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自滅ループ

「あなたは環境が変わると慣れるのに時間がかかるの。分かる?」                顧問の先生はそう言って部活を辞めようとしている私をなだめた。去年の話だ。確かに否定は出来ない。実際、毎年一学期は病みがちだ。

その理由は分かりきっている。

私の場合、四月は沢山の人とお友達にならなきゃと思って少し無理して自分の中のコミュ力を総動員し、色んな人と話す。しかし一ヶ月も経つと、もちろん疲れてくる。さらに無理をした反動でコミュ力が著しく低下してしまう。無気力になり、「友達とか一、二人入ればいいや」となってしまう。四月のように色んな人と話したいと思ったとしても、コミュ力低下のせいでそれも出来ず苦しむ。クラスで素が出せないのはこんなに辛いのか、とか考えたりして。こんな状態を七月までずるずると引きずって、夏休みでリセット。そして二学期からは元通り。これがいつもの「自滅ループ」だ。毎年一学期はこんな感じだ。笑えるだろ?自分で書いていても笑えるわ。笑

この自滅ループのタチの悪い所は、よくある理想と現実のギャップではなく、過去と現在のギャップに苦しめられる所だ。前者はよく保健の教科書などに載っている、「ああなりたいのになれない」という葛藤であるのに対して、後者は「前は出来たのに今は出来ない」というものである。四月には人と普通に話せたのに今はそれが出来ない、みたいな。やはり今まで出来ていたことが急に出来なくなるとそれだけダメージも大きい。

しかし最近は、このコミュ力低下期をどうにかしたくてちょっぴり頑張っている。例えば、席が近い人には朝必ず挨拶をし、一日最低一回は自分から会話を振るようにした。

こういうのは、敢えて後先考えず衝動のままに行動する方が上手くいく。勢いだ、勢い。会話が続かなかったらどうしようとかそういう思考が浮かんでくる前に話しかける。話しかけられて嫌な気をする人はほぼいないし、純粋に人と話すのは楽しいので意外といける。

このおかげで、隣の席のテニス部の子や、英語で同じグループの子達と仲良くなれた。嬉しい!

全ては少しの勇気だった。考え方を少し変えただけで毎日に色がついたみたいで幸せだ。人生はこんな風にして1゚ずつ変わっていって、それが積もり積もった延長線上に運命が決定されているんだろう、などと一丁前に悟りを開いたようなことを思った。今年は七月まで引きずらずに済みそうだ。笑

絶対に幸せになるぞ。

1゚ずつ変えていけば必ずなれるばず。


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