「残業代は出ない!」が当たり前


 皆さんは、自分の給与、あるいは、ご主人もしくは奥さんの給与のうち、どれくらいが残業代なのか、ご存知ですか?
 すでに、ご存知であれば、素晴らしい!

 
 私は、そもそも大雑把な性格なので、自分の残業代がいくらなのか、よくチェックしていませんでした。マスコミは、そもそも給与が高すぎる、という批判もありますが、私は、自分の給料を働いた時間で割って、いわゆる時給を計算したとき、「ファーストフードで働いたほうが高い!」と気づいて以来、あまり考えないようにしていたのです。
 結婚後も、アメリカ人である夫の給与は、年収で聞いていたものの、アメリカは税金の申告などが面倒なので、家計の細かいことは、すべて夫に任せていました。


 そして、10数年。日米の働き方について、調べているうちに「ホワイト・エグゼンブション」という言葉を耳にしました。東京に一時帰国した際、日本人のある人に話を聞きに行ったところ、

「アメリカは、多くの場合、年俸制でホワイト・エグゼンプションですから、残業代が出ないんですよね。」と、言われたのです。

「残業代が出ない?」って、えっ?あれっ、わが夫も?


そして、アメリカの連邦政府で公務員をしている夫に、早速、国際電話で確認したところ

「そうだよ。残業代なんて出てないよ。今も、今までもずっと。」とのこと。

さすがの私も、「えーっ!」と、思わず声を上げてしまいました。灯台下暗しとは、まさにこの事!でも、夫は、9から5時の仕事だったことはありません。今は在宅ですが、コロナ前は朝7時半から夕方6時ぐらいまで働いていました。残業代が出ないなら、なぜ、さっさと帰らないのか。


「そんな時間じゃ、仕事が終わらないからね。」と、夫は一言。

性格はまじめな人なので、彼が言うのだから、きっと、そうなのでしょう。そのやりとりで、私は初めて、自分が長年、サービス残業する役人の妻だったことを知った次第です。


 でも、これ、逆もまたしかり、なんです。


 アメリカに暮らす我が家では、テレビジャパンという24時間の日本語放送を観ています。ある日、その番組で日本の働き方について特集をしていました。それを観ていた夫は、「残業代は、年収の4分の1」という説明に仰天。


「えーっ!4分の1?ウッソー!そんなに残業代出ているの、日本は!?」


 今度は、私がクールに答える番でした。


「そうだよ。普通、残業代は出るんだよ。それで生活できている人も多いんだから。」


 残業代が出て当然の日本と、出なくて当然のアメリカ。自分の生活が常識だと思うので、お互い、相手の実情を知るとホントに驚くものです。


 アメリカで残業代が出るのは、一般的に、低い給与の仕事、または、時給の仕事です。日本で残業代は、いわば時給の通常1・25倍ですが、アメリカは、1・5倍です。つまり雇用主にとっては、残業代は払うとコストがかかるため、なるべく払いたくない。残業代を払うくらいなら、もっと人を雇って、仕事を片付けたい、というインセンティブがあります。そういう側面も、残業代が出なくて当たり前の世界を生み出しているようです。


「長時間働いても、残業代がでないなら、働き損。さっさと仕事を終わらせよう。」
 そんな風潮が日本でも浸透すれば、長時間労働問題も、少し解決の道が見えてくるかもしれません。雇用主にとっては、メタボとも言える「残業代。」それに頼らないスリムな労働スタイルが、雇用主にとっても、働き手にとっても、理想なのかもしれません。

「なるほどー」でしたか?

近所50人に聞いた話の初回、まずは夫の話でした~。



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