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ラップランドの4月は雪の洞窟でキャンプ?


今日、久々にフィンランドのホストファミリーと電話で話をした。フィンランド語教室が始まったことや、シナモンロールをたくさん作って販売していることをとても喜んで聞いてくれた。

最近のロヴァニエミは日が長くなって来て、昼間はとても明るいそうだ。太陽が当たっている外の温度計の数字は30℃まで上がっていた。けれど庭にはまだまだ雪の山。路面の氷はようやく先週溶け出したようだ。そう、ラップランドの4月はまだまだ雪を楽しめる季節なのだ。

4月のラップランドでエクスリームキャンプ

私は幼い頃からずっとボーイスカウトの活動を続けていた。ボーイスカウトはイギリスで発祥し、世界中の国と地域で活動が展開されている国際組織だ。10年前の留学時代、フィンランドの高校で一番最初に話しかけてくれた友人が偶然にもボーイスカウトのメンバーだったことをきっかけに、私はロヴァニエミでもボーイスカウト活動に参加ができた。

ロヴァニエミのグループはNapapiiron pojat ja tytöt(北極圏ボーイズ&ガールズ)といい、フィンランドで最北のスカウト組織だった。そんな彼らの目玉行事が雪中キャンプだ。

写真を見返すと9年前の4月19日、私もその雪中キャンプに参加することになった。真冬の寒さは和らいで日も伸びたロヴァニエミから、さらに北へと出向いた。山の入り口からは腰に結んだソリに荷物の乗せて、かんじきを履いてさらに進む。かなりの運動量だった。汗をかきながらようやくベースに到着。

かんじぎの人とスキーの人がいる。

でもそこには何もない。ただ深く積もった雪の谷があるだけ。そこから雪の壁に穴を掘りはじめた。入り口から2段ほど上にのぼるようにして、女子3人が寝られるほどの洞窟を掘った。半日以上掘っただろうか。服や手袋は雪で濡れてしまったが、乾かすには気温が低すぎて、結局その服は家に帰るまで乾かなかった。

階段を登るように掘ることで、洞窟の中に冷気が入るのを防ぐ。
このあと上から転げ落ちた。

それぞれの持ち場を整えて、みるみるうちに心地の良い小さな村が出来上がった。ベンチ付きのキッチンもできた。

そこからはなにか特段のプログラムがあるわけでもなく、(なんと3泊4日も)みなが思い思いに雪の中での生活をたのしんだ。あるときは山を下って自然公園の休憩小屋まで火にあたりに行ったり、あるときは山の上まで散歩したりした。

エクストリームな環境にわざわざ出向いて、そこで自由に暮らす。そのゆるさがフィンランドらしいスカウト活動だと思った。

こんな風に死んだ木をKelopuuという。

フィンランド語の成長

留学当初にもボーイスカウトのキャンプに参加したことがあったが、その時の私はフィンランド語がまだあまりできず、英語ができる高校生や大人とばかり話していた。中学生たちは英語を理解していても、シャイで話してはくれなかった。

しかし、1年も終わり頃のこの雪中キャンプでは、私がフィンランド語を話せるようになっていた。そのお陰かシャイだった中学生たちもこころを開いてくれ、とても楽しい時間を過ごすことができたのも印象的な出来事だった。

国際交流では国旗はコミュニケーションアイテムとして盛り上がる。


自然に肯定される

フィンランドにはモダンな建築や可愛い雑貨をはじめとする、人のつくった美しいものがたくさんある。そしてそれと同じくらいに美しい自然もある。広くて穏やかで静かなフィンランドの森での時間は、なぜか私に「肯定感」を与えてくれる。

フィンランドを訪れる際には、自然にも足を運んでみてほしい。

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