見出し画像

「運動強度もっと上げてよ!」

※2021.4.22に書いたコラムをそのまま掲載します

-----

フィットネスインストラクターの花村です。

エアロビクスやアクアビクス、格闘技エクササイズ、ピラティスなど。
グループクラスを担当していると、必ずこうおっしゃるお客さんがいます・・

「運動強度もっと上げてよ!」

「もっとキツいことやってくれるかしら!」

これは、業界ではあるあるのパターン。
インストラクターをやっていれば誰もが10回は言われる言葉(たぶん)

同業者の皆さんはそんなとき、どう答えていますか?

僕は、こう答えます。

「じゃあ、運動強度の『上げ方』を教えますよ、ちょっと時間ありますか?」

そして、呼吸の使い方や、呼吸を横隔膜や腹式に連動させることを教えます。
もし、それで興味を持ってくださればプライベートレッスン=パーソナルレッスンにご案内をし、みっちりと鍛えて差し上げます。

それでもご理解いただけないかたは・・

「じゃあ、僕のレッスンの良さが分かるまで参加し続けてくださいアハッ」
とご案内します。

僕はプロのインストラクターなので、大切なお客さんに正しいことを教えます。
お客さんが間違ったことを言っていれば、それを修正してあげるのもインストラクター。

「運動強度もっと上げてよ!」
分かりました!

と、言う通りにしてしまうと、
それはときに・・

「法律で禁止されている薬物を仕入れて、売ってよ!」
分かりました!

と同じことになってしまうので。

-----

「もっと運動強度もっと上げてよ!」

コレって極めて危険なことなんです。

もちろん出鱈目・闇雲なレッスンをすれば、お客さんたちの安全面に危険を及ぼします。

ただ、それ以上に元から危険な要因があります。

それは・・

そのお客さんが、ご自身で運動強度を上げれないくらい神経伝達力が劣化しているということ。

説明します。

・・・

激しい動き、細かすぎる動きになると、インストラクターは良いかもしれません。
しかし、素人であるお客さんは正しく動けません。

僕はこの仕事を20年やって来て、多様様々な激しく細かいクラスを見て来ました。
その中で、ちゃんと動けているお客さんはクラスに1人いれば良い方ですね。

なんなら、そのインストラクター自身が膝や足首を痛めているケースも飽きるほど見て来ました。

動きがキツ過ぎて細かいと、人は筋肉が縮まった状態で必死に動いてしまう。

それは、足がつった状態で動いているのと同じこと。

ゆえに、それがクセになり、筋肉のバネを大きく快適に使って動くことができなくなる。

その結果、日常生活にも支障が出てきて・・
疲れやすかったり、筋肉の緊張が取れなかったり、マッサージ依存症になったり、そして結局ケガや慢性の痛みを発動する、と。

健康に良いと思ってやっている運動が、カラダの経年劣化を加速しているのです。

寝たきりを防止するための運動が、寝たきりに一心不乱に向かっているということ・・

僕はパーソナルトレーナーをやっていて、そういうお客さんを死ぬほど見て来て、それをリノベーションしてきました。
ついでに、ケガをするインストラクターさんもお助けしてきました。

僕のグループレッスンは、
パーソナルトレーナーがやるグループレッスン。

もちろん自身が、ケガでレッスンを休んだことは20年で1回も無いですよ。

それが何よりの説得力だと思いますので。

そんな術を、いつでも皆さんに『正しい運動』として教えています。

-----

根本的な話もしてみます。

・・・

運動強度とか運動難度ってキリがないですよね。

で、そのうち案の定ケガを発動し、その後ずっと膝の痛みと戦う人生。
最悪寝たきりにも・・

それは、ストレスになります。

運動強度とか運動難度とかの追求って、インストラクター=他人に期待をしていますよね。

「今日のレッスンは良かった・悪かった」
「もっと私を満足させなさいよ!」
「私はお客様よ!」

キリがないストレスのループ。

ストレスを発散しに行くフィットネスクラブが、ストレス生産の場に。
ストレスは万病の引き金にもなります。

ここまでの話と合わせると、タイトルのセリフ=「運動強度もっと上げてよ!」は、最強の不健康づくりなんです。

だから僕はお客さんに、ご自身のカラダの使い方を、
ゆっくり、丁寧に、分かりやすく、何度も何度も繰り返し教えるんです。

ご自身のカラダが正しく使えれば、ケガをしない=寝たきりの防止。
快適に動くカラダは気持ちが良い=ストレスの発散。

誰にも期待しない、自身で調整ができる=ストレスが一切生まれない。

ね。
健康に良いことしかないでしょ?

僕にとって、クラスの初級とか中級とかって・・
強度や難度じゃないんですよね。

どれだけ自身のカラダを理解し、使いこなせているか。
それが花村式の考え方です。

こんな感じでこの仕事20年以上やっています。
興味があればぜひ遊びにいらしてください。

僕のクラスはいつもそんな感じなので、のんびり、ほんわか、ワイワイ楽しくやっています。
雰囲気が良いのが特徴なので、初心者さんも安心してご参加できますよ。

-----

業界のちょっとした裏話。

・・・

じゃあ何故、そういうお客さんが増えてしまったのか・・

それは、業界が『やった感』を求め過ぎてしまったから。

キツくすればキツくするほど、お客さんは『謎の達成感』を感じやすいんです。

人って興奮すると、脳が膵臓や副腎髄質に呼びかけ、アドレナリンやグルカゴンといった『血糖値上昇ホルモン』を放出させます。
それは別名『快楽ホルモン』と呼ばれ、人の精神を支配します。

ザックリ言うと・・
ドM量産ホルモンってことですね。

薬物と同じものと捉えてOK。
要は、運動中毒者ってことです。

だからそれにインストラクターの僕がいくら「やった感と運動効果は別物ですよー」って言っても、中毒者は聞く耳持ちません。

そりゃそうですよね。
薬物中毒者は、二度と更生することはできません。
その味を心に隠しながら生きるしかありませんから・・

って、なんか、僕が薬物経験者みたいじゃないですか笑
いやいや、僕はタバコも酒もやりません。
元からラリっている(とよく言われる)ので大丈夫、と、それはさて置き話を戻しましょう。

・・・

中毒者は、すべては快楽のためにお金を出します。

だから業界=健康産業は儲かるということです。

もちろん業界だって、人々に幸せにする運動を善意で提供して来ました。

しかし、いつからか行き過ぎてしまったのです。

こういうことって、この業界に限らず、このブログを読んでくださる皆さんそれぞれの業界にもよくある話ではないですか?

だから僕は、
「運動強度もっと上げてよ!」っていうお客さんを見るたびに、申し訳ない気持ちになります。

業界があなたのカラダを不幸にしてしまって、ホントにごめんね。

だから僕は、人々に正しい運動を教えているんです。

おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?