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超耐熱合金

ジェットエンジンの高温タービンは機密の塊である。

英米は海外にノウハウが流出しないように国をあげて情報を囲い込み、多くの日本人技術者が占め出されているのが現実である。エンジンタービンの耐久温度が40度C上ると、航空機の燃費は1%向上する。

物質・材料研究機構がこの秘密の扉を開けて、純国産エンジンの実現を可能にした。材料センターのパソコンはインターネットと接続できないようにして、貴重なデータを管理している。NI60%にCr3%モリブデン3%タンタル6%というような入力で超合金の性能を予測する。耐熱温度、破断寿命、熱処理のプロセス温度なども解析する。データを入力するとあっという間に答えが出るしくみである。このPCには30年間の耐熱合金の実験データが詰まっていて、これを基に海外の事例よりも約60度C高い1120度に耐えるニッケル超合金を開発した。特命研究員は超合金の採用で8%の燃費改善ができると語る。

専門的な説明をそのまま紹介すると以下の通りである。

耐熱温度の秘密は超合金の結晶構造にある。実は1本のブレードは1つの単結晶でできている。結晶の中には2種類の金属相があり、2相の歪みのバランスが耐熱温度を決める。モリブデンやタンタルは各相の結晶格子の大きさを調整し、歪みを最適なバランスに保つために添加される。
主要な元素は16個で、その組み合わせは膨大、気の遠くなるような時間をかけてデータを集めた。データの品質は極めて高く、溶解炉、寿命試験などを同じ装置で行い、装ーを集めた。データーの品質は極めて高く、溶解炉、寿命試験などを同じ装置で行い、装置やプロセス条件によって結果がバラつかないようにした。慎重に単結晶を育て、1200度Cの高温で1000時間以上引っ張り続ける。これがあって、現在はクリック1つで製造条件が算出される。
『予測値と実験の値はほぼ一致し、材料コストや製造条件を考慮して超合金レシピを逆計算できるようになった』 日刊工業2015/1/16 

1200度Cで1000時間張力を加え続けるというテストには驚かされた。せっかくのデーターが盗まれないように願う。

#超合金 #技術 #国産 #飛行機

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