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【映画感想49】コーヒー&シガレッツ /ジム・ジャームッシュ(2013)

教えてもらったもののなかなか見てなかった映画。この間よく行くお店のカウンターで流れてい他のを見て「これは絶対に好きなやつだ」と思ってやっとみてみました。

内容は、様々な関係性の人たちがなんでもない話をする11の短編。
タバコとコーヒーを片手になんでもない会話が淡々と流れていく。

ところで会話というものは音楽に似ていて、カフェのカウンターに座っているとき、聞こえてくる会話には耳障りのいいものとそうでないものがあります。

個人的にこの良さは相手の声と環境音のチューニング具合によると思っていて、例えばささやかな声の相手に大きい声を被せていたりなんかすると、音量の合ってない楽器同士のセッションを聴いているようで会話の内容に問わず結構聞き辛く感じます。

あとよく行く飲食店で楽器のセッションを見るとき、周りのお客さんの声のガヤガヤ感も演奏を構成する1部として重要だと思っているんだけど、ここでも「好きなガヤガヤ」と「正直嫌いなガヤガヤ」があります。
会話しながらでも流れる音楽に多少耳を傾けてるお客さんってなんとなく声のボリュームとかタイミングをたぶん無意識に、ほんとうに微妙になんだけど音楽に寄せている気がします。音楽を聴いて肩が揺れてしまうのと同じで。

で、逆に全然関心がないお客さんだと「でさーーー!!」とメッチャでかい声で話したりする。静かに聴けってわけじゃないので全然悪いわけじゃないんだけど、同じ声でもこの場合ノイズに感じるので横に座ってるのがちょっときついです。

ここで映画に話を戻すのですが、ここに出てくる会話は絵のトーンや声の掛け合いが絶妙なので、チューニングがきちんとあっている楽器同士の演奏のようで小気味がいいです。
会話の意味とか、そういうのではなくぼーっとしながら全体の雰囲気をたのしむ映画だと思う。

禁煙中にタバコを正当化するシーンとか、なにかと噛み合わない双子がお互いに「この店員くそつまんねーな」って思ってるのがひしひしと伝わってくるシーンがふふっとなって好きでした。

なんとなく手に取ったギターの弦が震えた音だったり、街灯の光が雨粒に反射した瞬間だったり、あるいは隣に座った人がコップをつかむ時の手首のラインだったり。

日常にはとるにたらないような、一瞬現れては消えるような「大騒ぎするほどでもないけどなんかちょっといい瞬間」がたまにあると思うんだけど、もしかしたらジム・ジャームッシュはそういうのを切り取るのがうまい監督なんじゃないかと思います(写真撮るの上手そう。)

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