超雄(超オス)


“超雄”というのは、精力絶倫のオスのことかと思ったら、性別を決める染色体である「性染色体」が YYであり、母親と遺伝子を半分ずつ次世代に渡した場合に必ず Y が伝わる個体のことだそうだ。

貧しい発想を恥じながら読み続けて、ようやく事の次第が分かってきた。子供の性別は性染色体のXYの組み合わせによって決まり、Y染色体があると子供は必ず雄になる。つまり”超雄”の子供は雄のみ、というのがポイント。水産業界で開発された技術だが、トラフグは雄の値段が雌よりも高いので、効率よく雄だけを育てたいという需要から生まれた。

超雄トラフグを生みだす手順は、魚のお腹に小さな針を刺し、その中に卵の元になる細胞を打ち込む作業である。畜産の世界では普通にやられている技術を、魚にも取り入れたとのこと。

何かとんでもない事をやるように思えるが、畜産業界で「普通に」やっているとは驚きだった。自然界の雄雌比率を保つのは、神の領域に属すと思っていたが、人間が諸動物を意のままに改造する姿は不気味でもある。それは何かというと、動物実験の成果は、必ずヒトへの応用に続くからで、将来は男の子か女の子かを、人間が操作して生むことができるようになるだろう。

長崎県総合水産試験場と東京海洋大、東大の共同研究。ちなみに長崎県は養殖フグ生産量2500トン、全国の50%を占めている。

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