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星よみ簡単レクチャー 歴史篇

 私の動画では西洋占星術を扱っていますので、超初心者の方向けにまずは思想的背景や歴史について簡単にまとめてみました。動画は15分のみですが、その背後には膨大に知るべき内容が隠されています。少しずつ順序立ててご説明していきますので、出来ましたら順番良くお付き合い頂ければ幸いです。

 西洋占星術とは?
 起源は、古代バビロニアだとされているが、黄道十二宮の原型は、紀元前2000年頃、ホロスコープをもとにした誕生占星術は紀元前5世紀頃から存在していたとみられている。大宇宙(マクロコスモス)である天体と小宇宙(ミクロコスモス)である人間の間には対応関係が成り立つという考え方は、ヘルメス主義にも影響を与える。


※占星術は、およそ20,000年前のアトランティス(プラトンの記述によると約12,000年前の洪水で沈んだとされる大陸文明)の叡智エメラルドタブレットに通ずるものであり、私たちが学んでいる歴史以前から存在しているものとのこと。エメラルドタブレットは、占星術やカバラ、タロットなどの源流となっています。

~ヘルメス主義~
 伝説的神人ヘルメス・トリスメギストスによって語られたとされる思想。紀元後3世紀ごろまでにエジプトで成立していたとみられる。ヘルメスによる文書を『ヘルメス文書』と呼ぶ。宇宙は唯一の神から流出した霊で出来ており(宇宙全体が一個の有機体であり)、遠く離れた部分にも必然的なつながりがあるとしている。この考え方は、“天地照応”と呼ばれている。ヘルメスは、古代ギリシアの冥界の神で、エジプトでは知恵の神トートと同一視された。

 トートとは?
 古代エジプトの神。月神であり、宇宙創造の神。知恵に恵まれ、あらゆる学問を発明し、象形文字も発明した。オシリスの裁きの間で審判を記し、記録を保管する書記の神でもある。

ギリシア神話(紀元前5世紀が最盛期)は、星の神話
 天体や星座との結びつきが強いことが特徴。英雄たちの冒険譚の多くは悲劇的な結末を迎える。ギリシア文明が廃れたのちも、ルネサンスの芸術や思想に多大な影響を与えた。オリュンポス十二神は、ゼウス・ヘラ・アテナ・アポロン・アプロディテ・アレス・アルテミス・デメテル・ヘパイストス・ヘルメス・ポセイドン・ヘスティアもしくはディオニソス。美少年の物語が多いのは、当時、大人の男性と少年の間で結ばれる同性愛の関係が、尊ばれていたからとのこと。(実を言うと、これは現在裏側で問題になっていることの淵源でもあります。蛇の巻き付く杖のモチーフが登場するなど、ここでもう既に闇の兆候が表れ始めているということにあなたはお気付きでしょうか。)

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~占星術の歴史~

古代バビロニア人が天の星に神々を対応させたことが始まりとされる。(メソポタミアの時代)
黄道十二宮の原型は、紀元前2000年ごろには存在した。(国家や国王の運勢を占う)
紀元前5世紀末には、個人の出生図(ホロスコープ)を読む誕生占星術が行われていた。
ローマ帝国崩壊後は、キリスト教によって異教の文化とみなされ、排斥。アラビア世界へ。
12世紀になり、ヨーロッパとイスラムが接触し再び復活する。(アラビア占星術は、用途に違いがある。)
13世紀には、大神学者のトマス・アクィナスも星が人々の行動を支配していることを認める。
14世紀ころからヨーロッパで大流行し、権威者らも重要な決定に関して占星術師に相談するようになる。

占星術は、知識人には出来て当たり前の教養だった?

  古代国家では、天文学者が天体の動きを細かく観測、記録し、異変を見抜いたときには為政者へ報告するという職務を担っていました。現代医学の祖といわれるヒポクラテスも、マクロコスモス(宇宙)とミクロコスモス(人体)は相似形であると考え、環境(天体)の人体への作用を重要視しました。現代医学が発達する17世紀までの間、医師やハーバリスト、薬剤師、治療ができる理髪師や占星術師が占星術を医療的処置に利用し(ガリレオやケプラーも天文学者兼占星術師、ノストラダムスは占星術師兼医師)、19世紀にはユングが精神医学に応用します。月の暦は今でも農業や漁業に欠かせません。現在のように個人の運命をよむ星座占いが娯楽として庶民に広く普及するのは、20世紀になり星座占いが新聞紙上で取り上げられて以降のことでした。
  
ユングは、占星術マニア?  ~心理学と占星術~

    著名な心理学者ユングは、若い頃から心霊現象やオカルト現象に興味を持っていました。占星術にも大変詳しかった彼はある時、カウンセリングに訪れたクライアントが自分の母親に対して感じている悩みと結びつく内容が彼女のホロスコープから解読できることに気が付きます。その後生涯にわたって占星術の知識は役に立つと信じ、統計を使い自らそのことを証明しようとしていたようです。しかし、こうしたことがきっかけで、師のフロイトと意見が合わず決別してしまうことになりました。

 以下はユングがフロイトに宛てた書簡の内容です。

    このところ毎夜、占星術に大部分の時間をついやしています。心理学的な真理内容に糸口をみつけようとして、ホロスコープ計算を実践しています。・・・勇を鼓して申しますと、天体に〔無意識的直観によって〕投影されているとの予感をはらむ大量の知を、われわれはいつの日か占星術のうちに発見するようになるのではないでしょうか。

 ユングの「タイプ論」には、占星術でも使われてきた4つのカテゴリー(直観[火]・感覚[地]・理性[風]・感情[水])に外向性と内向性の2つを掛け合わせた8分類が使われています。

エレメント

 次回は、なぜ占星術が医療行為と関係していたのか、という点について掘り下げてみたいと思います。
 
 ご興味が沸かれましたら、動画もご覧ください。

 本日もお読みいただきありがとうございます。

参考文献  『占星術の文化誌』  鏡リュウジ  原書房


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