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出産はいつだってドラマチック

2024年3月26日 雨
息子が生まれた。
逆子のためある週数までに回らなかったら
帝王切開での出産と決まっていた。

そのタイムリミットのような健診がくるまで
逆子体操とツボ押しを毎日のように頑張った。

逆子を貫くのは赤ちゃんの意思でもある。
そのジレンマを感じながらも
私は子が産道を通る体験をしたかった。

帝王切開で出産すると
次の子もだいたいが帝王切開での出産となる。
そう言われると余計、自然分娩の憧れがあった。

だが、我が子の意思は強かった。
きっと、居心地がよかったんだね。

いつ陣痛がくるのか、破水とはどんなものなのか
股からスイカがでてくる感覚とは?とか、
ひーひーふーの体験はなく、手術当日を迎えた。

手術室に入るときは旦那に行ってきまーすとピースサインをしていた。

10人弱の医療従事者に見守れ、
丁寧かつ迅速に手術が始まる。

人1人産むのにこんなたくさんの人が関わってくれることに感謝でいっぱいで、医療者の凄さを序盤でかなり感じていた。

どれくらいで赤ちゃんでてくるかは予習済で
だいたいお腹をきってから30分くらい。

それまでは隣にいてくれる安心感満載の看護師さんと赤ちゃんの名前について話したりして特に緊張感はなく、時間が過ぎていった。

このままではYouTubeでみていた出産動画のような感動的なシーンになる気がしなくて、どう赤ちゃんと会ったらいいのか、こんな淡々としていていいのか不安になっていた。麻酔という医療の進歩のおかげで痛みもほとんど感じず、産んでしまっていいのかと。(そうするしかないのだが、)

痛みあってこそ出産とは思っていなくても
無意識レベルでそうあるものと自分は認識してたのだと気づく。

もうすぐ赤ちゃんでてくるからねって
言われてからが初めての感覚に出会う。

自分の体と赤ちゃんが引き剥がされていく。
自分ごと引っ張られ、手術台から少し浮いていく感じ。かなり強く引っ張られたあと、
赤ちゃん出てきたよ〜と無事に出産。
数分してから、泣き声聞こえ、一安心。

産まれたての赤ちゃんを見せてもらうまで
急に妊娠発覚から妊婦生活の記憶が
呼び起こされ、かけめぐり、
赤ちゃんをみた瞬間に涙がどばーっと流れ出た。
なかなかとまらない。
さっきの看護師さんが何枚もティッシュをもってきてくれ拭いてくれる。

想像してた出産とは違ったけど、
我が子と初めて出会ったあの瞬間はきっと忘れられない。

フィルムカメラでシャッターを切る時のような
カシャっと体中に音がなり、
永久にこの記憶が保存される。
そして温たかな光がさしてくる。


どんな出産も人生最大のドラマチックなんだと思う。



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