窮鼠はチーズの夢を見る

え、映画ってここまでさらけ出していいものだっけ、見るのやめようかな…って最初の方思ってしまったけど、見ていくうちにその雰囲気に呑み込まれて最後まで見てしまった。LGBTってちょっと前までは全くと言っていいほど受け入れられてなくて、通常の人からするとどうしても偏見的な目で見られてしまうし自分もそうだったんだけど、この映画を見て変わった。自分がそういう周りとは違う世界の人間なんだと受け入れることも、それを理解して受け入れてもらうこともすごく勇気がいることで、自分には到底できないと思う。でも、相手がそういう存在だと理解しながらも、その気持ちに答えることはできない、好きだけどそれはあなたの求める好きではない…。想いを寄せられている側はもっと辛いんだなと思った。

 映画はBL中心の内容で、ずっと普通の恋愛をして生きてきた主人公が、BLの相手と関係を持ったことによってその相手を求めたり突き放したり、最後には婚約相手を突き放してまで求めるようになってしまう…。映画を見る前までは考えられない自分自身の主人公に対する共感が湧いた。きっとLGBTのほとんどの人は、今ケ瀬みたいに自分の存在をさらけ出せる感じではなくて、気づいても隠しているか、そんな自分を受け入れたくなくて気づかないふりをしているのかのどっちかだと思う。この映画を見たからこそ、そういう存在が増えて欲しいとは正直思わないけど、自分たちにとっての"普通"が変わっていく世界にこれからもっとなっていくんだろうなと思った。