誰もが宅録できる時代になりましたが
私のプロフィール(公式サイト)に、「高校在学中よりナレーターを志し」とありますが、何を隠そう私、放送部出身で、部長まで務めた男でございます。(都立昭和高校のみなさんでも知らないだろうなぁ)
かれこれもう20年も前のことでして、思い返してみればこの20年の技術の進歩のおかげで、宅録ナレーターと呼ぶ人も出てくる時代になりましたが、当時では少し考えられない世界だったかもしれません。
我が高校時代の録音環境を思い出してみる
当時、すでにDTM(Desk Top Music)の概念はもちろんありましたが、どうにも加速的に進化したのは2010年代のようですね。
つまり、私の高校時代はまだまだ「ハードウェア」の時代。特にZ世代があまり知らないという、あの「MD」が主流の時代でした。
MDってすごかったんだぞ!
自分の声を録音するのも、音楽をダビングするのも、携帯するのもMDでした。ああ、懐かしい、走ると音飛びするMD。
でもね、当時はカセットテープの音質と比べて、はるかによく聞こえたのです。クリアな音質、巻き戻しの必要がない。それだけで我々世代は感動したはずです。(でも今はそのカセットテープの”アナログならではの”音質が良いと言われているそうですが)
ちなみに私、これを持ってました。懐かしすぎて鼻血出そう。
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/News/Press_Archive/199809/98-084/
奮闘したMD編集
で、校内放送などや演劇部、ダンス部などが使用する音楽の編集なんかも、我が部のミキサー陣が担当していました。(ちなみに当時の放送部は、アナウンス担当と、ミキシング担当で分かれており、私はアナウンス担当でした)
そう、音楽の編集。今や波形を見ながら、コピーアンドペーストも、やり直しも何度でも出来ますが、当時はこのMDを使って、コマ送りしながら編集しておりました。これが骨の折れる作業、デジタルで録ってるのにやっていることはアナログ。
我が部室にあった機材、おそらくこれだったような気がします。
コンバインとかディバイトとか、民生用のだとフレーム単位では出来なかったのですよ。フレーム単位で出来るのに、大変だったんですよ。
しかし、これは基本音楽を編集する用。音声の録音や、1本の番組には(なぜか)DAT(デジタルオーディオテープ)を使用していたと思います。
DATって知ってる?
テープではあるものの、れっきとしたデジタル媒体だったのです。MDよりもはるかに世間に知られることのなかったものだったのではないかと思いますが、当時はこれに私の声が記録されていたのです。もはや懐かしすぎて逆に聞いてみたいものですが、きっと校舎建て替えの時とかに廃棄されたことでしょう。
そんなDAT 自体も2005年に生産を終了していました。
自宅で声を録ることはなかったのか?
自宅で声「だけ」を録ることはかろうじて出来ました。そう、本当に声だけ。我が家にあったのがこれ。ビクターのCD・MDラジカセ。
外部入力端子から、ただただ声を録るだけ。コンプをかけることも、イコライザーをかけることもできない、まさにすっぴんの声だけ。
そう、1人でする、そして機材、技術がなかなか揃わなかったこともあり、ちゃんと録音するということはなかなか出来なかったのです。
こう思い返すと、本当にこの20年の技術進歩は本当にすごいことで、ありがたいことがわかります。
そんな私が宅録を初めてしたのは、そこから10年ほどのちのこと。Audacityを導入してからのことです。(※Audacityの初版は2000年だそうですが、私がPC環境を整えるのが遅かったので)
追記:とはいえ、これだけ技術が進んだとしても、やはり1人でするには限界があるし、その道のプロがすることに越したことはありませんよ。髪を切るのは自分でもある程度は出来るけど、それでも美容院に行くのは、理想どおりの髪型や、本当に似合う髪型の提案をしてくれるからです。声を録るのも結局そういうことだと思うのです。
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