デンマルク国の不思議

むかし、欧州は北の方にデンマルクなる国の不思議なお話があった。

世は仏蘭西国の皇帝ナポレオンの時代、デンマルク国は戦に敗れ諸色高騰、下々は誇りをなくして、茫然としておったとな。

そこに一人の神の人グルントヴィ翁があらわれ、斯くのたまいき。曰く

文字は殺し、霊は活かす。生きた言葉を語れ。人は神の霊が宿る器なればなり。羅馬法王のもと羅甸語の聖典を学ぶは死の教え也、人を活かし豊かな実りをもたらすは真の学び也。故にわれらの言葉、デンマルク語でこそ教えまた語るべし。

翁の言葉に目覚めたる一人の貧しき男ありき、名をコル師といふ。コル師は自ら貧しき農夫どもを集め、共に暮らし共に学び、デンマルク国の古よりの誇りを甦らせ、グルントヴィ翁の教えのまま、生きるがための、それも豊かに生きる術の学び舎となせり。これをヴォルケホイスクオレといふ。

いかにも若き男、乙女、農作業の合い間に集いて学び、目覚めて新たな学び舎を建るもの少なからず。さはさりながら、ホイスクオレにて教えしラクール師、貧しき村に電燈を輝かせんと風車によるダイナモをば発明せり。また、共に学びし仲間立ち上がりてコオペラティフソサイアティつまりは協同組合を設立し、仲買人に買い叩かれることなく、農夫自ら販売に勤しむ術をも見出したり。

さて我ら日本国の民、此れを如何にして学ぶか、亦其の由来や如何に。

#モリゼミ #デンマーク #フォルケホイスコーレ


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