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美術館の授業

 5月に国立都立美術館の休館をうけて美術IIで行った授業内アンケート
「一年に何回美術館へ行きますか?」

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 東京都の高校に通う46名を対象。
文化に関する世論調査(文化庁平成30年度*コロナ前)の結果とよく似て見える。

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 生徒の年齢、地域、性別が偏っていること、あるいは美術を選択していることから母集団との有意差が事前に期待されたがこれらの属性と美術への関心の相関は発見できない。

 文化芸術にかかわる職業とか、美術館から遠く隔たれた地域とかに限らなければ属性によって美術館を訪れる回数の分布にばらつきはないかもしれない。

 また半数が1年間で1度も美術館へ行かない一方、「過去に訪れた中で印象に残った展示はなんですか?」に対し「MoMA」「グッゲンハイム美術館」と回答があり、文化庁世論調査で示唆された「美術館に関心を持つきっかけさえない人が多いが、熱心にみる人はみる」傾向が同様にみられる。

 以上をうけて「なにが変わったら美術館に行くようになるか?」
「美術館いる?なくしたらなにつくる?」などのディスカッション。

「美術館なくすのはなんとなくヤバいけど、入館無料か徒歩チャリ圏内に新しくできる以外に訪れる回数が増える方法は思いつかない」
ぐらいに落ち着く。もちろん「美術館いらね」「接種会場にする」といった意見も。


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 余談だがアンケートにはsli.doというwebサービスをつかった。生徒がスマホで入力した回答がリアルタイムにアニメーション付きで表示されるのでみんな楽しそうだった。生徒同士で対面の会話も大きな声での発言も避けられるし。画像は練習問題。


一週明けて日本では美術館に博物館法が適用されること、そこでは1収集2保管3展示という順に定義されていること、社会教育法に基づき1教育2学術3文化の発展を目的としていることのレクチャー。

そして僕自身の関心に引き付けてボリス・グロイス(2017)「キュレーションシップについて」『アート・パワー』を読んでもらう。現代では美術館、アーティスト、キュレーターがそれぞれどのような役割をもつか歴史とともに学習するねらい。

よく理解できた生徒もいた一方「これはもう現国のテストなんよ」「わかりません」「学芸員は大事です(投げやり」などの反応もかなり多く、反省。

特に「美術館は必要か?」という問いに対してあまりに遠回りをしてしまった点がよくなかった。

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