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美容業界とAI先進企業の提携から見るこれからのビューティーテックトレンド

※この記事は2024年6月12日に公開されたものです。

こんにちは!テクニカルディレクターが集まり、テクニカルディレクションを提供するベースドラムのテックプロマネの鳴海です。

美容業界におけるAIの活用は急速に進展しています。
リサーチやニュースを見ていると、大手美容企業が先進的なAIソリューションをローンチしている企業とダイレクトにパートナーシップを提携する動きがあり、中でもロレアルとエスティローダーは特に美容業界でのAI導入をリードした取り組みを行っています。
こうしたリード企業の動きに注目することで、AIがどのように美容業界に変革をもたらすかを素早くキャッチアップすることができます。
今回は、この2つのリード企業がどのようにAI先進企業と提携し、さらにその取り組みがどのような期待をされているかを紹介します。


ロレアルのAI戦略

ロレアルは、フランスのクリシーに本社を構え、2023年の売上高は約342億ユーロに達しました。世界中で35のブランドを持ち、150以上の国と地域で事業を展開しており、約88,000人の従業員が働いています。ロレアルは「美を通じて世界を動かす」というビジョンを掲げ、美容製品を通じて人々の生活を豊かにすることを目指しています。

ロレアルはGoogle Cloudと提携

2020年、ロレアルはGoogle Cloudと提携し、美容業界におけるAIと機械学習技術の導入を大幅に進めました。この提携により、ロレアルは「Perso」という革新的なパーソナライズ美容デバイスを発表しました。
このデバイスは、ユーザー個人のニーズに合わせたスキンケア、ファンデーション、リップカラーを提案することができます。

「Perso」について

perso

「Perso」は、AIを利用してユーザーの肌状態や環境データを分析し、個々に最適なスキンケア、ファンデーション、リップカラーを提案するデバイス。このデバイスは、スマートフォンアプリでユーザーのセルフィーを撮影し、AIがその画像を解析して肌の状態を評価します。また、環境データ(湿度、気温、UV指数など)も取り込み、その情報を基にして最適なスキンケアアイテムを生成します。これにより、消費者は自分のニーズに最適な製品を自宅で簡単に作り出すことができます。
「Perso」の目的は、消費者一人ひとりのニーズに合わせたパーソナライズドな美容体験を提供することで、顧客満足度を向上させることです。また、迅速な製品提供を実現し、市場競争力を高めることを目指しています。

エスティローダーのAI戦略

エスティローダーは、アメリカのニューヨークに本社を構え、2023年の売上高は約176億ドルに達しました。約25のブランドを持ち、150以上の国と地域で事業を展開しており、約48,000人の従業員が働いています。エスティローダーは「高品質な製品と高タッチな消費者体験を提供する」というミッションを持ち、革新的な美容製品を通じて顧客の満足度を追求しています。

エスティローダーはMictosoftと提携

エスティローダーは、2017年からマイクロソフトと提携し、2024年6月3日には「AIイノベーションラボ」を設立して、AI技術のさらなる活用に取り組んでいます。「AIイノベーションラボ」では、生成AIを活用して様々なビジネスニーズに対応することを目的としています。
具体的には、エスティローダーの生成AIチャットボットを導入し、自社の広範なデータベースを活用してさまざまな施策の意思決定に活用し、マーケティングキャンペーンを迅速に立ち上げることが可能になりました。
また、研究開発にも生成AIを活用し、新製品や成分のトレンドに迅速に対応することで、製品開発を効率化しています。
「AIイノベーションラボ」が目指しているのは、エスティローダーのブランドが消費者とのより密接な関係を構築し、展開エリア特有のニーズに迅速に対応することで、マーケットへの導入スピードを向上させることです。また、AI技術を駆使することで、個々の消費者のニーズをより深く理解し、パーソナライズされた製品を提供することを目指しています​。

AIが美容業界もたらす将来的な展望

ロレアルとエスティローダーは、先進的なAI企業と提携を行い、より迅速に事業へAI技術を活用する環境を整えました。これまでの美容業界の通例と比較して、より革新的なユーザーとの関係構築、そしてより効果的なマーケティング施策の実施を試みています。これらの企業の取り組みは、消費者のニーズに迅速かつ的確に応え、パーソナライゼーションを推進することで、効果的にユーザーエンゲージメントを高めることを期待されています。

ひとりひとりがなりたい自分や悩みに沿って千差万別のアイテムとそれ以上の組み合わせの中から選択を繰り返すことが美容体験の大きな要素です。
さらに、ユーザーの年齢や好みだけでなく、季節や流行などといった目まぐるしく変遷していく要因によってその瞬間のベストな選択は変わっていきます。
美容業界に限らず、AIはこれからより進化速度と精度を増してさまざまな業界へ革新をもたらしていくことが推測されますが、ビューティーテック文脈においてその成果を初期段階で発揮するポイントはパーソナライズがキーワードになりそうです。

「AIの先進企業とのパートナーシップまでは難しい」
「身近にAIの専門家や理解のある人材がいない」
「まずは小規模から導入を試したい」

など、AI活用のスモールスタートを希望している方は、私たちにぜひご相談ください。
事業やプロジェクトごとに、AIをどのように活用・導入すれば課題解決につながるかというプランニングや、新しい顧客体験を作るための企画から一緒に考え、並走することができます
hello@bassdrum.orgへのご連絡、お待ちしております。


最後に、BASSDRUMとは

BASSDRUMは、テクニカルディレクターが中心に集まった組織です。
さまざまなものづくりに関するプロジェクトにおいて、コアメンバーとして参画し、技術的な側面から寄与していくテクニカルディレクターに質問・相談がありましたら hello@bassdrum.org までお問い合わせください。https://bassdrum.org/ja/

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