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粘る晩秋、ないし初冬

ほんの少しなのだけど、確実に疲れが溜まっていく。
楽しみなこともやりたいこともたくさんある。
寝ている場合じゃなかった。

自分を癒やしたり喜ばせて粘った晩秋、ないし初冬の記録。

某月某日

平日に1日、ぽっかり仕事休みができた。
なんの予定もなく、なにをしてもいい休日。こういう休みのとり方はめったにしないけど、一番気分の上がる設定かもしれない。

ファッション雑誌を読みながら「服に合わせてメイクも楽しめるようになりたいな」と思い至った。最近コスメショップでおすすめしてもらったピンクの眉マスカラ。いつもの明るいブラウンも好きだけど、眉とまぶたをピンクで揃えるととってもかわいかった。眉メイクって一辺倒になりがちだけど、遊べる余地があるんじゃない?

初めての眉毛サロンに行くことにした。

休み当日。シアーなタートルネックにレモンイエローのシャツとモカブラウンのジャケットを重ね、アイボリーのスカートを履く。品のあるきれいな色味の服を纏い、足取りは軽やか。

サロンの扉を開けると、アロマのいい香りと大きな窓から差し込む光が出迎えてくれた。特別だけど、肩肘張らずにいられる空間。

担当してくれたのは物腰柔らかなお姉さん。理想の眉の形に輪郭をとる→眉周りをワックス脱毛→毛を一本一本間引きする(結構痛い)→眉メイクレッスンの流れで施術は進んだ。

私は平行ぎみなしっかり眉の持ち主。セルフメイクでは、長さを調整し、眉マスカラで眉の存在感を和らげていた。それはそれでいいのだけど、せっかくしっかり眉があるのだから、毛流れ感を生かした眉もやってみたい、というのが今回のオーダー。

密度が高いと毛流れが分かりにくいので、適度に間引き、パウダーと眉マスカラをメインに使ってふんわり仕上げる。カラーメイクを楽しむコツも教えてもらった。なりたい雰囲気や挑戦したいメイクへのとっかかりを知り、嬉しくって仕方がなくなる。

サロンを出たその足でお気に入りのカフェでコーヒーを飲み、電車にゆられて久しぶりのあの街へ行く。大きな本屋でアート、ファッション、社会学、文学あたりの本を心ゆくまで探し、読んだ。

初めてへの高揚と、いつもの落ち着きが共存した休日だった。

某月某日

寝起きから眠く、身体が重く、今日一日を乗り越えられるのかと不安になる日が続いた。

やっぱり私は寒い時期、特に秋から冬になるくらいの時期が苦手なのかな。過去を思い出して、冬が終わるまでの長い道のりを思って、堪らない気持ちになっていた。必要以上の不安に駆られていることを感じながら、抜け出せなかった。すごく嫌で、本当に嫌で、布団にくるまった。

眠れたことにちょっとだけ希望を感じて、大好きなあの人からの連絡に心が軽くなった。翌朝、晴れ晴れした気分とは程遠かったけど、布団から起き出す勇気はなんとか取り戻した。

自分との闘い、季節の変わり目。

某月某日

寝たいけど、病院に行かなきゃ。定期通院の日、えいやっと起き出す。

気分を上げるためにお気に入りのキルトスカートを履いて、家の扉を開けた。外に出るとすぐ銀杏の黄色をあちこちで目にし、病院終わりに好きな街を歩きたくなった。案外自分のこころは単純だ。

診察が終わり、取り寄せていた本を受け取りに行く。この本をどこで読もうか。散歩しながらよくよく吟味し、読書に最適なカフェへ向かった。

チーズケーキタルトとブレンドコーヒーに頬が緩む。スイーツを堪能し、手に入れたばかりの本のページをめくる。最高だ。

しばらく立ち寄っていなかった服屋さんに向かった。靴下好きな店員さんと一緒に、うんうん言いながら靴下選びをする。好きな服のテイストのみならず、休日の過ごし方まで一緒なので雑談が止まらない。シルクが気持ちいいマスタードのハイソックスに決め、バウムクーヘンをおみやにもたせてもらってお店をあとにした。

カラーソックスに火をつけられ、行きつけの無人古着屋でネイビーグリーンのアウトドアコートを(破格で)発掘し、憧れのセレクトショップでロンドンガール風な赤のカシミヤストールとアームウォーマーを購入した。見る度・着る度笑みがこぼれるような服を見つけたことはもちろん嬉しいのだけど、それと同じくらい、あのお店であの店員さんと時間を過ごせたことが嬉しくて。

幸せを噛み締めながら帰り道を歩く。

師走もまだ前半戦。
色々あるけれど楽しいことや幸せな時間もたくさんあることを忘れず過ごしたい、そんな風に思う夜。


20231210 Written by NARUKURU


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