偉そうな食べ物

世の中はすっかり平等であることを良しとしてるので、うっかり食べ物についても平等だと考える人がいる。
食べ物の格差を肯定することは、自分が差別主義者であることを認めるようで、居心地が悪い。
あるいは、食べ物についてそこまで真剣に考えたことがないという人もいるだろう。

うまいまずいという味の話ではないし、安い高いという値段の話でもない。

封建主義的な価値観肯定するつもりはないが、サンドイッチの王様はカツサンドである。
もちろん異論は認めるけれど、例えばハムカツサンドやコロッケサンドをカツサンドと平等に扱うという奴とは、これ以上まともな話はできない。

食べ物には序列や格がある。

これは高級な食べ物が偉いという単純な話ではない。
高級な果物は分かりやすい。
手間ひまかかってるんだから、高いしうまいし偉い。和牛も同じ話。

マグロや松茸は養殖できないってところに価値があるんだろうと納得もできる。

納得できないのはカニとモチである。

まずはカニ。
日本人がありがたがり過ぎて、完全に冷静な判断ができなくなってる。
カニカマですら他の練り物に比べて偉そうだし、カニ缶などツナ缶と同じジャンルとは思われていない。
タラバガニにいたっては、人間がわが勝手にカニ呼ばわりしておいて、実はヤドカリの仲間なんだって勝手に格下扱いする始末。

ひとまずカニは置いといて、日本の文化的に根深いのがモチである。
コメをありがたがるのは分かる。
宗教に対する意識が薄い人でも、炊きたてのご飯を土足で踏める人は少ないようにおもう。
コメは神格化されてる食べ物と言っても過言じゃない。
その神格化の流れにモチがいる。
赤ちゃんに背負わせたり、祭でまいたり、毎年毎年正月に食べ続けている。
鏡餅がありがたいってのは理解できるが、ただのモチでもうっすら儀式のムードを漂わせている。
いや、ただのモチって表現自体がナンセンスで、おそらくすべてのモチは特別なモチなんだろう。

個人的にはまったく認められない。
モチはいくらなんでも偉そうすぎる。

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