東京から10時ころ大阪支店へ送ると、夕方には荷物が着く。そら恐ろしいような便利さだ。宅配便の発達によって、どれだけ多くの人が遠隔地で商売ができるようになったことか。近くの窯元は全国から好みの土を取り寄せて焼いている。「何々焼」というような立地条件はなくなって、「誰々の窯」の時代になったそうだ。漁業も然り、新鮮な魚のまま各地へ配送できることで成り立つ商売も多い。ヤマトは「日本の総在庫量を適正に圧縮する」という理念を掲げている。たしかに、在庫を減らした分は、確実に日本の総利益の向上になるはず、法規制で縛り上げないようにと願うばかりである。

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