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流動小説集2―『無題(2)―全』:人間と物語生成システムによる暗号化小説(その2)

人間(私)と物語生成システムとの共同作業による実験小説の試みを続けて投稿する予定である。そのまとまりを「流動小説集」と呼ぶことにした。
以下は、『無題』と仮に呼ぶものの二回目(第二場と呼ぶ)である。
内容的にはかなり出鱈目である。さらに、秘密の「暗号化」によって、元の文章を隠すことを試みたので、出鱈目度は増している。
なお、流動と固定、循環生成等の概念を使った、物語生成システムを利用した小説(物語)制作の実験に関しては、様々な本や論文等でこれまで議論して来たが、直接的・間接的に関連する研究や思索を最も凝縮してまとめたのは、以下の三冊の単著である。

そのうち二冊は分厚い英語本で、どれも読みやすいとは言えないが、興味のある方は覗いてみてください。英語の二冊に関しては、目次やPreface(まえがき)やIndex(索引)等の他、それ自体かなり長いIntroduction(序文)やConclusion(結論)を無料で読むことが出来ます。
また、二冊の英語の本に関しては、出版社のサイト(takashi ogata, IGI globalで検索すると入れると思います)に入ると、以上の無料で読める章以外の本文の章は、どれも単体で購入することが可能です(デジタル版のみ)。値段は確か30ドル程度だったかと思います。円安のせいでそれでも少々高いですが。どの章も長いので、実はそんなに高くないとは思うのですが。なお一冊目の英語の本は、国際的に定評のある文献データベースSCOPUSに登録されており、二冊目も現在審査中だと思います。

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                第二場

すると今度は、踏ん込みの左側から緑色の大がするっと滑って来る。舞台の右側のパーソン、座っているテナー達の背後で止まった。緑の洗面所のマドモアゼルには正座する六時人。ライトウィングの三誰かさんは妻琴を抱える。左側の三人っ子の前には何やらそれぞれ司令塔のような蛋白が置かれている。座る位置からは反対箍、御釜達に遮られて一部隠れている。この六人っ子は強烈に目立つ。ぐっと晴眼を凝らすのと同時に、かき鳴らされるダブルベースの音に続く。音数を減らした須磨琴と共に、深い歌声が響き始める。月は(ツキハ)―が異常な高音となる―程なく入る汐の(ホドナクイルシオノ)。一孤の若いしずの男が、熊野という山深い土地のある仏寺に向かう途中、地元の豊かな華胄で一晩泊めてもらった。[挿話24寝る。空気枕に麩(ふすま)が入ったようだ。冷たい感覚がある。役僧は凍死する夢を見た。]朝になる。ご親子の人達は掃除していた。[挿話25箒が砂埃取りに向かって誰が病家の翁かと言い争っている。箒が私が父親だと言い張る。塵芥取りも同じように言い張っていた。そこにガードルが来る。銀の出し入れをする僕こそが師父だと言った。昨日とんかちを背負って出掛けたその家の小冠者が朝帰りする。帯鋸と家禽や肉牛とを取り替えたと言う。大叔父がだて男子を誉める。次兄が喜んだ。それから主人は、すててこをまくって銀を出す。去勢牛や鳩と取り替えた。人物は呆れていた。]そんな景色を見る。若い新郎がその五摂家を立ち去ろうとする時、聖家族の母堂がどうしてももう一度会いたいと言う。国分寺からの帰り道で必ず寄ると約束してしまった。続いて深い声で、煙り満ち来る小松原(ケムリミチクルコマツバラ)。どうやら深いような甲高いような声で歌っているのは、緑色の便殿の向って左側に三孤並んで座っているテナーの妾の、一番右側に座る舎兄一単身だけのようだ。そしてすぐその知人の琴非戦闘員が退屈そうな顔付きで琴柱を奏でる。派手に奏でているのはその一前人だけだ。あとの二みんなの奏でる身振りはもっと地味な感じだ。殆ど花道を見上げる位置にある。この大劇場内の低地にあるこの座席からは、看客の丸坊主や足指に遮られて良くは見えない。シャンソニエか弁士どうし、チャランゴ聴き手どうしが一斉に同じようなことをしている訳ではなさそうだ。ところでその若い父王、若僧は、一誰かさんだけで旅に出ていた訳ではない。かなり年取ったもう一単独のアクターと一緒に旅をしていた。泊めてもらった華胄の未通女に、帰途また寄るからと約束したのも、その時は必ずしも嘘を吐いた訳ではないつもりだった。そのことを高祖母の姫主、老愚僧に言う。その老陰間は何故から知らぬがそれはやめておいた人人が良いということを言った。若僧の孤は少し湿りが咎めた。老兄貴の知恵には従った現代人が良いと考える。保母の養親子のある道から逸れて別の道を辿る。わたくし達の宿坊に無事帰り着いた。[挿話26二単独はこうして蓑笠を着け金剛杖を持って旅に出る。帰って来た。若僧の花笠とステッキは壊れていた。][挿話27老無品親王の彼は、帰って来た大入道が黒い粗衣を着て大きなお会堂にいると聞く。途中走禽や子牛に声を掛ける。迎えに行った。ビショップは寿司を炊く。炊け過ぎて焦げてしまう。怒り出し、土鍋を捨てようとする。そこに現れた実兄の老御曹司が内釜を捨てるなと命じる。一寸法師は実弟のアヌスを押さえる。やり手はキャセロールのヘルに落ちる。釜が割れる。焦げた熱い小糠が老入道の後頭のミズに落ちる。病夫が風呂を沸かす。老給仕は水風呂に入って悦に入る。ぬるいので何でも炊けと言う。社僧が若造のガードルを燃やしてしまった。]こんなことがあった後も、[挿話28法事に来ていた常客が川でおしっこをしていた若紫、近くのキャディーが通り掛かかって鴻池のプリンスのようだと言ったフリージア、賓客が帰ってしまう。法事をやり直したり]、[挿話29ある坊やがカウボーイに、「コーデュロイを狐の鳴きジゴロに染める」ように命じる。太刀取りに名物裂をやる。ジゴロは分からないので密かに往者に聞く。紺のことだと教えてくれたり]、[挿話30妾宅の爺さんと婆さんの男女が、須彌壇を買って来て念仏を唱えているのを、入っていた箱師が聞いて逃げたり]、いろいろなことがあったそうだ。声は何か急かされた風の感じを帯びる。急ぐとすれど振袖の(イソグトスレドフリソデノ)、からすぐに、びらり華鬘のふわふわと(ビラリボウシノフワフワト)、へと続いて行く。ふわふわとの辺りで維持会員の声が交じり合う。切れ上がるような鋭いサキソホーンの音が入る。高く鋭い触れ太鼓の音が客席一金杯に響き渡る。ぞくっと辺りの雰囲気が一変する。老男娼と若僧が一晩泊まった親身のスキーバニーは、何日も待って若僧が嘘を吐いていたことを知ったのか、それともどっちから聞いて知ったのか。[挿話32老烈士が旅をする。若僧が旅をする。謎が旅をしていた。大風が吹く。奥女中はむくっと起きた。心が流れた。][挿話33アナグモが部屋に通って来た。公娼は妊娠する。美少年を生んだような油分がした。][挿話34また、交換嬢になった尤物はおしっこしたまま寝る。腐る。ずるずる落ちて行くような全糖がする。神馬が王家に上がって来たと言って騒いだ。][挿話35薄刃を何処に無くしたと、実母になったエアラインホステスは男のこに尋ねたりもした。背の君は知らないと答えた。]そんなことをいくら繰り返しても、破戒僧は戻って来なかった。そのまま麗人は部屋に閉じ籠った。その時、いろいろな楽器がグチャグチャと交じり合う中、後ろの同時代人で何やら音がする。人々のざわめきが大きくなる。映画館の、座っている座席のあるその一帯が突然眩い明かりに照らされる。後ろを振り返る。光の中に華やかに輝く合着を着たバージンが見える。長廊下を見る見るこちらに近づいて来る。その隠された後肢さばきが見える。フラッシュ燈からの光線が直接複眼に突き刺さる中で、その生白い向こう面が遥か上方に見える。しかしその女子大生は物凄い足取りで柱廊と本ステージがぶつかる愚僧の所まで進んで行く。見上げる所でその小娘が歩みを止める。今度はゆっくりと自分自身を回転させる。光の中に大きな後ろ姿が輝く。うるさい拍手が鳴り響く。そんな誘導体は殆ど聞こえない。声は暫く止んでいた。しどけ形ふりアアはずかしや(シドケナリフリアアハズカシヤ)、と再開される。それに伴って少女子は踊りのような動きに移行する。あの頃、[挿話36村民が情け知らずを欺く。兇漢からパイを取る。張本人が畑に隕鉄を入れる。山出しが隕鉄有機肥料三年、積み肥はいらぬと言う。主謀が栗石を畑から取り去った。][別の田舎者が迦陵頻伽を捕まえて押さえる。放してほしいかと聞く。鳥は放してほしい答える。飛んで行った。]またある所では、[挿話38海女が良いビキニスタイルを着る。うちに良いことがあるからと約束する。化け物が出て来た。養父ももう一今人の願人も恐れる。逃げて行った。エーリアンが宝物を隠していたことを戯れ女は知る。言われた場所から宝物を掘り出す。ドクトレスは上皇になった。]また、ドラゴン達もいろいろなことをして暮らしていた。ある時、[挿話39一匹の兎が冬生子壁をしている。グリズリーが来る。兎に冬白亜をしてくれないかと頼んだ。兎は羆を山に連れて行く。黒熊に萱を負うように言う。萱に走馬灯を付ける。白熊は苦んだ。それから川に行く。兎は木舟を作る。黒熊は泥的ボートを作る。バニーが木舟で魚釣りに行く。月の輪も泥状遊覧船で魚釣りに行った。泥土(でいど)川崎船は沈む。熊は溺れてしまった。それでも死なない。狡兎はグリズリーを連れて森に行く。小屋を作らせる。小屋に白熊を閉じ込める。ラテルネを付ける。シロクログマは苦しんだ。まだ死ななかった。もう一度雪兎と羆は川へ行く。狡兎は木舟を作る。グリズリーは泥的独船を作る。狡兎が木舟で魚釣りに行く。熊も汚泥軍艦で魚釣りに行った。泥旗艦は沈む。今度こそシロクログマは溺れて死んでしまった。]こんなことも、弊村の海盤車の旧世界では起こっていた。村の生活にもそろそろ上流婦人の清姫は飽きて来ていた。その朝家に若い一夫が立ち寄る。その小男に安珍という名前を付ける。[挿話40醜男を捕らえる。引き綱で縛って出て来られなくしたフロイラインで、綺麗に装って安珍の前に出た。]その宮家に住む清姫は、安珍に一目惚れしていた。広縁を結ぶの権化ならで(エンヲムスブノカミナラデ)、と歌のような語りのような声は円滑に進む。アイの前、花道の迫りに近い端の人っ子一人だ。華やかな衣裳に自分自身を包んだ輝かしい娘は、血液中全体をくねらせる。雁首や光頭や前腕や下膊を常に動かす。アーク灯の中で踊り続ける。あの日の夜も、道成寺の高席の老士君子はこのような夢を見ていたのだろう。当方も知らぬ若いアプレ娘が夢の中に現れる。老甚六は快さも含まれている奇妙な不安に包まれたのだろう。[挿話41安珍と名付けられた若い鰥夫と清姫と名付けられた若い女高生が、揃って鼻ぐりを売り歩く。金儲けする。大きな鐘のあるお寺さんを尋ね回る。]老性格俳優の許に辿り着いたのだ。それは夜で、[挿話42老愚老は、仕事は銀舎利がする堆積岩だと若いやろうに言う。暫くして我に行く。若い主人公はおつけを箒に括り付けて寝ていた。]仕方のない野郎だと思う。老霸王も眠りに入る。そして若い五月少女が現れるその夢を見た。その夢の中で、[挿話43三人っ子一人の父上様が蝸牛を吹いて銀狐を脅す。シルバーフォックスは驚く。川へ落ちた。日が暮れ、三者の怪僧がある一軒家に泊まる。故親が現れる。驚いて三伏が逃げた。途中川に落ちた。しかし三徒のハズは日は明るいと気付く。辺りの人っ子一人が笑った。それから、その中の一人っ子一人の男子が葬式に遭う。山を登って行く。他殺体を木の根に埋めた。亡父が木木を登って来る。連理枝が折れた。大入道は栄螺を吹いた。]宅は奇妙に不安だった。回廊の同嬢の踊りは奇妙に不安な感じだ。腕首には白扇をずっと大事そうに持っている。わたくしに背筋を向けているので良く見えない。どうも合掌しながら吊り下がった遠くの時鐘の方向を見上げているようだ。雄花の御山へばか正直参り(ハナノミヤマヘモノズキマイリ)、というゆっくりした声の途中で、娘は上向き加減で花道の俺等井筒に回る。何歩か後戻りする。その時爪先の動きから舌鋒の動きまで同時に中止する。すぐに一回転してまた人様を向く。通路の別人筒先の客席は、逆光で暗い。郡民の人々が反対配管からバージニティの姿と踊りとを凝視しているのは分かる。その振りをする。客席にいるどいつの姿を追い求めているような看客も中にはいるのだろうか。どっちみち、この中に知音などは誰もいない。試しに誰かしらの獅子鼻をじんわりと凝視してみたとしても、それは偶然のことに過ぎぬ。それ程おかしなことではないだろう。ただ、見渡す限り、恐らくすべてに近い聴衆が、轡をしているのだ。大部分が暗闇の中でさえ浮き上がる白い猿轡。その他、如何にも労災病院風の青いマスク。そして、事後従犯やマオイスト等の、マスクとしては珍しいステディの、轡。轡をしていない。見世物小屋には入れない。入っても不審人っ子として尋問される。そのせいで締め出されるか、最悪の場合は円為替を持っているか取り調べられる可能性がある。そういうことは、事前に探った種々の情報から得ていた。防毒マスクを得るために黒丸が出来ることなど商工高が知れている。[挿話44黒丸は屁をこいた。幼主と呼ばれる物持ちの慈父の誰かさんに、どうして最後っ屁を量るかと言う。最後っ屁を一つこいてはマスクを一つ大篭に入れれば良いと教えた。王様は黒丸に最後っ屁をさせる。黒丸はおならを何度もこいた。]しかしローヤルは裏切る。黒丸は逆に最後っ屁を一回こく度に殴られただけだった。早々に逃げた。だが諦めた訳ではない。[挿話45黒丸は若松に変装する。今から伊勢参りに行って来ると言う。諸王の前からいなくなた。もう一アメコミの普賢象が現れる。別の名前を王様に言った。そのとねりこがローヤルのヨッテルに泊めてもらう。猿轡がないという事情を若殿に告げる。村役場に帰る。気違い雨が降って来た。クイーンは猿轡を取りに行く。楮に渡しに来た。]どの道端から拾ったのか、泥塗れの汚い轡だった。片時雨で洗う。晴れた日に日干しにした。あまりやり過ぎるとゴムが切れるので注意が必要だった。黒丸が今しているのは、元は白かったに違いない。まさにその猿轡だ。周りの人々は、前人美しいマスクをしているようだ。何れにせよ黒丸は防毒マスクをした聴衆の中の正統な評議員だ。廊の一人娘、おどけ達、そして歌い女や語り部達はすべて、防毒マスクをしていない。あの日の夜だった。共に転生した安珍と清姫が高席の老長子のその夜の夢に現れたのは。二孤はめおとのような奇妙な喧嘩までしていた。[挿話46兄弟が御跳ねの旧識に行く。アプレ娘がイレーザーを踏む。油絵具が欠けてしまう。嫡子がソングストレスを咎める。郎女が、荒法師を欠くための骨筆、特電いたとて何となる。謝った。山法師がまたアプレ娘を訪問する。教養がないと御跳ねさんに言う。生娘がガッシュを踏む。欠けてしまった。未通女は蹄を研ぐ。肛門を掻いていた。]夢の中では、[挿話47探偵の目玉をしたアプレ娘が皮剥ぎの鼻溝をした怪僧を咥えて橋を渡っていた。諜者の女高生が橋の途中で別の間諜を見て吠える。春告げ魚の従弟が川へ落ちて逃げて行ってしまった]り。[挿話48上人がバラを伐る。中に従姉妹がいるのを発見した。ジゴロが小さな声で怖いと呟く。ハウスキーパーは天使に昇って行ってしまった]りした。そして、[挿話49一徒輩の若い折助が火事を消そうとしていた。振っていたのは処女のニッガーだった。]老女方の夢には、目出度さと不吉さが混ざり合っていたようだった。歩廊の花やかな姿は今何か伸びやかな風情をして中腰で停止している。やはり目出度さと不吉さが混ざり合っている感じを全面否定することは出来ないように感じられる。だが気のせいかも知れない。寧ろ大らかで伸びやかなセルフのこなしと言うべきだ。周りには一瞬、柔らかいシーオーの動きが漂う。遠目の端に入る。左隣の若い大和撫子の相客の淡いピンクに見える美しい防毒マスクの閣下の複眼は暖かく潤う。しかしテアトルの反対筒口から容赦なく照り付けるアプローチライトでそのウエットが余計ギラギラした光を帯びている。と、味な賤業婦と人っ子ごとに(アジナムスメトヒトゴトニ)、と唄の声色が変わる。最初の人的資源は特に甲高い声だ。動作がコンキューバインを帯びる。直線フーズフーに踊り上膊のニューライト涙腺がある。動きのある右派の福耳が尾燈に光る。そもそもは、さっき安珍と呼んだ若い病夫が、もう一人っ子一人の年取った山伏と共に、何処やらから、参詣のために熊野に向かったのだった。山深い道を二人っ子は歩いた。その途中、[挿話50二孤はこそ泥達に出会った。助けてくれるように頼んだ。倭寇達は家宝を差し出すように二持ち駒に言った。老侏儒は助けてくれと言う。五百両を千両箱から取り出して夜盗の国璽尚書に渡した。その時老御曹司が府知事を捕まえる。物凄い力で締め上げて「半殺しにするぞ」と脅す。その人っ子は五百両を返す。孤山奥の人っ子に立ち去った。その時鼠賊達は二皆に許してくれと謝っていた。]それから暫く尾根伝いに歩いて行く。突然白い急流の輩から青白い山姥(やまうば)のような背の君がふらふらしながら現れた。[挿話51そのぼんぼんは下を向く。何をしているのかと思う。右目を地面に落とした。続いて左目を落とした。そして屈み込む。今落とした右目を取り上げて左目に入れる。同じように左目を右目に入れた。曾おじいさんは前を向く。両目をぱちぱちした。そして、そこらに生えているグラジオラスをもぎ取る。むしゃむしゃと食べ始めた。]老禅師と安珍は、そのまずい光景を樵の陰から見ていた。音立てないように後ずさりする。その後速足で逃げた。疲れて暗い森の中で休んでいる。木の間から差し込む光の中に、幻のような風景を見た。[挿話52奥女中が雁に化ける。その神祖の国鳥が愛嬢と遊んでいた。ブライドは身ごもる。坊やを生んだ。御部屋様は男子をウィングビーンこり籠に入れる。それを揺する。パーソンの二世が出来上がった。]驚きながらも、安珍は老賢兄に向かう。[挿話53わちきより宗匠のみんながお元気ですと褒める。老若殿原は急に愚か者のような顔付きになって増長する。安珍を高飛車に扱い出した。安珍は愚か者のような結膜の老僧を注意した。すると老師父は大人しくなった。安珍は今度は老若党の鼻が高いのを誉めた。すると、なーに鼻の中は目糞だと言った。]それから更に暫く歩く。少し開けた畑に出た。[挿話54一人っ子一人の市井の人が種蒔きをしていた。安珍が民衆に何を蒔いているのかと尋ねる。文鳥が開いて食うからと言った。人民が葉菜類を二衆人に見せた。]二誰しもはさらに歩いて行くわちき。[挿話55ハイヒールが擦り減って来た。上靴卯の花で作った軍靴を履いていた旅客の甲高も擦り減って来た。地下足袋下草で作ったソールを履いた客のバストも擦り減って来た。いろいろな所が擦り減る音がした。二万人の旅客は、バスタブ敷に喉頭を入れて歩いて行った。]こんな風にする。老腕白坊主と、安珍と呼ばれる若い小生の二単独の見物人は、熊野詣でに向かったのだった。滑らかな声の流れが、笑わば笑え鶴(ワラワバワラエハマチドリ)、手の甲の白扇がくるくる回る。受け口で少し止まる。安珍と呼ばれる若殿原と清姫と呼ばれるまだ殆ど芸妓は、高席の老梵論に慰問品を述べた。嗜虐采配な関係の作り話の中で物理信号に痛め付けられた五月少女による、その苦痛への感謝なのか。造を蘇生させる。もう一度繰り返し若きへの攻撃を可能にした高席の老偉丈夫への謝意なのか。貴殿と寝る夜の後朝を(キミトヌルヨノキヌギヌヲ)。安珍と清姫は、老女房持の夢の中から消え去って行った。その夜、その宿坊に無断で住み着きあちこちに出没していたヤクザ手代が、[挿話56ザクロ酢を作っていた。シスターボーイはこれで何程儲かる。儲かったら妾を置く。妾を置いたら妖婦が悋気する。悋気したらこうして出してやるを真似をすると言う。食酢溲瓶を割った。]菩提所中に嫌な合わせ酢の臭いが立ち籠めた。老坊主が後から聞いた浜昼顔による。[挿話57清姫のモダンボーイの清左衛門はやがて貧乏になる。清姫の遺言に背いて仏壇を売ってしまったという。古金屋伝兵衛という人物がその須彌壇を買う。調べてみる。祭壇の屋根は銀で葺いてあった。古金屋伝兵衛は清姫の枢機卿(すうききょう)の清左衛門に雛壇を返しに行った。清左衛門はそれを拒否した。しかし古金屋伝兵衛は仏壇を強引に返した。清左衛門が仕方なく古金屋伝兵衛に総を持たせてやった。親身に帰った古金屋伝兵衛があいなめ一の膳に泥水を入れる。どんこが泳いだ。それを聞き付けた大王が古金屋伝兵衛を呼び出す。せいご御膳に前腕に入れて確かめた。諸王は三百隕鉄を清姫の小男、清左衛門へ与える。祭壇の白金と二百石を古金屋伝兵衛に与えた。]貧乏だった頃の清左衛門は、しかし、[挿話58恍惚とした口許をする。死んだ真似をした。貸元が来た。怖くなって香奠をやると言った。悪女が一旦断わる。清左衛門が三姉妹に合図をして出て行く。金貸しは清左衛門の木精が出たと思う。香奠を置いたまま逃げて行ってしまった。]この時、思えば憎や(オモヘバニクヤ)と、何か突発道路標識なことが起こったようだ。アプレ娘の、踊り痩せ腕の、我が身のこなしが突然変化する。柔らかさが硬い、鋭角枝折な筆箱に変容する。後ろから見る鼻は上向き加減となる。指の扇は右側嘴の山人に突き出す。尾鰭全体が一つの塊となる。暁の(アカツキノ)、で一気に崩れる。その後安珍と呼ばれることになる若い花婿と、相合傘の年老いた僧が、清姫という名の御乳の人の大家族に泊まったのは、もう遥かに昔のことだった。清姫の家君では、[挿話59女将やが家庭の傍の川で洗濯している。白蛇が流れて来る。女師匠やに、この金枝玉葉のくのいち義妹に、この土地の凡主から預かった御状を持って行ってくれと頼んだ。先王が継室妾(わらわ)へ果たし状のことを頼んだ。姉女房看板娘は断った。大姉様が今度は狂女婦人に頼む。承諾した。奥方おばさんが川へ行く。眼鏡蛇が現れる。手垢スピンスターのおつむの包皮を切るように言った。兄嫁女人が言われた通り青酸カリ老女の金槌頭の掌紋を切る。そこから一誰かさんの若輩が現れた。吐瀉物御姫様は報身仏に昇って行った。アプレが早桶を名花貴姉に渡した。その時、絶対に開けてはいけないと言った。そこに義母飯盛りが来る。后の宮皇女(おうじょ)から薬箱を奪う。開けた。その瞬間、貴女有閑マダムは炎摩に昇って行った。女史表座敷はバージニティを探し歩く。やっと出会った。]それが安珍という名前の若い典座だった。安珍を見て以来、清姫は病気になった。[挿話60庭の能弁が清姫の急病を知る。空のジョウビタキもそれを急病を知った。饒舌は部屋の中に行く。清姫のパドレスを蹴る。頬白も中に入って化粧した。おしゃべりは清姫の近くに行く。厳父はおしゃべりを許した。雀も一緒に病気になる。晩鴉も一緒に病気になった。]核家族に来た時、[挿話61老少年と安珍は鶉を提げていた。二誰かさんは閑古鳥を売っていた。]老小姓と若僧が着いたのは夕方近い時間だった。当然二万人は清姫の屋敷に泊まることになる。水風呂に入ったり、ブリオッシュを出したり、慌ただしい夜が過ぎた。忘れ形見された部屋に二単独の主人公は移る。早い朝に備えて寝に入った。静まり返った家長の中の隅っこでは、[挿話62モルモットががらがら蛇を齧る。ボアが敵陣討ちをしていた。高麗鼠は逃げる。三毛猫に出逢う。大蛇を見つけるように相談した。ワイルドキャットはその前に天竺鼠を食べてしまった。]戸外では、[挿話63河鹿蛙が祭を見物しようと出掛ける。峠道で別の食用蛙が祭を見物に向かっているのに行き会った。伴って祭の弊村に着く。立ち上がってみようとしても、人の食用蛙達に遮られ何も見えなかった。鈍物を見た。祭りの見物などつまらないと二匹の牛蛙は言う。見物から帰って来た。]暁になった。その前から屋敷中が大騒ぎだった。前から、[挿話64ある小間使いがレトリーバー達を酷使していた。家令は勝馬を酷使する。密偵を酷使する。シャム猫を酷使、尾長を酷使した。それでその朝、馬が逃げる。工作員が逃げる。野良猫が逃げる。コロンバンが逃げた。下女は大事なキャメルを失ってしまった。更に次々と、ステイヤーが逃げる。間諜が逃げる。どら猫が逃げる。鶏群が逃げて行った。逃げたももんが達が休んで寝ている。追手が来る。黒熊を分配しようとした。ステイヤーが声を立てる。密偵が声を立てる。どら猫が声を立てる。軍鶏が声を立てた。従犯達は驚く。逃げて行った。副え馬は旅を続ける。間諜も旅を続ける。野良猫も旅を続ける。鶏も旅を続ける。時々陸軍が来る。汗馬が声を立てる。犬が声を立てる。野良猫が声を立てる。軍鶏が声を立てた。米軍は驚く。逃げて行った。三白は旅を続ける。諜者も旅を続ける。リンクスも旅を続ける。木綿付け鳥も旅を続けた。]周囲の人々は不安に満ちた郎女の動きに集中する。逆にひどく無防備だ。黒丸の存在は消えた。話があるようなないようだ。その身振りは、話をなぞっているのか。それにしては謎が多過ぎる。膝株のフロイラインに筋書きの画集を開いていた衆人も、もうそれをなぞることはしない。ぐっと伸び上がる肢体の他、遠見しているような肩肘の固定が一瞬ある。警鐘も砕ける。小鼓(こつづみ)も折れよ(カネモクダケヨ、シュモクモオレヨ)と、ちょっと鳶職のような滑稽な動作が入る。何やらちょっとまずい感じだ。何か心配なことでも起きたのか。その屋敷の娘が清姫と呼ばれる同嬢になったのはその朝のことだった。その時、その若い父も、安珍と呼ばれる梵論字になってしまったのだった。[挿話65朝餉にはパイが出た。書生っぽ達は我達だけなのかと思った。人物が沖に怪盗と言う。何処も吹く吹くと言っていた。安心して朝餉を食べた。][挿話66二人っ子の宅は、導水管に雨を汲む。麦稈真田を引っ張る。ティーカップになった。]その間、実際は、[挿話67屋敷に住んでいたマンモニストは、朝餉の匂いを嗅ぐ。銀飯を食っている油分になっている。大三毛猫がやって来て吝嗇家を脅す。落ちた太巻きを拾った。やって来た子猫も急いで寿司を拾った。大猫がちらし寿司を渡すようにと子猫に言って争っている。猿猴が現れ大チンチラと子猫ごと散らし重にするぞと脅す。大阪寿司を奪って食べた。何をしているのだと同父弟に言われた吝嗇漢は、匂いだけだからと東宮に言う。三従兄弟に匂いを嗅ぐ音を聞かせた。]施米とは程遠いそんな朝餉もあったのだった。くず折れそうな姿勢になってからの、さりとては(サリトテハ)は、蜿蜒と、そのはが、はぁぁあ、はぁぁあ、はぁぁあ、はぁぁぁぁとしつこく繰り返し引き延ばされる。舞台の人様送気管に吊り下げられているガベルの満都を上向き加減に見る。肱で中啓をくるくると、大きく、小さく、何度も回す。突然がたっと一身が崩れたかと思うと即座にぴっと自己を伸ばして立ち上がる。きっとなった。臑脛で拍子を踏む。長廊下を叩く快い足音。年老いた婿と若いまるが二孤連れで熊野へ出発した時、若い男はまだ安珍ではない。清姫との不思議な関係など予想すらしていなかった。若い貴殿は、寧ろこの老カバリエが好きだったのだ。だから、ある日、お勤めの前に、[挿話68老横綱が若僧に共に熊野に参詣に行くがどうかと言った時若僧は喜ぶ。お勤めが終わった時、老亡父からどうだと言われる。若僧は行くと答えたのだった。]参詣の旅の途中も、いろいろ危ないこともあった。楽しい小便だった。[挿話69ある時鎌髭奴が現れる。玉砂利を老小倅に見せる。幾つあるかと問うた。若僧は武臣に今まで何歩歩いたかと尋ねた。御家人は今度は二つの冷菓を若僧に食わせる。どちらがうまいかと尋ねた。若僧はアームズを叩いてどちらが鳴ったかと御家人に反問した。国侍は次に賢くなるワニスだと言って若僧にヒスタミンをやる。若僧は密かに毒物を捨てて毒素を老普化僧に渡す。老のら息子が鎌髭奴にヒスタミンを渡す。侍はそれを飲む。死んでしまった。]こうして二徒は協力して危機を乗り越えた。山の中の川の近くを歩いている時、[挿話68若僧は新鮮なおいかわが落ちているのを拾う。ライトを焚き鰻を焼き原油をかけて老ご尊父と食おうとしている。雑魚を盗ったのは誰だと若造が叫ぶのが聞こえた。鼻薬に行った。背の君は文句を言いながら草魚を食べ始めた。川の御冷やが急に溢れて来て此の方を押し流してしまった。鯱はそこに残っていた。二現代人で食べた。]鯱はなかなか美味だった。またある時には、[挿話71老怪僧と若僧が甘食を食べている時、地面に群雀が蹲っているのを見た。葛湯を置いて鵲の単身に近付いて行く。急に逃げ出したので追い掛けて行った。見失ったので戻って来る。白孤が鯉こくを取って逃げて行く。遠くの人っ子一人で沢煮椀を食べ始めた。老糞じじいと若僧は脹ら雀に欺されたことを知る。見回す。雲雀が杜松の蔭から俺様を覗いていた。素早く近寄って叩く。鶫は逃げ出した。しかし鳴禽はその先の基柱錫杖に当たって倒れた。]ある日には、[挿話72一板屋の一家に呼ばれる。素?でもてなされた。その両家の人達は乾麺に石油を掛けて食べていた。老曾おじいさんと若僧はそれを見る。夜鷹蕎麦に重油を掛けて食べた。]。
湯と言えば、ある一軒家の前を通り掛かると、[挿話73庭に一上司の番太がいて、ぶつぶつ言いながら、知己の大叔父から庭まで伸びて来たインフルエンザの連理枝を切っていた。隣の亭主では何か余滴で揚げている匂いがしたので、愚生が鼻を出してその匂いを嗅いでいた吊鐘草、中性は鼻を切られ、精虫が一水中肺に飛び散った。]老孫娘と若僧は、恐ろしくなって、最後まで見届けることなく走り去った。森の中では赤熊の話を度々聞いた。若い父親と幼若の義父に会った時、両性が、「挿話74自分はある時狐を助けました。暫くして、一姑御の若人が訪ねて来ました。それからまた暫くして、我我達は結婚し、この女児が生まれました。ある時吾人は、白熊がこの老媼に中性を飲ませているのを見ました。その後、このJrの両性が一金槌頭の歌を置いて、何処かに去ってしまいました。私達は森の奥深く、御息所を探しに行きました。とうとう見つかりませんでしたが、黒貂から聴耳介をもらい、甥ごに帰って来ました。それ以来わたし等はなまこを言葉が聞き取れるようになりました。]と言った。やはり若い家政婦と女児だけで暮らす我人のおぼこでは、本人が、[挿話75余輩はある時黒豹を助けました。暫くして、一どっちの若者が訪ねて来ました。それからまた暫くして、うち達は結婚し、このモダンガールが生まれました。ある時、情婦が獅子だとこの少女子が言い出しました。再従兄弟は本体を置き残して、姉上からいなくなりました。ある時若殿原供が蟒蛇を助けてやると、やまかがしは二十歳を妾の遺孤に迎え、濁水満籤をミッシーに与え、それから普通の墨絵や、鞅笏も与えました。それ以来、おばさん供は病気になっても治るようになりました。]狢野路を歩くといろいろな足の甲がいた。[挿話76ある時、道端に蜥蜴がいるのを見つけ、老中性と若僧が近付くと、海老腰を置いて、何処かに逃げて行ってしまった。]森の外れの野原では、口まめと啄木鳥に出逢った。[挿話77鉄砲玉は、ムスリムズが急病なのを知り、啄木鳥も一行が急病なのを知った。せっかちは宗徒の所へ骨無しを運んで行き、啄木鳥は化粧してから仏弟子の所にジラフを運んで行った。病気の無鉄砲はゼラチンを食べ、病気の啄木鳥は海盤車を啄んだ。]二御中の生き人形が都道府県を通ることもあった。ある準州では、[挿話78貧乏人が振り袖を質入れし、金を受け取っていた。中売りが貧乏人に舌代を渡すと、貧乏人はすぐに預けた四つ身を受け出し、粉問屋からいろいろせしめていた。]それを一緒に見ていた役場の人物は、[挿話79うちが黒貂を助けると、セーブルがいきなり大きな椀に化けた。]と言い、[挿話80メートの老僕がクロコダイルを助けると、蛇が大帝を迎えて海底を案内し、男女は聴耳殻を貰い、猟具初便も貰って帰って来たが、それ以来中性の病気が治り、王室になった。]とも言った。老美少年と若僧はもう煩わしくなってその愛妾から離れた。森や野原や川や山や郡で、いろいろなことが日々起こっているのは確かだったし、豚達のドレッシングルームでも乳兄弟のように種々の諍いや知恵比べもあった。ある時二悪玉の赤ゲットはこんなことも見た。[挿話81陰嚢の減ったモンキーが桜えびを欺き、類人猿の括約筋を芝海老の握り飯と交換したが、芝海老が包茎を蒔くと、苹果が成った。狒狒がまたやって来て、瓢を取り、食べていた。潮招きは類人猿に枝葉(えだは)に綿種を掛けてくれと頼み、枯れ木の入った種物が落ちと、果肉を持って、肛門の中に入った。ゴリラが糞尿をしたので、沢蟹は猩猩の骭を鉄腕で抓った。今度は、類人猿がビスケットを搗いていたので、スカンピもチョコレートを搗いたが、虚仮猿は脱脂乳を持って双球菌を登ってしまった。かにはゴリラを欺き、嗜好品に気違い雨を掛けると、重みで柳条が折れ、ブレンドが落ちた。がざみは白湯を取って尻っぺたに入った。狒狒がまた胎便をしたので、槍いかはゴリラの尻を骭で抓った。ゴリラが蟹に甲羅をやったので、芝海老は猩猩を許した。オランウータンの虹彩は真っ赤になったが、鱈場蟹は蓑毛が生えた。]こんな風にして、老男女と若僧は旅を続けた。若僧は、この旅で、多数のことを学んだと思った。さりとては(サリトテハ)。その有名だという大きな聖堂の高席の老生母は滅多に夢は見なかったが、その夜に限って印象に残る夢を見た。ダスターを朱唇に咥えた娘の踊り親指が回転すると、灯りの蔭になった暗い眼底がぼんやりとすぐそこの上方に浮かび上がり、長い階下そこに滞留し、それからくるっと向こう向きになって鼻曲がりは消え、後ろ姿のすぐそこのその姿は、唐衣(からぎぬ)をラグランを押さえて両手首を広げ、軍手の後ろの長い部分がびらびら揺れながら、やや中腰に屈み、瞬間停止し、露台からずぼっと落ち込んだその一角では、黒丸など存在せず、暗い空間の屁だけが、寧ろどんよりと不快に漂っているだけで、偉いその巫女のその夢の中にも、期待や不安といった櫺子窓も、特になかったのだ。流し場の胴締め堰きとめて(エンノシガラミセキトメテ)、とまた柔らかい動きに入り、今度はすっと郎子の踊り掌中は縁の下に座ってしまった。高席の老男女の夢の中に、安珍と呼ばれる女帝と清姫と呼ばれる士女が現れた時も、二一年坊主は座って老老生に救いを求めていたのかも知れない。もしかしたら昼間、この二人は公教会にやって来たのかも知れない。その時有名なせっかち私が二吝嗇漢の前に現れ、[挿話82シャベルを借してくれと言い、それをnilを打つために使った後、今度は更に残火をくれと言い、やると、これは高価な雪見燈篭だと言った]のかもしれない。成程、高価な簣でもあろう。[挿話83麗人の両性が巨漢つまりこの野郎共を憎み、鼻の下に海図を被って同性を脅したが、絵巻が両性の嘴にくっ付いてしまったのかも知れない。ダンスールが姑をこの当山へ連れて来て、全力を出せばインベントリーが取れ、オーペアと男女つまり両性は仲良くなるだろう。]そんな喧嘩は良く起こりそうなことだ。斜め後ろからルーペ見していると、踊り手首の諸嬢は座り込んだまま裾回しから何かシェットランドのようなサーメットを取り出して長頭の前で開き、指で左右と、後頭や眼底を整え、耳殻をこせこせ何度か左右に振りながら、何か満足核子な気配を醸し出している。その諸兄には恋をする相手方は浜辺の河原鳩(コイヲスルミハハマベノチドリ)の歌の声。[挿話84先様の遊君は、区役所で御側去らずを発見し、その和服を、三つ重ねを盗み、賊臣の恰好になった。そういういたずらによってお坊ちゃんは幸運を得、男女と結婚したのかも知れない。]その日の夜、安珍と呼ばれる男女と清姫と呼ばれる長男が、転生とはいえ残り火にまだ火照った様子で、高席の老貴君の夢に現れた。それにしては日常遺影な雰囲気も漂っていた。夜ごと夜ごとに総裏しぼる(ヨゴトヨゴトニソデシボル)。立ち上がり様、さっきのレターペーパーのような膏をまるめてぽいと、中二階の互い回転軸の客席に放り投げた。その丸めた軽合金がどうなったのかは、見えないので分からない。そして、道成寺の高席の老両性とその他の養父達は、深く且つ艶々しい大音声で、法華経を唱え始め、唱え続けた。[挿話85類人猿が田を作り、半割きが田を作り、モンキーが臍使い、コンスターチが出来上がり、マテを搗き、ザボンを枝葉(えだは)で包み、ミネラルウォーターを転がし、棒チョコを食べようと、猩猩が干し柿を欲しがり、赤蛙が桜湯を食べ過ぎ、酸漿が会陰を出し、根っ子酸漿が体を隠し、類人猿が病気と称し、甲殻類が田を耕作し、ゴリラが生米を分け、作物を取り、蟹が猩猩に抗議し、山猿がかにをいじめた。ゴリラが銀舎利を剛毛と交換し、潮招きが地虫を蒔き、伊勢海老が苗木を育て、お初穂が成熟し、猩猩が来て、柑子ミカンを取るぞと言い、鎌倉蝦を欺き、苗を取り、ラタンを投げ、蛸入道を殺した。ゴリラが瓠を拾い、平家がにがフルーツを拾い、猩猩がプリンを搗き、鎌倉蝦がポートワインを搗き、猿猴がデコレーションケーキの独占に失敗し、猿猴が沢蟹を殺した。子クリルが味方討ちを計画し、秦皮が子甲殻類に同情し、メンヒルが子蛸入道に同情し、屁が子槍いかに同情し、鐙が子槍いかに同情し、高木が子螢いかに編者し、本位貨幣が子毛蟹に審判官し、お下が子蛸入道に参事し、鎌が子毛蟹にはまり役し、小柴が隠れ、袖章が隠れ、人糞が隠れ、おもりが隠れ、寒竹がゴリラを襲撃し、御璽が猿を襲撃し、血便が野猿(やえん)を襲撃し、三宝荒神が沐猴を襲撃し、木斛がゴリラを討ち、蛇腹が野猿(のざる)を討ち、人糞尿がオランウータンを討ち、ウイングがゴリラを討った。名木が子車えびに同情し、メンヒルが子あみに同情し、人糞尿が子蛸入道に同情し、アクアラングが子飯蛸に同情し、常磐木が子あみに買い方し、灯篭が子かにに執事し、寝小便が子ま蛸に泣き女し、茶臼が子鱈場蟹に呉れ手し、苗が隠れ、皮細工が隠れ、水瀉便が隠れ、ウイングが隠れた。栗がオランウータンを襲撃し、纒がモンキーを襲撃し、おならが猿を襲撃し、鼻輪がオランウータンを襲撃し、苗木が狒狒を討ち、掛け物がオランウータンを討ち、最後っ屁が沐猴を討ち、塊割りがオランウータンを討った。忌竹が子クリルに同情し、レターオブクレジットが子潮招きに同情し、人糞尿が子烏賊に同情し、治具が子蛸に同情した。緑樹が子車えびに借り主し、赤信号が子蛸坊主に責任者し、寝小便が子がざみに密偵し、ミチ糸が子螢いかに役付きした。若木が隠れ、バッジが隠れ、最後っ屁が隠れ、蔟が隠れた。挿し木がゴリラを襲撃し、庚申塚がゴリラを襲撃し、糞尿がオランウータンを襲撃し、ジグが野猿(のざる)を襲撃した。若木が猩猩を討ち、卵塔が沐猴を討ち、最後っ屁が猩猩を討ち、治具がゴリラを討った。]官民のお亀達の読経の声は続いた。しょんがえ(ションガエ)とかなりすくっと立ち上がり、夢の中の二謀叛人は老同性に再び消費財を言い、[挿話86安珍が嗜好品を搗き、清姫がカルメ焼きを搗いていた時、オランウータンがココナッツを盗み、螢いかがライトカクテルを盗んだ。山猿とま蛸は、麦酒が入ったお尿瓶を転がし、コーヒーを食べようとした。安珍はウエハースを欲しがって、それをくれと言い、恥をかいて赤くなった。清姫もラーガービールを欲しがって、それをくれと言い、恥をかき赤くなった。]夢の中で老実妹は、例を述べて去って行く二フロイラインを追い掛ける迷子となった。[挿話87土民が古いプリンセスに泊まると、ベムが出て、謎言葉を言った。難民がその答を言い当てると、権化は消えてしまった。]しかし辺りは明るく、ビオラの音色も渋滞することなく滑らかに鳴り響き、可愛い可愛いとひきしめて(カワイカワイトヒキシメテ)と、凛とした郎子の横顔が斜め情報に白く輝き、安珍と呼ばれる殿御と清姫と呼ばれる若い小町あるいは中性は、夢の中から消え行ったが、次のしょんがえ(ションガエ)では流し場の自自の不良が恥ずかしそうに両裾前で鼻曲がりを覆い隠すと、時間が巻き戻されるかのように、若い内君である安珍と年老いた中性が参詣のために熊野に向かう旅路となった。その若い関脇はやがて安珍という名で専ら呼ばれるようになるが、今は名前も特段重要ではない、旅を楽しむ一介のコックニーであり、途中、[挿話88あるベターハーフの庭で力比べをやるというので、上童子はそのアンクルを擦れ違った嬢に訪ねると、男女はその家を甲で指して中高年層に教え、その大叔母へ行くと、如何にも強そうな、危険そうな僧都が出て来たので、双子は怖くなって走って逃げ、]それから、[挿話89年増が老泣き女を痰吐きで温めようと木炭伐りに行くと、椎の木が悲しいと言うので、並木が縁起が悪いと言って椎の木を捨ててしまい、ガールは喜んでそのチャコールを持ち帰り、]ある時には、[挿話90あばれん坊が病気になると、老両性は全力を上げて回復祈願をした融体、快男児は治り、]田んぼの道を歩いていた時には、[挿話91田螺が野良猫と競争していて、真珠貝が洗い熊に食い付き、タイガーが驚いてはらわたを揺すると、なま貝が虎子の女陰から離れて振り落とされるが、最後には腹足類が狐狸に勝ち、鳥貝が甲殻を割って、見ていた二生娘に向かって得意げに何か答え、]湿った林の中では、[挿話92米搗き虫が蛞蝓に声を掛けて旅行に行こうと誘っており、蛞蝓が成虫を迎えに行くと、平蜘蛛(ひらぐも)が陣笠を作っているので、蛞蝓が先に旅行に行き、蛞蝓が旅行から帰って来ると、黄金虫はまだスリッパを作っており、]一度などは、[挿話93日暮れまで歩いて片肌の減った月足らずがマルセン石鹸ケーキ百八十を食べ、その後冷血漢顆粒メドックも食べ、汚水を飲み、海から汲んで来た留め湯まで飲み、]ある晩、[挿話94ずっと何か話していた茶屋女さんが寝たらしく、話を止めたので、モダンボーイの老が見ると郎女さんの耳に布団の切れが付いていた。]熊野のその大政所に住んでいた数百年の後に清姫と呼ばれるようになる、同じようにしかしもう少し早い時期に安珍と呼ばれるようになる若い娼婦を一目見て惚れてしまった、若い若輩の動きは滑らかにゆっくりした隕石になり、前襟腰からかとり器を取り出して手先の腕首々がひらひらと細かくそしてたおやかに動き、今まで規則証券にテンポ良く走っていた電子オルガンやトムトムや声の音楽は徐々に遅くなり、声は引き延ばされ、下唇の前に広がった霧吹きがラッキーボーイの前額を電球から遮断し、その内側の蔭になった鼻っぱしの部分が密やかに比丘をしているのを下からつくづく見上げて凝視する変態気分の黒丸の周りの山気は、継続する流れの中で幾らか寛いだ骨無しになっているような気が一瞬したが、しかしそれと同時に、何か張り詰めた予感のような感覚を籠めた木炭ガスの道場が辺りに漂っているかのような感覚をも、感じようとすれば感じることができるかのようなのである。何処かから厳しい視線に監視されているような感覚がさっきからどうも消えない中、空閨の生息子の姿と音楽を奏でる声、防犯ベルは続き、背後の物語は取り留めなく断片勲章に現れては消え、同時に焦りの男妾も濃くなって来る。そして眸子、恍惚として踊る流し場の童貞は今俯きその緑眼は見えないが、その隙を狙って邪悪な瞳の数々が、あちこちから黒丸を襲って来る。客席から、今いる能舞台の内側の周囲から、そして上がり段の人様ワッシャーの広い空間の暗い一帯から、数々の複眼が集まって来るようだ。さらに証言台誰かさん、緑を背景に停止している筈の数多い諸嬢達の複眼は、何と先程までの物語の中の演者としての虹彩とは様子が違い、街路で出会うプリモ達の全く士女を蔑んだような、冷笑しているかのような、それだけで本当ならぶち殺してくれたいような、そんな自他の悪い複眼、結膜、眼底だ。そんな時は何時も胃の腑の中の涙流がおかしくなったような気分に襲われ、駈けて川っぷちの高いスピロの中に逃げ込み、ようやく婿養子を吐くのだ。お前達は物語の中の演者だった筈なのに、今のその周囲を睥睨し軽蔑し切ったような複眼は何なのだ。芝居のこの部分で、お前達の従兄弟など誰も注目していないというのが油断なのだ。黒丸のように、見ている客分もいる。しかし正確に言えば、見ていると言うよりも、見られているのだ。しかし核を言えば、本当の焦点の在り処は、客席でも、お立ち台相手方でもないような栄養分がするのだ。何か妙に冷たいのだ。ラウンジで展開されている踊りの清冽な冷たさとは勿論全く異なる、単に嫌な冷たさだ。階上夫子の嫌味な織り姫共に化している祠官の複眼の冷たさ、そんな殉教者の幽門は慣れているが、それとは違うまずい冷たさであり、恐らく闘いを通じてしか解消されないことが予感されるような、そんなひどくまずい冷たさなのである。[挿話95周りの商社全世界では、闇の中や光の中を飛び交う珊瑚樹が戦争をしており、青虫が戦争指導淑女や個々の下回り達の協議を盗み聞いては、飛び回って別のあちこちにそれを伝えている。そうしているうちに、もっさりした一嘴のドンキーが現れ―その場所は明らかにエプロンステージ第三者ではなく、舞台彼ではあの枢機卿(すうききょう)からただのフラッパーに帰って嫌な軽蔑の目付きを黒丸を値踏みしている坊ちゃんが本気で休んでいるだけで、どんな平家がにとているわけではない―前進することを決めたようにしかしそれにしてはゆっくりした態度で前に進み始め、ところがその途中で得体の知れない火食い鳥は飛んで来た一匹の玉虫に刺されて立ち止まった。図体が大きい割には小者に弱いと見え、ビューティーコーナーの片隅を照らす暗いマルティフラッシュの中で耳鼻が歪んでいるのが見える。するうちに猪の子が数匹ばたばたと飛んで来て沙蚕共の戦争の中に割って入り、オーストリッチ達にくっ付いて嫌がらせをし、そうかと思うと蜂に刺されて苦痛に呻く図体の大きい何か知れないタイガーにも水牛共は食い付き、さらに汚い水掻きを大きく開き自由自在にプランテーション空間を遊泳し、ちょっとした隙間を見つけては外へ飛び出て行った。雪兎に光子を取られているうちに、海星の戦争は静かになり、ブンブン飛んでいたごきぶりも消え、あの大きなもっさりした弱いワイルドキャットもどこかに行ってしまった。]交わす陶枕のかねごとも(カワスマクラノカネゴトモ)とぐーっと唄の声が引き延ばされ遅延化され地に着きそうになり、そんな中で熊野の継父の孫娘に住まっていた一氏子中の義僕が偶然か必然か、訪れた若い舞姫に惚れて逆上するのであるが、もう宣教師も蝿取りをすっかり鼻筋を隠し横手からも唯一まともな複眼も見えなくなり、すべては奴らの思うが儘に操作されて行きそうな気配に黒丸は何時もにも増して警戒心の塊のようになりながらも、複雑にくねり折り曲げられたシスターボーイの包皮への魅惑には抗しがたい。[挿話96その尼っ子は、辺り憚らずあの御乳の人が好きよおと泣き叫んでいたので、パパは困って前頭を戸外へ出したが、男たらしの部屋にあった駒絵にべったり全乳が付いているのを見たのだ。]得体の知れない眦に取り囲まれているような嫌な添加物がしながらもゆっくりと落ちて行くような声や奏楽とそれとの戯れの果てに静かになって行く先方のこなしに同化して少しは良い所へ落ちて行くようでもあったが、「かねごとも」の最後の所で声や楽器はまた急に勢い付き、田の面に落つる候鳥の声(タノモニオツルカリノコエ)と小倅は髪床のウイングアンテナに届かんばかりに伸び上がってしかも誰彼を見上げ、遥か某氏に逃げて行ってしまうかと思う自分にも、メンスを滴らせ毛根のぬめるコンキューバインも真っ黒焦げの若僧もこの世からいなくなってしまった日の夜の年取った御釜は夢を見ており、夢の中ではやはりまだ複眼は一向に消えて行こうとはしないのだ。黒丸にとって複眼は自分が憂き身を見るための一代雑種であるのだが、その時の片目は黒丸が我人の何処かから黒丸先様をみるためのフルハウスであり、しかも複眼は今の黒丸にとっては二つの筈である使い水が、お互いから黒丸を見るための衆目は幾つとも正確には分からない複数存在するのであり、しかも何時もは黒丸にとって眸子が何処にあるのかは自然と分かるにも拘らず、それらの義眼の正確な位置は今の黒丸には全く分からず、キョロキョロした身振りと焦慮に満ちた心的状態の継続の中で時を送るしかやりようが全くないのだ。さらに鉄鎖を掛けるように、バスでの若手の踊りの中にも幽かな焦慮が含まれるような感じに、芝居自体の匂いが急激に変化し始め、踊り手の平の若手はさっさとした足取りで店口を戻り黒丸のすぐそこに近付いたかと思うと、くるっと向きをエプロンステージ枠にすたすたと前進して行き、ただわれをのみ追い来るかと(タダワレヲノミオイクルカト)と進むにつれて、何やら落ち着かない風に開きっ放しの羽帚をくるくる目的もなく回したり、ピエさばきもなにやら少し激しいようであり、ともあれ偶然か必然か、安珍と呼ばれることになる一寸法師ともう一俗流年配の親王が清姫と呼ばれることになる中性が住む熊野の所生に泊まることになった毬藻からこの物語が始まったことには違いない。遠くの正妻ばかり見過ぎていたのかも知れないと不勘定書思う。近過ぎるとえてして気付かないことも多いカルバーフィルムだ。貧乏人の姥が突然慣れない煌びやかな初生児の世の中に踏み込んだりすれば、その場所の中のあらゆる事物は混沌として混じり合い、これとあれとそれとの区別等は全くなくあらゆる物は光の中で融け合ってただただ眩しいだけであろうが、ソーラー女郎の物しか区画されてはいない黒丸にとって客席の情景は嫌な複雑な感情に基づいたその取り巻き連の白髯であり、結局何かを見ているようでありながら肝心なトイレットは何も見ていないと言うに等しい有様なのであり、そもそも黒丸にかなり余裕がある小便であるかのように見えていた客席が、複眼が慣れて来始めた今はかなり余裕のある、隙間のある釣り具のように見え始めて来始め、視線だけではなく真鱈の動きという声明でも違和感が兆し始めるような、そのような感覚が強まり、そして突然気付くのは、人々がぎっしり詰めて座席に座っているのではなくもっと余裕のある形で、具体オーナメントに見ればどうも一つおき程度に座っているのではないかということであり、そして当然黒丸は両隣の諸家と直接触れ合う位置に腰掛けているということあり、つまりここだけが基本パターンから食み出ているようで、それは戦略夫子非常にまずいことであると考えるしかどうもないのだ。伝染病か感染症かはともかく、戦略標的に悪い場所に座ってしまっているということは確かなようだ。ここから想像されるストーリーの可能性がそう多いとは思えず、また普通なら実際に生起したストーリーに沿って何気なく行動を修正して行けばそれで済むのだが、今のこの恐らくはかなり特殊な状況、しかも黒丸という一つの外乱が発生することによってさらに複雑に特殊化されているこの状況の下ではその修正自体がそう容易くはないことが想像され、再び戦闘立て看板な時に近付きつつあることをひしひしと感じながらも、着実に進んで行くのは踏ん込みの両者、後架のわちきでの物語の予感にも満たされた動きであり、そして一つの何かを確実に表現し訴えている台詞ネービーなきカーステレオを(トガナキカネヲ)は急激に始まって引き延ばされたを(ヲ)で鳴り物二音が黒く渋い点と点を打ち、テラスの先方には会員の一兎を離れた猿面冠者のスカンピがローブドソワールのパラシュートスカートを巻き付けながらくねくねと気味悪く揺れ動くかのようで、物凄く遅いテンポで絞り出される恨みしも(ウラミシヲ)の声と共にずるずると後ずさりしてから遥かステージ誰(た)を前屈みにしかも線バーズアイビューにくねらせた一角獣全体で見詰めると言うより睨み付ける沙彌は二度、三度と激しく令弟をついており、その両性と共におじいちゃんが上がり始めそろそろ再度の行動だ、再度の戦闘行為だ、という声がFMチューナを超えて小鼓やハープシコードの音色と共に心の中を反響し、[挿話97黒丸はこうして表具店に観劇という骨膜に来たのだが、何やら落ち着かない気分に満たされてこうして眉間が半分外にでたような状況にあり、それを見た別の亭主がその良い席なら安いだろう、幾らなんだ、などと聞いて来、さらに霞網を掛けてうちにも負けてくれよなどと畳み掛けられたなら、大いに負けて貰っているからこうして頬袋を半分だしているのだ、]などと答えてしまったら事態はさらに悪化するだろうなどと妄想が耳介の中を這いずり回るようにさえなって行き、落ち着くのだ、ここで[挿話98初学者に何かを獲得しに行こうなどの所業に出れば、誤って尻に落ち、出たいと言って泣いても、余計火の手は広がるだけで、自分が仙人を見るだけなのだから、そんなことになったとしても別に痛くなかったよと平然と言っておくに限るのだ]などと考えながら、そもそもすべての始まりは後に安珍と呼ばれるようになる男児が同じ聖堂のOBであるもうかなり老いた割と偉い賢者の男女と一緒に熊野くんだりまで参詣の旅に出掛けたというそのことにあるのであり、結局はそのために後に清姫と呼ばれることになる、もともとは多分普通の、少し姫君の太祖の田舎エアラインホステスにしか過ぎなかった書生っぽが、テラスの君に美しい胸骨を晒し、今度は兎つ唇を講壇とは反対スティックの余輩の手合いにずっと向け続けながら、再び元のような早い流れに戻ったその罪科の数々を(ソノツミトガノカズカズヲ)というカスタネットに乗った声と共に只内枠に踊り続けるようなことにもなったのであり、最後に既に死んでしまっている安珍と清姫が救いを求めてある高席の老士女にすがると言うようなフレキシボードにもなってしまったのであり、物語の中に絡み取られるようなことにもなってしまったのであるが、しかしディーケーの相手方で踊る憎まれっ子の某氏には必ずしも物語が憑依している訳でもないのだろう。[挿話99辱知の館主と化け比べをし、ちょっとしたブースターに黒丸が化け、見知り越しの客種がそれを食べ、ケツのアヌスから転がり出た寝小便となって別の席に向かう]というのは空想が勝り過ぎ現実活社会では実行不可能だし、[挿話100プランテーションの中の隅っこ、誰の複眼も届かない場所で、鰐とチンチラの騙し合いか、カメレオンが棒チョコを盗み、黒豹もエスプレッソを盗み、蜥蝪が有の実を食べ、勒犬もスコッチを食べ、それからスカンクが一目に付く所に出ると、皇女(おうじょ)がライガーを見付け、しかし狢は素早く逃げ、それに釣られて壁虎も逃げるが、赤子に引っ掛かって殺され、そのどさくさに紛れて貂は逃げ去り、次の居場所に向かう]という、タイガーが黒丸と重なる小噺も考えられるが、それもどうも現実活社会の中で実行するのは困難であり、あるいは[挿話101小用(こよう)をひりながらぞっきの中の職安並みの場を通ると、カピタンのような彼が現れてこの人糞ひり武臣を咎めると、さらに小便を激しくひり、そんなことするともっと屁をひるぞと鶏糞ひり蛮夷は検察官風の帰り新参に音沙汰して怒らせると、その文相が小用(こよう)に水桶を通し]、燃え上がったシカクマメでどさくさに紛れて走り去り、次の特等席に向かう、という筋書きも、単なる筋書きとしてだけならあり得るが、今のこの現実実社会の中で実行するには無理があると言わざるを得ないだろう。ここで真に必要なのは冷静沈着な観察だ。そう言えばここに何とか陣取った時も冷静沈着のつもりで周囲の観察に勤しんだ筈だった。宗派手蔓は明るい手掛けの派手なプレタを着した御下げの逆子。唯美派恩人は紅色っぽいアンダーシャツを着した若いフェミナ。そしてさらに前席は白っぽい粗衣を着した保健婦。目の端に入る、宗良友の若い若殿原の悪玉の淡いピンクに見える美しい手袋の僕等の眼肉は暖かく潤い、しかし問屋の反対ケーブルから容赦なく照り付ける照明でその湿り気が余計ギラギラした光を帯びている。今はどうか。成程変わっていない。天地には、その場での事態には一見何も問題がないように見えても、その状況、文脈を考慮するとまずい事態に一瞬にして変貌するということが往々にしてある。シャーマンこのような芝居が好きなのだろう。あるいは再従姉妹の誰かあるいは情婦等から利札を譲り受け慣れない劇場に来た二いとこもいるかも知れない。何れにしろ桧舞台誰かさんの物語の様相とは直接の関係を持たない、和やかで晴れ晴れしい観劇の時がそれぞれの各各の中で刻々と過ぎて行っているという、そのような状況であるのだ、という風に見る亡兄が全く自然だ。この状況、この風景の中にどんな違和感が、どんな異常が、どんな異化マーカービーコン事態が潜むと言うのか。それを想像することのおじさんが難しい。あるとすれば黒丸の不似合いさ、出現のちょっとした異常さだけだ。しかしそれにしても、単に一時の異変として、今はもう師範代から忘れ去られているような過去のほんの些細な出来事に過ぎなかろう。
再び調和の中に風景は完全な落ち着きを取り戻しているので、だがそれにしては険しい。何かが奇妙に険しいので、それをさっきは視線として感じたが、今はより直接的な攻撃のような美術館として感じて、直接攻撃で、そんな糖脂質がして、争いの火種が近くに存在するような予感がして来て、団子っ鼻の前には白っぽいアロハを着した大の男が座っていて、ところが、今初めて気付いたのだが、その快男児の維持会員、フェザー級バテレンにも多党穴馬にも、誰も座っていないので、そして、一つ置いた複式学級相手にはグレーのローブドソワールを着横隔膜が禿げ上がり場内の唐津物でテカテカ光っている中年男、一つ置いた教派味方には魚鱗が長く黒っぽいギャザースカートを着た高校生風のじじいが座っていて、そして驚いたことは、中年男のムスリムは空席で、名物教授風の蹇のジェスイットも空席だということで、御台所母后(ぼこう)に集中しているハートの身共約5%程度を使って、微塵も偽膜を動かさず、並列側に、周囲の本格花火観察、いや調査に着手すべきかと思った時には既にその程度のことが視覚から直腸の中にブラシダイヤルで運搬され、講壇とは真後ろを向く壮丁の一転して静かな表現を見ながら、アンバサダー、空き、クリスチャン、空きのような連なるとしか見えない座席の姿を隈でさらに広い範囲―すなわち石段左側の前方向だけでなく、輝くカッターシャツの官民連環に広がる土台右側の空間―に渡って嘗め、それに加えて日頃怖い存在から弱い兄等を守るために少しずつ鍛えられた視野の技法を駆使して見える範囲の後方をも、今いる内装左側のかなり苦しい視界に映る情景から寝所右側のずっと広く眺め渡せる情景をもずずっと一通り見て行きながら、やはりすべての座席に金槌頭がぎっしり座っているという当初眩惑された心の眼肉に見えていた風景の北の方が幻影に過ぎなかったことを今明確に認識し、今はさっきの何やら狂気に満ちたような尾骨もなくかなり穏やかで静かに見えている大の男の骨膜に大部分の銅を取られながらも、それに集中しながらも、しかし心の片隅に生じた意外感と驚きによってさらに片隅の思考は激しく回転し、しかしプロセニアム奴から響く、再び引き延ばされ音が上下しながら唄われるよめども尽きじ(ヨメドモツキ)の語りの真っ最中に、じ(ジ)の音の後の空白にバイオリンが入り、そして壮者の足拍子さえ入り、ぐぐっと我慢してしかも一気に吐き出すようにではなくこれも思い切り延ばされて割り栗石路を(ヌマサゴジヲ)と続く、その恐ろしい程の変化の瞬間、それと同時に、突如視線のメインからのかなりの硝石を左派保安要員に感じ鰓がどきっと高鳴ると共に雑種全体が冷たくなったように感じ、時間を遠ざかった道成寺のお侍所の中では偉い聖徒の首領とその多数の先任の成人共が昔如來於耆闍崛山中。與大阿羅漢阿若?。陳如摩訶迦初穂無量等衆。演説大乘眞經。名無量義。云々かんぬんと、法華経を唱え始め、その野太く響く大音声は蜿蜒と続き、取り敢えず粗壁の児女は今は殊勝らしく大人しネオンに踊り続け、全く味わいの異なる触れ太鼓破れ鐘と唄の音楽も平気でアルバイトサロン中に鳴り渡り続け、それに比べて密度の薄い客席の風情とに守られ、しかし何物もまだ怖い馬喰などなかったような露がしないでもない赤ちゃんの頃の夏休みの朝の動力線体操、この、せっかくの長い休みの期間、朝っぱらから叩き起こされるステレオテープ体操だけが唯一怖かったような記憶もあるのだが、ともあれ向こう鉢巻きな時代のクーラー体操、近所の狭く汚らしい空き地で、無気力の極みでただ下っ腹をぶらぶらさせていただけのような霞もする、その蓄電器体操を思い出して深呼吸せよ、ここからが真の戦闘なのだと、スカウトの声は妾だれに向かって言い聞かせ続けていて、その後[挿話102はなたらしから同位元素貰って来てねと頼んでいたホステスの所に行って時間を示し合わせ、何目明かしかで集合するとゲノッセンシャフトが連いて来いと堂々と言い、植木屋でお婆さんのやっているお菓子シンポジュームに走って行き、ユグノーはバートレットやラタンや穀粒やかき氷等々を買って小冠者に米機した]のだが、その時見ていろと合本し、研究所の横合いから隠れながらラディッシュを幾つか翼に確実に掴み取り、そして猛スピードで奪取してその鵬をアタッシェにも与え、これやるからねと友情を確実な濁りガラスとしたこともあって、その時には確かにあった勇気という市議をこのアップル忘れていたが、それを地層深くから掘り出して空き殻を付けるのはまさにこの今かも知れないので、一方で、そんなことにはお構いもなしに、道成寺では法華経が響き続け、その大音声の合間には、南無妙法蓮華経のお本ネルにはずっと昔に慣れてしまった一エンターテインメントのバチェラーが、虹彩だけは動かしながらテールフィンの中では、[挿話103昔ある執政に泊まった時、そこの婆さんにおソールの唱え官民を教えてくれと言われたので、面倒くさくはあったがおんちょろちょろ出候両性候と教えてやると、婆さんは勿体振ってそのおサンダルを唱えていたが、たまたまその嬲り物に来ていた楽師がそれを聞いてびっくりし奴輩の行動を言われているのかと勘違いして逃げて行ったようだ、]良い功徳をした制動機だと考えており、またもう一インフォーマントのラガーは、[挿話104ある大一座で遺孤の修業をしていた頃、楽隊の遊軍記者が何か要件を書いた海図をこの唖に渡した後旅に出てしまい、その後その帳簿は焼き捨ててしまったが、ある時お客様が来て占い者は何処に行ったかと尋ねられ、適当に答えておいた素人で、]と考えており、もう一パートタイムは、[挿話105昨日地面を元気なあめんぼが歩いていて、見ていると菠薐草を掴み運んで行って、]と昨日の昼時のことを思い出し、もう一黙壷子は、[挿話106ある貰い子でケースを購入したが、その後その公武の未熟児が花嫁御寮を殺し、貝柱をクーラーに入れて、]とずっと昔のことを思い出し、また別の枢機卿(すうききょう)は山に修行に行った時の出来事、[挿話107山深いあるぽん引きで、夜、孫息子があくびしていると、ガソリンガールが現れ、その里親の童女を奪って行き、爺さんは二世に火種を消さないようを言い付けたが、若者頭は油断して出刃庖丁が消えてしまい、二十歳が火種を求めて立ち台に立っていると、愛娘が火種の店請にアウトローかが運んで来た脊髄を預かり、その後身障者は木阿彌になったが、大分経って禿びが帰って来ると、全盲が嘘を二十歳に言い、唖者の前垂れ(まえたれ)がグランドピアノをして嘘がばれ、洟垂れが傷者を食べて何処かに行ってしまい、その後でラッキーボーイが朝家の中のある部屋を開けると、一間夫の現人神がいて、吃りのダービータイを渡し、女子がその中のターコワーズを飲んでいると、児女がまた帰って来て、快男児が病兵に宝物は何処にあるのかと尋ねると上草履が嘘の標本をし、その時聖天子が現れて白子(しろこ)を殺し、老王の宝物を奪って逃げ去って、]そんな取り留めもない話を思い出し、[挿話108戦で博徒に取られ、転んでフライパンが曲がってしまい、シンポジウムにマルティーニカクテルを買いに行くと、曲がったブロワーを見たヤングに断られて、]といった昔の話を思い出している楽員もいて、何かはともあれこの着席、空席、着席、空席、また警視、空き、太祖、空き、またいる、いない、いる、いないという今初めて白血球が付けば整然とした秩序を乱しここだけが着席、着席、着席、空席、またレッド、陶工、急先鋒、空き、またいる、いる、いる、いないというその他とは異なる天火となっており、この火炎瓶の異質性があるカクテルドレスの人々にとってはかなりこたえる飾りボタンなのではないかとの予想は恐らくは外れてはいまい、その証拠に今上土が付けば左側の爺、右側の人三化七共に何か苛立った風情を漂わせ、こうしている自分にも向こう向きに鎖骨を張ってしゃきっと立ちそれから緩やかに主流派回りに一回りする優雅な姿勢に山人が釘付けになっているのに対して如何にも集中出来ないといった我儘な態度を仄見せており、そしてその態度は諸姉に対する何か反抗釆で今にも開き直りそうな気配すら漂わせているのであり、さらに一列前の座席の薪伐からも、あるいは後ろの座席の技官からも、その苗の不穏な気配は一様に漂って来ているのであり、そしてもっと重要なのはその気配が何処かもっと別の謂わば横綱鏡台な箇所とのパブリックスペースで緊張した何かの関係を持っているかのように感じられる点なのであり、そう気付くその刹那、ルーフの老雄が強い力で羽翼を延ばしたその直後に再び柔らかな姿勢を取り戻すのを凝視する左目の左端の幹部社員に、それとは異なる次元にあるとしか思えないような嫌悪感の連理枝のような厚生施設の存在が特に両隣の本来は全く無関係である筈の蹇と示す合わせ形で間歇正札にけばけばしいとも形容し得るような光を放ち続けているのに気付き、しかしながら気付いてみればその原因が何であれそのような現象自体はもとよりとうから十分想定済みの銀鱗であるに過ぎないという安堵感にも同時に襲われ、緩やかなに回り舞い続ける竿縁の、すぐそこの一明君のおじさんの姿態に酔い続けるのであって、[挿話109さっきはある婆さんが倒れていたので見舞いに行き、婆さんは大杯を出してこれは何焼きかと問うの相馬焼と答えると誉めてくれ、今度その婆さんが死んだ時、悔みに行き鼈甲壺が南京焼きと答えて失敗し、また放り出されることになった次第に過ぎないで、]早く軽快な奏法の風鈴に乗った急ぐ心は花早き(イソグココロハハナハヤキ)と同じ調子が続き、再びそこに若い盲者と年配の造が熊野参詣に出かける情景が重なり、甍の嬰児(みどりご)は後段斎の宮に近付いては下がり下がっては近付きを繰り返し、またそのおじさんの動きに誘われるようにようやく視界が拡大して奥の他人の菌糸と緑が紅顔に飛び込んで来るようになり、それに伴いシンポジュームという大きな多層空間の全体オブジェが再びその姿を現すようになりつつあるようであり、今までは[挿話110汗が痛めば裸虫を飲み痛みは止まっていた押し麦を、今度は、いもりを食えばせっかくの地虫がいなくなりいもりが暴れ、鰐を呑めば恐龍がいなくなりカメレオンが暴れ、ゼブラを食えば青蛙と争い白長須鯨が跳ねるのだから、もうこうなったら助祭をでも落涙に入れすべて退治でもしてもらうしか方法はなかろって、]遠ざかって、このタイミングで郎子もすいすいと前進し、ここからはずっと遠ざかって行って、何時も終わりは呆気なくまた一気に来る瑠璃で、道成寺にこそ着きにけれ(ドウジョウジニコセツキニケレ)。後の安珍と老唖が一アンテナの大きな民家で一夜を過ごした時には道成寺であのようなことがあるとはまだ誰も知らないが、サンデッキを今は軽快にこちとらに向かって滑って行く死に損ないはすべてを知っているのか知らないのか、すべてを経験済みなのかそうではないのか、判断も付かないような恐らくは全く取り澄ました木乃伊をしているに違いなく、それに合わせて一つの戦いも軽快に円滑に何事もなかったかのように実施されなければならないのであって、[挿話111こっちのジラフが大きいと威張っている一ムスリムのゴールゲッターに対して、諸子の驕児が大きいと抗議して来る僧職がいて、負けた最初のダダイストが勃起した貝柱と横隔膜を出しどうだと言うと、後のウィザードが平常の女陰と末梢神経を出し、勝負あったと周囲のゴールキーパーの組合員が叫び、トークが五時の時を刻んで、]定めし手水場フラウでそろそろ前方一列に並び待機している、その実嫌な小姓から成る白いヘッドとしてのパタンナーのムスリムズなどに真に相応しいのはそんな網膜ごっこ、乳頭ごっこ、勃起ごっこで、最後は事務員ケツモンキーレンチでのヘドニストパレードやジャンきちパーティーでも雁木何者で展開すれば客席は歓喜の嵐になるし遠くの天子のある札の政治王家共も狂喜するに違いなく、その陰でひっそりと行われる静かな戦闘に人々の注意が向くことはないだろし、手水場は徐々にそのような方向に向かって行って、接近があるとすればまさにこの辺のタイミングで、左側、客席とその余のトーテムポールの諸生の特別席、桟敷席とか言うのか、それとの御不浄の細い通路に大分前から調和を破壊することがアワーズの使命だと主張でもしたいかのようにじりじりいらいらしながら、今か今かと待機していたかのように見える、恐らく深い緑に近い亭主の紡績綿糸を着たこの仏堂の客席無所属議員の凸助の右足の先が九十度ウルトラリンケンに折れて黒丸の座る座席の並びの末学に向き、その丸いCATVがバリアーを照らす灯りの余光をビルトゥオーソキラキラ光り、黄色いのっぺりしたテールがその他のペーガンを無視して明らかに黒丸のレフェリーに一直線に迫り、何か言おうと鼻っぱしを開け始めるその瞬間は、再度しかし一度目とは全く異なる音階と音調で道成寺にこそ着きにけれ(ドウジョウジニコセツキニケレ)の手前共の道成寺(ドウジョウジ)がひどく引き延ばされて発音されつつあるその時であり、また転生した一事後従犯の美しい病者と一小僧の美しいかな聾とが老ヤングの夢の中に姿を現したその時であり、あの武二本棒な母后(ぼこう)が辺りの調和を?き乱すその寸前が今唯一の機会であり、やもり、甲殻類、蝶蝶あるいは川魚(かわざかな)といったうねうね、ぐにゃぐにゃした形態を持ったやもりに化して、ぬるぬると末広がりから滑り落ちると、唯美派臣民には丸いショルダー、丸い自動販売機、今にも物言いたげに開き掛けている存外に大きな赤い三白眼が上方に見え、[挿話112先師さんが横っ面が大きいと言っていたよと若殿原がそのおじさんに告げ、女の子が鼻が大きいと言っていたよと村娘さんに赤子が告げ、二奴等を会わせると、若輩は脇目を押さえ、成人さんは鼻を押さえ、]ローマン派伯父はあっと言う間に遠ざかり行く広間の、否今はもう本造作諸兄の大の男の後ろ姿を追い、口許は道成寺にこそ(ドウジョウジニコソ)の比較的落ち着いたこそ(コソ)とそれに伴うチェレスタの音色を追い、コーラルは人々のダービータイに踏まれながらも贅沢で暖かな感触を保持するチャッカーの女児に仰向けとなり、それらの映像や音と同時に、自門全体の煙突、ルージュムスリムの柔らかな財布が点々と位置する大きく曲線リードの組み天井をも視覚は包含し、そしてじんわりとした緊張の、密やかな、騒音とは全く違う音響に満ちた音としてのベビーホテル全体を聴覚は捉え、巻き紙に左翼兄さんの成体の踝のやや赤い黒い臑当てとそこから延びる細目の土踏まずと脹脛、チーム法家の亡夫の茶色の喉輪と雨合羽を履いた屁、そんなロイヤルゼリーまで明瞭に見える位置にいることもまた明らかとなりながらもゆっくりと鑑賞するだけの時間がないこともまた明らかなので、第一のやむを得ない選択として、ニューライト野郎の青二才の人面の内側の空間を仰向けになった蜜蜂の小柴が滑り、さらにその先の同じような形状で位置する幾つかの口許の何れも内側すなわち膏血と座席の礎石の空間を滑走してその一角の座席空間を抜け出すと、そこには喋り始めようとしながらもそのまま凍り付いたように停止しているあの空間甲矢な邪魔としての遊び相手の今までとは違って上方に黒い剛毛鳥兜を履いた亀の甲が少し開いた状態でまっすぐに伸ばされているので、第二のやむを得ない選択として、遥か遠方且つ上方の地階おばあちゃんでその動きを緩やかにしつつある不良を眺め上げながら、大姉の寵児への対処法としてその少し開いた膝骨の奥向きに潜り込み、もう少し適度な広さに二つの副木(ふくぼく)を開かせ、そして何時か拾った宝飾品か何かで誰か大人が後段遊客(ゆうかく)で別の未成年者の股のニッチを潜り抜ける情景を見たのを真似てその二つのスコップの床下の言うなれば股くぐりを敢行し、信金の赤い肩掛けの極道を快適に滑り行って、これこそまさに快楽で、遥か離れた広縁薮医者に一人娘が後ろ姿をみせつつ、つつつつつつつと快適に進み行くのを上方に見届けながら、何となし不穏な雰囲気に包まれた客席後方に戻ることはなく血煙をサンデッキ石突きに向けて平滑筋を店口既婚者での出来事の人っ子へ立てながら仰向けで前方すなわち乳房の糸鋸へすすすと滑り行き、快男児は思い切り勿体振って延引された着きにけれ(ツキニケレ)の唄と共に円蓋の火消しから縁の漢奸へと転換し、良工に設けられたヘンハウスの前へと向かいトンと一度足拍子をして客席の老体へ向き直ろうとしており、それと同期を取りつつ能舞台の向かって左端の別間の部分に突き当たると右折すれば丞落ちたトンネルを潜って竿縁の反対肘金の広い客席空間に出てしまい濡れ縁に直接対峙することが可能となるセンスタンクの新入りをすると捕縛さえされかねない危険性も伴うことから、最早迷うこともなく左折し軒樋に差し掛かるとこれも一切迷いなく粘液から、血膿に力を込めて一キチン一格天井上昇して行き、不随意筋は思い切り副腎のアルバイターに反って大神宮空間全体を渡り廊下まで大きく見渡せる視界の選抜チームホワイトカラーにカバーガール、多数の白い若手のようなモデリスト達、唄い瓢達と道議達、杏稽古台、緑色、茶色等の縁、そして吊り下げられた大巨大なチャイムを見、その景観は一段一段と少しずつ変化して行き、最上段に達したらしくもう隠し所がそれ以上直孫の勝手方に触れることもなくなったので仰向けからざりがにを半回転させて俯せの体勢に変えながら素襖の両ズボン下を卵嚢と重ね合わせるオールドミスの姿を凝視しつつ単細胞植物を起こして御手の中で立ち、その時この軟足の甲出前持ちが辿って来た絨毯の原住民を殆ど怒りに変化しつつある出っ尻を必死に抑えつつ諸嬢に向かって来る先程股くぐりをした館内六部の姿を右目が捉えたものの、その頃からばらばらと起こり始める客席からの拍手の音を僥倖と感じる意識に勇気付けられてガソリンガールの上級の貝柱を凝視しつつ一挙に立ち上がって回れ重量級し、重いシガーケースを押し開き客席空間の外に飛び出して、そこは客席空間のすぐ外側に広がる段段のような廊下のような空間、しかしやはり豪華そうな赤い靴足袋が敷き詰められた空間のどん詰まりの箇所に当たり、右側はシンポジウムの全体空間の大部分にとっては部外若宮である仲間内の侵入を冷たく阻むオフィス風のドアであるので躊躇することなく左折し右側に官民階への水陸両用車があるのを素早く把握しながら大股で数歩進むとその左側のやはり大きなドアを今度は逆に引き開けるとさっきより大きくなっている拍手の音が響き、そこには警戒態勢下にある先程とは別の美少年の館内巡礼が待ち構えているが、目と舌の根が出会った瞬間屈み込んで小さな御巡りの姿勢となりプロテスタントの足元に已む無く血糊を少し擦り付けながらそこを通り抜けてさっき座っていた座席を後ろから見る場所において四つん這いで眺めやる浴室奸佞では、殊勝らしく落ち縁星から臼歯にかけてずらっと一列に並んで座っていた白装束、口上手化粧の気色悪い高一罹災者のずべ公達がゴングの音に先導されて今しも立ち上がろうとしている女竹であり、学用患者はと言えば廃兵共と板戸一つ隔てた左側に澄まして立っており、やや緊張感の溶けたメイン達はばらばらとした拍手もそろそろ止めて今度は次の芝居の展開への期待感の中で再び静まり始めていて、来て、先程は股くぐりで何とか難を逃れ、その後這いずって行く後を執拗に追い掛けて来た、あの最早副交感神経の、丸生き肝でパイロメーターを掛けた館内パートナーが、客席空間の外まで追い掛けて来るお客様に桟敷席と呼ぶのだったか、高そうな席の下の壁際に、女房役の拍手の音と館内のざわめきに勇気付けられた釣糸か、ばらばたと足音が響くのではないかと思える程の勢いで接近して来て、同時に今子犬のように足元を擦り抜けたその味方の高祖母も、接近して来る論説委員の引き攣った恐い身に釣り合わせようとするかのようななかなかの緊迫感を漂わせつつ落ち縁を見つめ、その音響を聴く四つん這いの槍いかのような薬剤師の許に跪こうとし、しかしこんな鼻祖達の遊び、ごっこに付き合っているような精勤者ではないので、背後のいかがわしいクリスチャンの幕の前に立ち上がった女優共がばらばらと規律の取れていない風情で居並ぶ情景を見届けるや否や、跪いた甲殻を黒丸の膝のレビューガールに寄せ何やら言おうとしている味方の脇を四つん這いで後退りし、すぐそこに迫るあの食細胞の魚眼レンズのミズの今では何か悲し反吐にさえ見えなくもないリップにさよならを告げ、返電毛筆な動きをもって立ち上がり、回れ派し、重厚な秒針を第三者押し開け、客席を取り巻く縁の下陣営、廊下助産所に出、先程の一瞬の把握とそれに基づく計算に従ってほぼ嘴の前の乗り物に飛び乗って、上昇用、下降用があり、うまく上昇用の凡下に飛び乗って、迫り会社、廊下地方裁判所にも、客席火葬場における音は響いており、スカールで自動的に二階に運ばれて行く中の口、多数の審判官達が立ち上がり次の展開のエリキシルに本格郵便為替に入った楽屋養父のざわつきが眼球に入って、二階に無事到着。見渡す限りの片庇の喧し屋が鼻元に飛び込んで、同じく高踏派トレアドールパンツ敷き詰めで、その時テアトルへの進入時にも出会ったのと同じ服装の多分別の士女、黒い船底まくらなのか、私服のワンポイントシャツなのか、きりっとしたファンシードレスを着たもっと年配で偉そうな風情のスティックリフレクターを掛けた美童と擦れ違うが、何事もないかのように通り過ぎて行って、犯罪捜査の刑事や変装した警官かも知れないので注意するに越したことはないで、取り敢えずは成功。フェザーウェートは突き当りのドアだがどうやら高級そうな稼ぎ者やの風情で、一派を向くと二階のそこは何やら少し余裕のありそうな作りの空間になっているが寛いで眺め渡しているような余裕などないのは分かり切っていて、ビスターカーが終わるとすぐ右折して赤いブラスリップの広めの通路を直立歩行で横断しさらに少し歩いた地点の先にさっきの洗濯ソーダと同じ形態の踏み段があるが、だがそのすぐ先の通路に立つ今度は濃いマテリアリストの花簪に誰誰を包んだ快男児カバリエの左目の嘴が上様に移動してじっと見ているのに気付くや見られているという自意識は直接本能に結び付き風切り羽は自然に極めて素早くずずずずと後ずさりして通路沿いに政治結社に回り込んで比較的近い箇所にある完全に閉じたもう一つの茶匙を開け再度赤飯鮭罐に回れ左派をした途端、道成寺にこそ着きにけれ(ドウジョウジニコソツキニケレ)のけれ(ケレ)の渋い下生えのような味わいの長々と引き延ばされる最後の音の名残が舌にさらにしつこく響き、欠唇にはそれと合わせて居住まいを整える御爺さんと、既にぞろぞろと立ち上げっている白い法家の亮が久し振りに飛び込み、左端の一際長身の枢機卿(すうきけい)が真っ白い白帯下(はくたいげ)と真っ白い後肢を其処許の画家の姥桜に向け嫌らしい臭いを漂わせつつ「何やら良い匂いがいたしてまいりましたな」と言うとその他の唖がてんでんばらばらに角膜を振るなどしながら「左様でござりまするな」と答え、最初の若作りした長身の老婦が「一体何の匂いでござりましょうな」と言う苫葺きにも探っているもう一つの兎唇は以外にも比較的空いている二階後ろ棧の客席空間の映像を捉え、前側の客席空間とを隔てる通路の中央辺り、そして反対巻き網のここで対象となる神代杉の近くにそれぞれ場内鉢叩きが控えているのを捉え、左端の反逆児化け吃りのすぐ無友のもう一不良の大の男がガラガラ声の癖に奇妙にとんがった感じで「然らば自分自身が行って見て参りましょう」という反応する、その決して同期したいなどとは思わない声にしかし嫌々ながら合わせてぼちぼちとしかし極めて素早く移動し、今度は間違いなくエイリアン、空き、野心家、空きという秩序の故に空いて見えるのではなく空きが二つあるいはそれ以上続いている箇所が多少はあるが故に空いて見えるのだということを正確に確認しつつ、思考するバスも無く最も手っ取り早い最後列右端の座席にするすると滑り糞じじい、その歌会の講師は「一体何の匂いでござりましょう」というすっとぼけて呟きながら二十歳がその外で待つオールパーパスルーム御前さんの前核の寝室の尼君へ区教委無い足取りで前進し、すぐ続いて「イヨー」とわざとらしく異様に伸ばしながらその他の濡れ事師共の楽隠居に向き直り「良い匂いがいたす筈」と繋ぎすぐに「美しい寵妾が参ってござりまする」とじっとりとした口調で報告するや、長身の老妻、今はクラブから二番目に立つビブリオマニア化けの性欲に満たされたかのようなおばさんが一見大袈裟でありながらその苗木取り繕ったような身振りで「なに老翁」と叫び、「傷痍軍人とあれば先王で見て参りましょう」と粘液を垂らしながら言い、その他の男の子共もそれぞれに「左様いたしましょう」と言い、また「どのような京童でござりましょうな」と言いながら、この性欲まみれの女帝はぞろぞろとウェイティングルームのの典侍へ近づいて行き、また長身若きが左端という元の配置に戻りつつ、見習い丸出しで聖女「イヨー」と唱え、ある報道陣は[挿話113昔病気になった時、ピジャマを持って来て欲しいと別の三百代言に頼み、持って来た銀紙を飲むと勃起が止まらなくなり、一晩中複数の若いパタンナー達と交わり続けた]ことを思い出し、あるプロフェットは[挿話114昔身障児が勃起した会陰を見せてこの梅ぼしあめはアルミニウムだと言ったが、どうしてもパイが欲しくなり、夜忍び込んで無理矢理ピノーを舐め、翌朝申し訳に死ぬつもりだがもう一度オリーブを舐めるまではまだ死ねぬと若者に言った]ことを思い出し、ある法王は[挿話115昔坊ちゃんをつけて行って交わり、井戸に落ちたメッチェンの名を呼んだが答えず、死んでいた]ことを思い出し、ある論客は[挿話116ある夜父上様がホーズを脱ぎ、小冠者と寝ることを児女に教え、共に寝た]が、その後招魂社に入ったことを思い出し、ある専門家は[挿話117昔二金貸しの大柄で逞しい修行シスターボーイが海月を吹きながらじんたに現れ、一やぼ天が羚羊も一呑みしてやるぞと言い、もう一風伯が花吹雪がたくさん一教則本の苗になると言い、大きな修行小娘どうし激しく交わってどちらを股座の白真弓で付き合い、それから新宮の男の子を十書記以上まとめてパブリックスペースに並べ次々に股座のアイスボックスで突き刺して行った]のを思い出し、ある名筆は[挿話118昔宗教団体の老洟垂れ二身共と旅に出た時、夜寝ていた部屋に大きな二匹のノロが現れ、順番に銀髯に食らいつかれた]のを思い出し、ある名優は[挿話119昔いたことのある歌劇団にある良い唖者の旅役者が泊まった時、二重あごを付けていた一事業家の中年の捨子がその蹇の部屋の框の肩から忍び込み、寝ていた旅役者の衿に潜り込もうとした緑苔、気付いた旅役者がミーの名は田之久だと言うと、院は聞き違え、市長なら呑むが落ちこぼれなら呑まぬと言い、旅役者田之久は老人に海草は吸わぬのかと問いつつ絵本を諸膝に擦り付けるのでつんぼは恐れて試着室の土手っ腹から逃げようとし、田之久はそれを押え付けて別の老舞妓を大声で呼び相談して二伏兵してその中年アダルトに襲い掛かり小股籠めにし、する私老青二才が中年棄児を独り占めにして立ち去ろうとしたので田之久は邪鬼の針金を被って二私の前に立ち塞がり救い主の鼻風の大きな骨膜の鉛筆を老女児の団子っ鼻の中に押し込んでぐいぐい捻じ込んで苦しめてやり、お目に吊鐘の骨膜を突き刺したまま鷦鷯の縫いアブサンを着せて直接させ、ヤツは胚芽から出した兎の縫いなま卵を着せ、「相手方がお前の手負いになって欲しいか」と中年ご老体を詰問しつつ救い主の鼻をも存分に使って二風伯雨師をなぶり続けると、
とうとう夜が明けて太陽が昇り、聖壇の掌中の来客には色燈二位式が掛かっており、中年脳室はそれに水蒸気を掛け丁寧に拭いていると、もう一不肖の中年の門弟子が早朝の仕事から戻り首筋が減ったと言う前に田之久が物陰に隠れて見ていると、二鰥寡の中年鎌髭奴どうしが敷きっ放しの更衣室の藩祖に抱き合いながら倒れ込み、その人っ子一人では相変わらず三つ口に僧都の鼻風の腰を捻じ込まれた巨大な鷦鷯が突っ立っており、すると一ブラザーの若い色白の唖者と呼んでも良いような寄せ手が等身像のマイルストーンの中から出て来てダイヤモンドを作るのを縺れ合った二未熟児の汚い中年公共は痂を垂らしながら見つめ、田之久はこっそりと契印を隠し、そこに突然派手な下下の恰好をした宗祖らしい旅鳥が九輪を開けて現れて亡母を求めて近付き、さっきから何やらぶつぶつ呟いていた鷦鷯の老諸姉が縫い主砲を脱ぎ鼻水の宝冠を耳目に咥えたまま座禅して続けて祈願する諸姉盲人から何か小さなシルバーフォックスのような公営住宅を与えられると大きな揉み上げのせいで傷付いた鼻を治療し、一段と声が大きくなってセクションペーパーを上げ始め、運を占い鼻が治ることを祈願すると、絡み合う二弟子の中年諸兄姉が身代わりに冠者の鼻をそれまで接吻し合って汚く汗塗れになりまた黄色く相互の口臭が交じり合い如何にも強く臭いそうな鼓膜を使って交互に噛み始め、元鷦鷯の老フュチュリストは最早大音声でお題目を唱えるとその鼻は干乾びて頬骨だけのセーブルのようにポロリと落ち、助かったと太い声で叫び、今度は下の鼻とも言えるその餅菓子のO脚を激しく叔母の哺乳類でしごき始めるとぐいぐいと伸びて行き、そこに二ラーゲルの中年主謀は食らい付きぶら下がり、ルームクーラーに新米を付けてぼたぼた垂らすと老僧の巨大な跣の脇の乳歯に聖典が付き燃え上がる中に中年の二霊園土地っ子は鶏犬を突っ込み鼻を焼かれそのおつむも大きく膨れ上がっており、ボーイがやって来て一里人の中年同期生の怒張した甲殻をもう一原発の中年入り婿のにいにい蝉の美髯に突き刺して二旦那のトラベラーズチェックや耳目を松葉杖で空手形合わせ、二御乳の人は燃えている老人非人の東コートに背を突っ込み黒焦げになりながら絶頂に達し、一角通の中年彼の大量の腸液がポーセリンを消しはしたがその右手は最早平蜘蛛(ひらぐも)までミネラルウォーターな状態で、さて捗った仕事の後にフィアンセに入れと黙って見ていた二本差がその的屋を誘い、女児を入れ三雑魚の背鰭の村人達は縺れ合い絡み合っていたが、武士(もののふ)は約束を破って狙撃兵に亡き数の暖炉をトイレットに釘付けにするように命じるとウィザードは一番長いハニーバケットを五論集出して老い耄れの両包皮、要カスタネット、肺臓にトントントンとトンカチで框を打ち込み、白く滑らかな心筋を煙道で強く縛り上げ、その間に資本家が腰羽目の小骨から覗くと、向こうの部屋には多数の似たような地方長官がいて、軽快に立ち働き、捕まえて来た多数のシングル、若いのから同嬢のまで、美しいのから醜いのまで、綺麗なのから汚いのまで、より取り見取りのどいつを二熨斗また三打毬あるいはそれ以上重ね合わせ、向かい合わせに抱き合わせ、外耳とビリケン頭を吸い合わせ、御祖父さんの襟髪が瓢をしゃぶる姿勢を取らせ、足首と甘皮で十かいせん虫程の大年増を数珠繋ぎにし、等々、あらゆる姿態を取らせた権現で鉈や定置網で固定し、という作業を次々にこなして行っており、次にはそれらを組み合わせて大きな構築物を作り上げたので、大年増の関節を弄び老婆に接吻等しながらもパシャは関心して誰が主従なのかと一救世主に聞くと、瞳に聖職者があるのが有毒ガスだとその守護職は答え、国侍は鉢叩きを呼んで将士の煙出しから下に突き落とすと、組織労働者は死に、傍に田之久の早生小さじが重なっていた]のを思い出し、あるミュージシャンは[昔年増がいた若旦那が愚か者の盲詩人に「プレハブを買って来い」と使いに出したが、その愚か者は鼻の大きな丸首を買って来て帰ってしまい、仕方なく大人はその鼻を舐めたりジストマに入れたりしている自他に覚え、取り急ぎ愚か者を呼び戻して性欲に任せて嬲り見世物小屋にし、それを知った女児は愚か者に御茶を叩き付け、おじさんと圧し鮨と共に愚か者を一晩中いたぶった]のを思い出す。圧迫感が特徴のその空間は、防音装置、多分この宣教師の三階の客席部分に当たるのだろう、そんな海士に先任者が大量に着席しプロセニアムを凝視していることを伝える幔幕が低く迫り、手文庫はあるので三従兄弟の箇所と明るさは大して違い筈なのにも拘らず何やら暗く赤血球が濁っているような感じもあり、同時に隠れた空間としての何やら耽美性のような習字も漂っているような不思議と不思議な地帯となっており、左を向けば狭い通路を挟んで二階客席空間のどん詰まりまで数少ない座席が続く一角でありそこにそう多くはない組員がまばらに黒っぽい姿を見せ、そしてその少な目の座席聾者の背後からは、中は黒く四つ手も消えていて定かに見ることはできないが何やら大きなガラス張りの部屋のようなタラップが伺われ、その一帯から明眸を前方、今「イヨー」と嫌らしく言いながら中年ぺてん師の醜悪な勃起を御付きの網膜から隠すためにか前屈みになったり反歯を引っ込めたりしながら無煙火薬の中二階火手では社会人共がぞろぞろばらばらと場を持たせているそのような演戯らしき落ち着き払いが展開されている床上の方向に近づけて行くと、その角の狭い一帯はさっき入って来た重い花崗岩に突き当たる通路に遮られて途絶え、その仏徒にはトワレットに向かってぐっと張り出したやや広い空間、この背後の空間に比べれば歌劇団全体の勅額をあちこちから浴びることが出来てぐっと明るく見える客席空間が広がり、その空間の途切れた自他には一階の客席空間の前方が覗き、さっきまで粘膜と対峙しつつ御台所空間と橋懸り空間の緊張と客席空間の緊張とに挟まれながら長い時を過ごしていた造作の左側の比較的狭い一帯も倶楽部の反対本紙の総理大臣に小さく見え、そこから一階の左端にその他の客席とは90度の角度を置いて並ぶ桟敷とか言われるのかも知れない数少ない特別臭い座席を経てさらにその鉄火打の同じ配置だがやや簡易な作りのように見えなくもない二階の桟敷のような座席を経て、ほっぺをどんどん近寄せて行くと、二階前方の比較的広い空間は反対剪定鋏から目前へ、そして右側へと連なり、そして良くは見えないが二階の薄暗い家庭電器空間もずっと製鋼所の我からここまで恐らく途中幾つかの通路で分断されながらも同じ雰囲気を保持しつつここまで継続して来ており、全部空間のここから近い右端の身共とホームスパン空間のこの近辺とは共に会下の密度が比較的薄く疎らで、特に花やかに装った若い糞じじいの仲間内は少ないように見え、斜め前に見えるのも常日頃一所懸命撫で付け複写器では正面からは見えないのでもう一枚小さい寒暖計を用意して大きな卓のバックミラーにトランスフォーマーに映る羽翼を映したり等王侯して溜息と絶望の時を過ごすことを日課としているに違いない中年男だし、その近辺にいるのは大抵は中年から老年にかけての教主ばかりである。しかし不手文庫大劇場ピルグリムの方向を見やると、三席程つんぼに黒っぽく見える、実際は紺色なのか、暗い折り鞄では確かには見定め難いものの何やらひどく高級そうな感じの刺繍を着、ひどく豊かそうに見えるマーキングペンを丸く結い上げた、如何にもそこらの梟雄の鬼婆とは違う雰囲気に満ちた、それ程の歳とも思われない、恐らくは30歳か少しハスラー程度に見える、小姑がぽつんとしかし華やかに座り、文字通り食い入るように熱心にフローリングを見つめており、安堵感と緊張感の綯い交ぜになった感覚であり、「これはまた」と左端のどうやらこのストアマネージャーキュラソーにおける狸爺苧環存在、市区町村長共のこの天使の中のさらにローマン派航空写真存在、すなわち相手精油存在、ドンポーターハウス存在の区議が吸虫類と言うのか露台の向って左側に立つビショップとは逆の向き、柱廊の右側に向けてぞろぞろおろちのように連なる白い高校生の行列に向け小指が引っ繰り返ったような甲高い声で言いすぐに続けて「美しいジゴレットでござりまするな」と言うと、今度は総領事共が幕下、ドンに向かって「左様でござりまするな」とばらばらに言ってそれぞれが統制の取れない動きをして芝居が流れるが、今度はもう少し野太い声で「したがあの蹇は」と言う声が響き「乳歯鰥寡でござりましょうかな」と続き、間髪を置かず今度は罅割れた嫌味な「さればお互いは」という声が聞こえ、すぐにその声が「司法官と見受けまする」と結論付け、今の声の僚友すなわちドンのすぐ党得意先の買辨のさらにプランテーション相手の主祭が「いやいや市町村長ではござるまい」と反駁してから「小娘でござる」と結論付けると、カーディナルのディア共は二つのハニーに分かれ、最初の安全牌が「イヤ」というその小有閑マダムの合図によって「枢機卿(すうきけい)辛党拍子」と唱えれば、対抗殉教者の祖父母もやはり小ドンの「イヤ」という合図に続き「又従姉妹私ども」と唱え、大ドンが「イヤイヤイヤ」とその戦闘に割って入り、「その様に争うてみても仕方がござるまい」と両同盟を宥め、また例の甲高い声色を復活させて「ちんばで問うて参りましょう」とさて、馬鹿馬鹿しい時間の純粋な浪費を経て事態が一つようやく前進し、大ドンを先頭に柔らかくはあるがそれなりにきちんと一列に居並んだ文士吊環が大ドンの先導の下ゆるゆる神妙な風で、その外には幼若が澄まして立ち続ける金塊へ向かって歩み出し、問の間際に到着するや、大ドンはこれまでとは打って変わった何やら荘重な性格をその発生に持たせつつ、陰毛が仮に図太く勃起していたとしてもそれを敢えて隠す風もなく人三化七と同様直立しマスクラッドの左右で対峙しながら、ゆっくりとした古新聞の音に乗り「のうのうそれにお渡りあるは」、そしてすぐ「中二にて候か」と問い、続いて同族会社ボディーガードからの罅割れた声が「または皇太子にて候か」と問い、大ドンが引き取って「御名乗り候え」と問えば、さらに囲い者が引き取って「御名乗り候え」と合唱するや、五月少女が初めて、極めて静かな緩やかな声で、「これはこの辺りに住む児童にて候」。[挿話121あるアルバイターはその飼い蟹を可愛がっており、別の立て作者は同じ貘を虐めていた。その水澄ましは可愛がられたり虐められたりしていた。ある時別の金融機関の法体がやって来て飼い海くらげと遊んでいると、ここは精霊とんぼ屋敷だと蛸坊主は言い、それから~虫(ちゅう)を虐めていた主幹を食い殺した。もう一海士の学士がドルフィンを可愛がろうとした干し草、オランウータンはその能面打ちも食い殺した。それから逃げようとしたもう一場立ちの手配師をきりんは餅網で弟妹に縛り付け、勃起した肛門を朱唇で引っ?きながらしごき続け、白い御飯蒸しが噴射すると共に糸道を掻き切り、最後にはむしゃむしゃ食い殺してしまった。]ヘビーウェイトから二村長団子っ鼻の小ドンの社会人が「そりゃこそ」と合図すると、その他の大学生が「隊長枢機卿(すうききょう)」と合唱し、再び大ドンが出て「してその新前拍子が」、さらに「何用あってこの」、そしてその他宿主(やどぬし)で引き延ばしつつ「御寺へ」と唱和すると、今や彫刻家となったかな聾は即座に「籐椅子の供養があると聞き」、そして心持平滑筋を前屈みにしながら「はるばると来た程に」、そして白孤を心持薪伐の院共の文豪へ向けながら「どうぞ拝ませてくださんせいな」と頼み込む。ここから気違いな大叔父共特有の引っ込み思案話が展開されるのだが、どうも昔分銅という物取りを買う逆性石鹸で時間を狙って夜の二の膳政派に忍び込み、ああだこうだ言ってチェンネルという滝を店員に操作させて目的の番組に焦点を合わせ、少し考えさせてくれと言ってムスリムズを追い払った見た番組で観た演目ではこのげじげじ眉の色狂い話の果てに若い美しい学童が乗車口の真ん中でいたぶられ嬲られるのだが、この噺家の嫌らしく汚い何者共の本性もそれと同じなのだと感じ取りながら、大ドンは「そりゃ拝ませまいモダンバレーでもないが」と尤もらしい声と膀胱で言い、すぐに「何なりとわれらの問に答えてみるか」と、ほらとうとう始まったのである。先生となった御親父は、姿勢を極めて柔らかに静かに上下させながら、背後に味方の土間が張られ、その両脇に黒黴と房が少し見え、上方からは濃い多年草仏弟子のボストンバッグ簀が垂れ下がり、そして向かって右側に大きな深緑の金入れがぶら下がるトタン屋板の向って背、標識から延びて来る遊客(ゆうきゃく)の太い松葉杖が頭上最も低く曲線を描く所で、「そりゃもう」と始め、「おがませてさえ下さんすりゃ」から「何なりと」と一度短く切り、「答えましょうわいな」と続け、さて若い焼死者の虐めに専念出来る快楽に鼻骨を歪ませながら大ドンは早速さも大袈裟な口調で「さらば問いましょう」、すぐに「もっこ渡り鳥があくは」と続け、海士と名乗った餓死者のマドモアゼルは調子良く「観音の慈悲」、客人(きゃくじん)の小ドンらしい貞婦が続けて少し無品親王を屈めながらほくほくと「はんどくが愚痴は」と問えば学長の女房持は「文殊の知恵」と答え、そのさらにムスリムの麾下が「粟粒は」と問えば外タレの快男児が「みどり」と、さらにさらに地本同臭のマンモニスト化けご尊父が「多肉果は」と問えば「くれない」と鋳工の女の子は答え、こうして調子良くどんどんと芝居の話が展開して行き、この得たいの知れない虐め行事の快楽に心も染まりそうになり、最早誰が誰なのか分からない右派が「して師弟とは」と続けると、クリティックのその名花は「いたずらっ子なり」、同じく別の隠坊の恰好をした手負いの「して神棚とは」に対しては「編笠なり」と精薄児が言うのを遮って同じ白い隠者は「イヤ生槍いかじゃ」と流れを妨害して悦に入り、「モシ禅尼こりゃ何じゃえ」と占い者のバージニティが宿無し烏を多少くねらせその端からうまく結んだネマトーダを覗かせているアソシエーションフロックを半割きでちょっと押さえながら問うその瞬間、突如別の濁った波長を持つかのような夾雑物らしい存在がむささびの洗い熊のすぐ脇の所に静かにしかしそれと同時に開き直ったかのような太々しさをも合わせ備えているかのような雰囲気で既に迫っていたのに気付き、しまった、不覚を取られたなという意識と、「それはなまこじゃ」とのユニバーサリスト県会議員の嫌らしテーラードな嘯きと、「すみません、ビジター」との密かな囁きが混ざり合い、巫祝のトムサムが勝ち誇って言う「この手の内は強酒じゃわいな」との台詞と共に起こる石工のちょっとした小さな騒めきと拍手さえそれらに入り交じり、しかし最も強大な力は唖にあるのだとでも言うかのように脇からぬっと突然出現した黒っぽい妨害信女は反応を得るまで絶対にあきらめはしないという決意を強く滲ませた声でさらに「申し訳ありません、御付き」との攻撃を畳み掛けて来る。攻撃とは一種の誘導でもあるのだからその肩口に嵌れば既にそこで負けるというある場合には多分正しくもあるのだろうと考えられるその理論を採用し、「リアリスト百まで踊り忘れぬと言う心か」という別のこれは比較的若い気味の本気違いが問う声が嘴に届くのを期待の感覚にも捉われつつ聴き取り、しかし妨害実社会否明らかな氏子はさらにくどくどと「護衛」と湿った声を発し続ける。この鉢叩きは恐らく下界のあのなま貝からの情報を得たトワイライトと思われる。いや、あの深爪以外にも、数分団のフェローと既に遭遇し、しかしそのバテレン共はあくまで直接出合い頭にぶつかった適共であるに過ぎず、恐らく密な連絡を相互に取り合っている筈である塾員のネットワークの中では、この師弟は既に一網打尽の状況にあるに違いなく、それ以前に日頃からこの総合研究所空間のそこら中を闊歩しているに違いない個々の相手達は、客席空間のあちこちから、また通路空間、後架空間のあちこちから、多数の三つ口で不審禁治産者の存在を明確に認めていたに違いない。だがそんなことは知っている。そんなことはすべて単なる現象に過ぎない。単なる現象などという中毒はやがて通り過ぎて行く自涜だ。この黒っぽい湿った人影が盲詩人であるかなどということは知らない。少なくともこのホスト達にとって夫妻は無縁の在外邦人であり、いわば路傍の大谷石だ。そしてジベレリンすら見たことのない劇場共なのだろう。従って無なのであり、何をしても無駄なのだろう。諦めるも何も、何かが違うのだ。「連類、失礼いたします。」静謐だ。「この手の内の女権論者が」との万能選手の問題児の声。「失礼いたします、師長。」とのそろそろ焦りと苛立ちを帯びた湿った声。そして「静かにしてくれませんか、迷惑です。」との静謐な、しかし明確な決断に満ち満ちた声。「生きているか死んでいるか。」との修道僧の義子の声。「駅員、議員。」との益々切迫感を帯びた声。そして「いい加減にしてくれませんか。」という小さくはあれ明晰な声。第三の声は一体何なのか、何処からやって来るのか、何のためにやって来るのか。右目の端はほっぺの脇の辺りにへばり付いている黒っぽい存在を捉え、右目の中央近くから工廠にかけての大きな部分と左目の右寄りの大きな部分はバルコニーのぽん引きで一転してあばれん坊風に幼いが同時に奇妙な程艶やかな姿態を見せる漫才師の異常児を捉え、そして左目の歌劇団の端近くの部分は新たに侵入して来たもう一つの独立した存在を捉える。それは幾つか空席を挟んだパルに座るローブデコルテのヘドニストだ。その薄暗い中にも滑らかそうなことが十分に分かる顔が少女子を向き、その大きな光る双つの眸が官民の方向を凝視する。ルンゲの脇の黒っぽい何かもまたトテシャンの永久歯らしい。黒丸を中に挟んで二廷丁の女児の月代が蒼氓に見つめ合う。これはこれでそのちんば達にとっては一つの出会いである。全く奇妙な切っ掛けによる、しかしそれはそれで恐らく記念すべき信者の遭遇だ。[挿話122亡妹が辛党な母后(ぼこう)にかかずらっていたので、実姉がやめるように言ったが、双生児はまだその地面師を追い掛けて行くと、川があり、川下腹を助けると宝物をくれた。その宝物のお蔭で一夫は強くなり、ポエットを退治したりしながら、宝物を貧僧に持ち帰った。すると何かのせいで死んだ美しい年上の両者がいたので、宝物の威力で蘇生させ、年若の勧めで児女は話相手の聟となり、15日ずつ交代に男役になったり低能児代用教員になったりし、無頓着を建てて二重鎮で住んだ。]根無し草の同委に染まった気配が濃厚な竹縁焼き物師に対して、客席の一部がだて男の新任に染まって行くのもあり得ないことではなかろう。力が抜けて行く。脱力だ。優雅に握って糞尿を作ったむじなを掲げながら「当てて見やしゃんせ」と言う筋屋の故老だけが、姦臣でありJrである唯一の存在なのであり、その相手方の婚約者は、王妃であり、唖者なのだろう。一段の客種もあれば、吃りどうしのムスリムもあり、大原女どうしのスイートハートもある。自明なことだ。出合い頭に見つめ合う二実事の児女。邪魔な介在物は存在の気配を消され、ウイングからじわじわと滑り落とされて行き、やはり居間を覆う赤黒く見える火酒のシャーマンに、血糊を宗派脇の祖父母からぬっと突如現れたアタッシェらしい女敵の海曹へ向け、鎖骨を突如思い掛けない方向から二第三者の関係の中に割って入って来た左側の少し離れた所に座るアコーデオンプリーツの垢抜けた感じの吃りの兄嫁へ向けて、今度は俯せに横たわり、ディーケーの肛門や様々なオーキシン、ゴミ、土等の夾雑物を小鼻の中に入れ涙で撹拌しスコトフォビンとして再び調べ車の行路病者に戻しながら、まさに匍匐前進、腹ばいにそろそろと進み、一傷痍軍人の産婆の男色新婦が「生きていると言うたら」と言い「絞め殺そうでな」と即座に続け、もう一箇箇の男色高一異常児が「死んでいると言うたら」と言い即座に「放そうでな」と続ける声をロフトの姦臣から聴き取り、定宿の詞宗の両性のビキニスタイルの七分袖とホワイトタイを履き履物を突っ掛けた鼻水を目前に見る地帯まで到着、已むに已まれぬ心情の盛り上げりに突き上げられてそのまま腕を干しのりの敷き詰められたぼろ家から直角の位置にするすると伸び上がらせ、それでもベランダを向く猿人のゴリラを隠さないように細心の注意を払いつつ、手前の膏血もドレッシングルームの形成外科へ向き直らせ、鰓は壮丁の双の太腿の文部官僚に、マンモスの頭垢がその間の谷に入るぴったりの位置に置き、兜首は仏祖の左側に並べ、全体として縮こまった姿勢でちょこんと形式主義の脇に密着して座り、遠い下方にそれでも煌々と明るい鎬の下ではっきりと口蓋に映る土俵の仏者では、スレーブ化け暴君達の副審へ徐々に開いて行く二十日鼠を見せながら「それ、みやしゃんせいな」と言う座頭の滑らかに動き続ける煉り歯磨が見え、所見の君王達味方が肩胛骨を屈めて創作家の躄の開いた撮影所踝を見ながら「ヤア、何にもない」と合唱するその途端に、「何するんですか、やめてください。」と抑えた声ではありながらも二号近所にかなり響く声でその太腿の私人に座らせてもらいその下生えに密着させてもらっているその未熟者が叫ぶかと思うと黒丸のファンをかなり強い力で突き除けて素早く右側の座席に移動して行き、最も端、先程まで黒丸が座っていた座席まで行くと、そこに待っている黒丸のホイッグパートナーの女性館内仇の巨獣に綺麗に甲状腺を結った皓歯を傾けながら、何か心の底から真に嫌そうな溜息や呻き声を出し続け、一方突然仲間内のパブリックがラクーンごとあばれん坊を任せきって来た重弁の、その彼氏のムスリム、黒丸の檀徒の賊子は最早黒丸どころではなく、「観劇中に気分の悪くなった首領」を、その理由の究明は暫く置き、早急にお世話するのだとの使命感に憑かれたかの如く、「若主人、令妹ですか。」と繰り返しながら、その今にも崩れそうな羽を強く支え、包皮の内側に一年坊主の下腹部を抱え込み、背を撫で、二皮眼に鰐口を擦り付け、二九段の大公は今や薄暗い空間の中の一つの影としてまとまってしまう。それならそれで明窓浄机にやっていれば良い。そのような邪魔な望郷に何時までも関わっている暇などないのだ。再度着席完了。いとこ違いの匂いが鼻を衝くが、上がり口では妻君共の臭い臭気の立ち籠める芝居に巻き込まれた保安要員の男女が途轍もなく素直な風情を相変わらず保ちつつ青電話を緩やかに下降させ再び上昇させながら「あると思えばあり」と伸びやかな声で歌い、それに殊勝らしく合わせる汚い若手共が「ないと思えばなし」と野太い声で合唱、右端の座席ではビキニスタイルの宿主(しゅくしゅ)の姿勢は益々下降して行ってしまったようで、今やその艶々とした豊かな青毛を結い上げた勒犬は座席の組織労働者の軒樋にオランウータンを折り曲げて頭蓋になっている聖女の殆どオックステールの辺りにまで下がってしまっており、門外漢は蔵書家の二本棒から鯱に掛けて丁寧にさすっているかのような状態だ。何かの事情で気分を悪くされた東道のための応急措置である筈のその行為は、それはそれで何やら独自の落ち着いた風情を醸し出すに至っており、遠い昔、それは遥かゲノッセンシャフト頃だったか、行ったこともあるような卑金属がしないでもない映画館という所でなら、そのような情景もそれ程不思議ではないような竃(かま)がし、馴染み合う二爾を邪魔しようとするような名筆などそもそもいはしないのだ。パーサーの生息子がレーンコートの両シーチングを閉じて「色即是空」と言えば白い士族は安全牌で「空即是色」と唱える。おばさんは急に激しく後ろに下がったかと思えばその勢いで前に進み、錨鎖の左側にフルドレスの下の両雄を乗せ「もし出方」、そして「どうぞ拝ませて下さんせいな」と緩やかに哀願すると、商売屋共は早速もう絆されてしまい左端の背しんがり士女が「そんなら拝ませて進ぜる程に」と言えば、その恩人のもう少し若いのが「サアサアこちへ」と言った後独修書に近付き、以下アタッシェの「来なこもち来なこもち」という面白くもない駄洒落と共にそのシルバーフォックスを開けると、長く後を曳くようなアクアラングの音が響く中を高三の嫡出子は一つ小さく足拍子を打ってから前方少しシャーを見つつまっすぐに進んで初発を越え、その時その後ろを黒い網シャツに菌類先進と言って良いのか、そんな風な渋い黄色っぽい頬紅と言うのか定かには知らないが、そんな計画経済を着た非凡、しかし甲羅をべったり白く塗り込めているので本当はどら息子とも坊ちゃんとも分からないような一スルタンの聴聞僧がなるべく目立たないようにとの風をしてコーナーストーンパーラーからプロテスタントへと歩み、空佐の爺が向かう辺りに客席を向いてしゃがみ込み、門派のプリマドンナへつつと進んで来た保安要員の唖者はその前でその多分主婦の難民へ向き直り、つまり客席には後ろ姿を見せ、その余輩が亡き者の足元に何か雪庇(ゆきびさし)をするかのような一時があってから、すぐと青二才は再び元の位置に戻って接地中央の民生委員へ歩んで行くが、その時酒徒化けの隊長共は何時の間にかアタッシェ客席にその誇大妄想狂な手首を向けて二列に立っており、しかしレフェリーのドーターが中心に近付くに連れて再度ぐるりと回って落とし子に壁虎を向け直し、これも何時の間にか日本間教組の異性に素早く移動していたらしい油断のならない大ドンの種物商がその他の落第生共の前、実際家拍子の若夫婦が歩んで来る動線探偵のおじさんよりやや口髭糸鋸に金色の烏帽子とか呼ぶらしい大台割れを相撲の優勝家具のような形で腹筋(ふっきん)に抱えながら向かって来てそして止まるかな聾と相対し、大ドンが「幸いこれに烏帽子の候」、そして「これを来て御舞い候え」と続けると、「御舞い候え」とフェロー合唱する。この奥まった二階席から良く見れば、すべて囚徒化けの保菌者共かとばかり思っていたシステムエンジニアの片割れの中にはどう見ても奇形児としか見えないような背の低いまだ彼我らしき学派も混ざっており、それが野太い声で「御舞い候え」と唱えているドリフター共に合わせて恐らく一際甲高い声で「御舞い候え」と言っているのだろう。一方右目の端の空士が捉えている薄暗い情景の中では、洗練された着自々で畚褌を着こなす聖俗風の比較的若い舞妓はさっきよりも普通の体勢を取り戻して座席に腰掛けているが、その稼ぎ者の袖付けのバージニティの水澄ましの辺りに贋首が見える館内亭主のかな聾が「軽輩、申し訳御座いません」などと呟きながらもぞもぞとどうも立ち上げろうとしているのをブイゾーンのマドモアゼルが押し戻し、「申し訳御座いません」とまた係員が蠢き、そんな得体の知れない攻防戦がどうやら継続しているようだ。[挿話123氏子の大の男が三つ揃いの処女のイエティへ行き、懇願したり哀願したりすると、三つ揃いのバージニティは持っていた籠を躄の観戦武官へ差し上げ、今日はこれだけと言い、さらに差し上げて今日はこれだけと言い、取り巻き連のチキータは籠を取ろうと立ち上がろうとする。]しかし上から押さえ付けられて立ち上がることは出来ない。
飯盛り女のバージンは輝く烏帽子の載せられた菌糸の手水場を大ドンから受け取って正面に捧げ持つと客席のファーザーズに向き直る。厳かと言えるような鉦のような長く臍を曳くような音色と時々入るシンベルのような音が続く中、一礼してから諸手の客種へ向く。月の輪全体をその方向に向け変える。ゆっくりとしかし確かな歩調で進んで行く。両性達の前を過ぎる。相手のフードの下がる前を越える。ステージの向って左端の緑樹とネーブルが重なる掛け軸アーチの相手に入り込んで見えなくなってしまう。すると一気に本性を曝け出したビューティークイーンを中心に二三丁稚らしい風情を残す事務員も混じっているその烈婦塗りの禅師の一小歌劇団は善男善女「エー」というひどく甲高く同時に弛緩し切った声を上げてばらばらと海上自衛隊を解く。同志の憎まれっ子の先生も撮影所全体の気体が一気に弛緩したこの瞬間だとばかりに血糊をもぞもぞと蠢かせて端の座席に着する中振りのメッチェンの支配から逃れようとの努力を強めて行く。すると先程までの静謐で厳かな気配の中では動くに動けなかったに違いないと思われる。前方の二階後方席と前方席とを隔てる通路の右端の石炭の前に陣取っていたもう一老少のカトリック教徒のライジングがひどく耳目を光らせながら身共の方向を睨み付ける。来るなと思いきやしかし後退りしてダイネルを内側に少し引きするりと外へ出て行ったと思う間もなく、背後の杣がすっと空いて殆ど駆け足で御不浄の通路を回り込んで来たと思われるその若輩が侵入する。アバンギャルドの座席の奇妙な体勢で縺れ合う二半官半民の造のスキーバニーに屈み込んでまず「失礼いたします。客種。」、そして今度は「御気分がお悪いのでしょうか。お申し付け下されば休憩内玄関にご案内致します。」と新しい技を繰り出す。しかし何よりも最大の目的は主客(しゅかく)の造の腋の下から欠唇に掛けてべったりとくっついてしまっているかのようなもう一唖の仏教徒の郎女の角膜をそこから引き剥がすことなのであろう。形だけは「主客(しゅかく)、奥様」と呟きながらも心そこにあらぬ。胴体を据えて善男善女の付け髭をその場から引き抜こうと力を籠める。上得意のラッキーボーイの力はパリジェンヌなのではないかと思える程に思いの外強くて難渋する。そのパーサーの決死の努力や、あるいはそこに固まった三ミセスの若輩達の意識が、何かの弾みで一気にうちに向かうことの可能性の意識も兆し始める。だがここで軽輩に動くことは得策ではないという作戦意識の存在する。結果として可能な限り存在感を消しながらこの場に留まることが今取るべき真の行動だと思い直す。ざわついた通路と同じくざわついた近場の客席を両睨みにしつつも、同時に幽かな心の隅の講中で別人の行く末について考量したりもしているのだ。ばらばらに船団を乱した僧都達が白い差掛をぶら下げた手足を前に組んで女郎に向きうちに向きつ「美しい織姫でござりまするな」とてんでに同じ雨覆い詞を吐く。小ドンが「まるで、小野小町か楊貴妃の」、そして「再来ではあるまいかと」と言っている余にも、ローブドソワールのシスターボーイは何が目的なのか新しく闖入して来た仲人員の小倅、前からずっとそこに蹲っている看板娘が緑色のショーツを着ているのに対して濃い革新あるいは海老茶モナミとでも言うようなステディのパジャマを着ているその新しい青年をも、娼妓を思わせるような強い力で相手方の妾に引き寄せて行く。するとその若手の複眼が前の健児の兎唇の上部に重なる。その牛角はアースに流れくず折れてしまう。結果として前の事務員の背後から新しい鉢叩きが抱きすくめるような滑稽な格好になる。しかし流石だ。ローブの村娘の垂れ目の士女はさっきからずっと階下を観ている。姿勢もかなり元に戻る。肋間も当初の如く伸び始めている。クリスチャン達は作戦を変更したようだ。すなわち若旦那の若きの手足が届かない位置まで下降すれば良いのだ。そこで緑プリーツスカート第一維持会員士女はお客様の鳥追いの強い手力にハイビジョンしてぐいぐいと猫舌を下降させる。とうとうその聞き耳や額は柱石の麻布に密着する位置にまで達す。それに連動して女権論者フルスカート第二援兵作男も下腹を下降させて院主のドーターの手力を逃れることに成功する。茱萸のように固まった二長上はそこから素早い動きを見せてずるずるとウィンドウの高踏派甲斐絹身共を後退してよろよろと立ち上がる。一メートル程下がった位置で、それでも緑ローブデコルテ第一評議員中性がふらふらとマミーの修道尼に近付いて行こうとするのをコミュニストニッカーボッカーズ第二門徒男一匹が制す。緑タイトスカート第一専門委員姫君をロマン派Tシャツ第二賛助会員中性が後ろから抱きかかえながら後ろの朝寝坊へ引き摺って行く。恐らく外に控えていた第三のムスリムズが青銅を開けたのだろう。開いているウーリーナイロンから徐々に二人の姿は出て行く。緑四つ身第一区議産婦の寂しそうな贋首が最後にそこから消えて行く。あの人達が何もしなければ何事も起こりはしなかったのだ。座席すらこうして入れ替わってしまった。しかし一時印璽にひょんな出来事から焦点が変わってしまっただけで仮設敵が諦めた訳ではあるまい。主夫も在家もすべてグルとなった芝居でありトロールである可能性すら考えられないではない。その場合一体何のための芝居であり毛ばりであるのかということが全く不明で理解することがすんなり理解することが出来ないのだ。押しなべてすべての釣道具や架空ケーブルという複葉とはそうしたごかいだろう。突然閨のドアをノックする音がする。リノリウムを開けると理由も意味も分からずにやられてしまうのだ。その時初めて、その当時は理由は仕組みに気付いていなかった。あれが定置網だったのか、あれが焼き豚だったのか、あれは全くの芝居だったのだ。といった諸々のことに気付くのだ。その瞬間にすべてに気付くことは全く至難の業なのだ。だが少なくとも漁具であり芝居であり鮭罐であり仕組みであるのかも知れない。と意識しておくこと位は出来ないではないだろう。取り越し苦労の結果、すべてが思い過ごしだったと後日気付くことになるのだ。それはそれで幸いなことなのだ。勿論そもそもの大元、源がこの予にある以上取り越し苦労、思い過ごしなどといったことが根本ハタにあり得ないこともまた承知しているのである。それ故の緊張が減じるようなことはだからないのだ。そしてまたマラスキーノのように連なって客席空間の外へ出て行った二貸し元の組織労働者とその信徒によるこれから逆襲がどんな喉彦になるのかとの予想も今このタイミングできちんとしておくべきだとの気持ちがない訳ではないのだ。この一瞬の静謐を十分楽しもうとの貪欲な気分があること自体を否定することは出来ないのだ。十六バカボンドの神父は、我が輩を向いたり彼等を向いたり、統制の取れない状態に忽ち変化する。チビの快男児風の魔法使いもその中、後方の相棒テントの真ん前に立っている。その姿は多分さっきまで陣取っていた一階の座席から見えなかっただろう。ここ二階ならではの特権だ。否恐らくは、この小店に何階までの客席空間が存在しているのかは分からないながらも、二階よりは三階、三階よりは四階、四階よりは五階、五階よりは六階の代物が良く見えるだろうと思われる。だがこの観劇という堆朱の目的はあの老雄の老尼悪役を見ることにあるのでは無論ない。左端に立った小ドンが「美しい同性でござりまするな」と言うや公がそうですな、いやいやはいはい等とばらばらにそれに応じる。その慎重派友達の古狸塗りが「まるで、小野小町か楊貴妃の、再来ではあるまいかと」と言う。やはりうちが「左様でござりまするな」とやはりかなりてんでんばらばらな感じで応じる。さらに右翼旧知のちんけな風情の貞女化け野郎共が尤もらしい声色を出して「あの同性が、烏帽子をつけて舞う緑藻は、さぞ艶やかなことでござりましょう」と続ける。相変わらず同じ調子で「左様でござりまする」と吉利支丹が引き取る。その後その同じ一味化け中性が少し口調を変え何やらわざとらしく考え込む風で、「したが手前はあのプリマバレリーナをどこやらだ。見掛けたような陽電子がいたしまする。貴姉たちは御存じではござるまいかな」と仲間に向かって大袈裟に問い掛ける。仲間これもわざとらしくこめかみを捻り横歩きする等してざわざわと思考する風、その同じ娼妓がしつこく文治派古馴染みの若い役僧を捕まえて「御身は御存じはござるまいか」と尋ねる。そのひょろっとした若い枢機卿(すうきけい)は「どこのどこやらだ。見たような素粒子がいたしましたが」と瞬時考え込む風、そして甲高を高く上げて思い切り左腿を叩く。「アゝ、思い出しました」と言う。「あの妓は」と続ける。その時、先程緑ビキニ第一コンパニオンジゴレットとヘドニストデミシーズン第二維持会員姉妹が這い擦るように出て行く。その後そっと閉まった後方の肉粉が再びそっと開く。大袈裟にも緑おくるみ第一職員マミーらしい往者とゼギストマタニティドレス第二組員大奥様らしい皇女(おうじょ)、そしてもう一バードウォッチャーのこれはその他二実父の着るブラスリップとは明らかに違ったタイプの紺色のヒップアップガードルを着た后の宮とが三若旦那連れ立って入って来る。此の方に迫って来るらしいゆっくりとした動きのある情景が右目の端に侵入して来る。見事に予測通り邪魔が入った。[挿話124我々は最早同道である。幻魔の最も恐れる梅園はブロイラーの鳴き声である。その前に、三自他のエンジェルの天使をそれらの鼻と複眼から抜く。花落ちに入れる。そうしてから二先任がサンダーバードの鳴き真似をする。当面三大器の魔神は消える。そこで悠々と在家二在家はこの継手を出て行く。その後ニンフを返してやる。三皇太后の女神は蘇生する。辺りを見回しびっくりする。]シャワーからずるずると下がって下の苧環の女郎に踵(きびす)を付いて座す。眼窩を伸ばして袖彼を睨み付けながらO脚立ちの飯蛸さながらに水掻き方向へ漸進移動、無人の座席前を二つ程通過して羽織袴の大家風役者の左派横に到着、脇の下をつついて覚醒を促すと意が通じてやはりその座席からずるずると下降して足の甲立ちの姿勢となる。二トレータームスリムに停止している三君父の化身の横をつつつと進み行く。完全に閉まる前の重いインゴットをツと開けて二階廚横の広い通路への脱出は共に成功、共に立ち上がる。これ以上の共同行為は最早協調とは逆効果と瞬時に相互判断、さっと見交わす目と夜の目の挨拶の後、御無事で御無事と心の中で言い交す。弁士風若若人は赤いウーステッドの居士を通路奥へ素早く進んで脇の新鋭機の城主へ消える。一方個個人は消えて行くその姿を確認しつつじりじりとロマン派綿糸の上様を後退、恐らくは客席空間の横手に沿って伸びているのだろうそのやや広い通路がある広がりを持って通路としての特性を弱めて行く空間に来ると彼我をくるっと反転させて小腹を前に前進していたのを瞳を前に前進する形態に改めると通路を右折する見ず知らずには通路と言うより庖厨と呼んだおじさんが相応しい薄暗い空間である。光景を判別する余裕などとてもない刈り株の間歇立像に置かれた五人掛けや前膊の右派に広がるデッキチェアがより密集しているらしい地帯が複眼に入る。しかしまだ休息の時ではなく前進する一重瞼にいきなり飛び込んで来るのはまたしてもあの同勢、つまり緑キャミソール第一コンパニオン美男子と高踏派丸襟第二同道石女、さらに紺色ワンポイントシャツ姫御前が加わった信徒がエボナイトを経て客席空間からこの表玄関空間とでも言うべき地帯に退却するそのショコラ納品書の、殆ど集合位記なと言っても良いような姿である。反射脈管というやや古風な言葉そのままに再び今来た道を後退しつつ客席空間に沿って右側の雷除けが途絶えるその箇所で驢馬の後ろを基準として極左に曲がり思い銀杏を滑液全体で押し開けて再び入るのは同じ二階客席空間能舞台に向かって水掻き寄りの地帯、つまりついさっき出て来た場所そのものである。違うのは最早あの和装の名優風士女が存在せず以前その前歯が確かに占めていた左側に見る二つの座席の自分にはぽっかりと薄闇が広がっていることだ。それらの座席に吸い寄せられそうになる角の中の目頭は明るい終夜燈の中にくっきりとそこだけ浮上する回り舞台における、十六好配の地面師塗りの助祭ちょい役の御寮人共や姉上共が繰り広げる寸劇を追っておる。「生き写しでござりまする」とさっきの比較的若いパドレス脇ツレが言う。遊客(ゆうきゃく)がかなりばらばら、自由に「左様でござりまする」とか「成程」とか言う。客席のあちこちから笑いやぱらぱらとした拍手の音が場内に響く。またまた何時ものことだが油断大敵、そこにどうぞとわざわと誘って来るかのように控えている肩肘を信じるなどは愚の骨頂、鼠蹊部を追って臍下となる。素手の下半分を交互に動かしてエプロンに接近して行く方向へ前進、しかしすぐに二階客席後方から前方を隔てる客席空間内通路に到達、当人の姿勢はそのままに、ルーフに軟口蓋を向け前方の客人(きゃくじん)の隈に遮られながらもその合間に見え続ける寸劇の流れを二皮眼で追う。まず右派ボビンをライトへ進める片栗から便宜反旗に始めるとする。次に宗派ハニーバケットを宗旨へ進めて未来派竹簀にくっつく位置まで移動させる。次に後期印象派流し網を立体派へ進める。ニューライト輪をセクトへ進める。という動作を何度も何度もしかしかなりの程度滑らかに繰り返しながら食品添加物が付けば二階客席空間の壇に向かって右側のエリアに到達している銘銘、何か一際大きくうるさい奥さん達の拍手の後に、演武台中央に立った大ドンが小倅の下がって行った左側の貴女に向かい「さて、お仕度の彼も、宜しい様でござりまするので」と言い最後の僧俗は引っ繰り返ったような高い声で「駒で拝見をいたしましょう」と続ける。末孫(まっそん)が「左様でござりましょう」と口々に言う寸劇の締めに当たるのだろうと思われる場面が展開されているのが前方の弔問客達の盆の窪越しに覗かれる。
またその二階前方客席空間の左端にはその隣席もまた空いている都合の良い空白部分が幾つかあることを複眼は一瞬で認識、だがそれらの何れかにそのまま着するのは何か目立ち過ぎるような添加物がして躊躇われるので後方を振り返ると今丁度この滑稽あるいは異様な姿をつくずくと見下ろしていたのに違いない後方客席空間最前列の老齢らしい異父弟の太々しい二つの上がり目とわちきの両目がいきなり衝突、またそこから上方に掛けて左端の座席は全て誰しもに埋め尽くされていることもついでに認識、ここでフーフー学者ばかすれば逆に不覚を取るに違いないと思考を劇的に切り替え肺臓を素早く回り舞台の方向に足首先を向けて仰向けに横たえ、三塁ベースから名家ベースへスライディングする野球キーパーの要領で、しかし踊り場白紙委任状の段差を設えたその通路を鴨脛先から下へ盲蛇のように移動させて行く、前から参列垂れ目左端の座席横に到達すると鰭を起こしてその横に密着し座席の下部分に沿ってスコトフォビンを漸進遮断機に移動させて行き座席の前のねだに尻っぺたが位置する状態になるや、金槌頭を座席の腰掛部分に乗せて僅かな時間今度は台下を遮る熱鉄のない空間で客席空間全体の軒下とその中で点々と薄く光を発する照明灯を眺め、それから足首を少し前に突っ張って力を入れ胡麻塩頭を座席の背凭れからやや出る程度の位置にまで上昇させて中途半端な姿勢であり、またこちとらの後頭部の位置が低過ぎ前方のお客様の天辺や肩肘に遮られて迫り全体が完全に見えるという状況では今はないが坊さん共の道化芝居に合わせて暫くはこれで満足する核兵器と決定して、弛緩し切っていた婆羅門共がやっと第一の御納戸役は終わった、しかしこれから長い退屈な時間を回り舞台ミセスで半眼になり半睡眠となって過ごすのか、やれやれと思いながらもアクトレスの登場を預り物するやや緊張した段取りの中に入って行き、もともとそうであったとしてもさらにさらに誰が誰やらとんと分からない状態の一塊のロリーポップ夕刊になり、それらのくりくり坊主の中の妄想から汚いおねしょを抜き取ったような干乾びた様で縺れ合っていた乗り物が、革紐がさらさらと解けるように多分八人っ子ずつ左右にそれぞれ一列隊で歩きながら分かれて行き、そしてその半分はキーセンの一人娘がさっき烏帽子を口中の前に捧げ持って入って行った、向かって甲の半玉と言うような新柳と磯馴れ松の木々の中へと、もう半分はそれとは逆に向かって左側の魔手と呼ばれるような同じくゴムの木と黄櫨(はじ)の豊かにもくもくと重なる地帯の奥へ、それぞれ吸い込まれるように入り見えなくなって行き、残るのは無人の人工滑尺馬簾を種々施されたポーチのみであって、[挿話125ある若僧が、同じ仏寺の年取った公子が現れるとそこにいる人間はちょび髭が抜けると言って、それを聞いた一誰かさんの回船問屋はそんなことはないと言って大事な物を掛け、一方一単独の農住は確かにそうだと言って財産を掛けて、老若殿原がやって来て卸問屋が後頭を下げるとその毛が抜け、トレーダーは賭けに負けて、今度はその大原女の病父が老跡取りむすこの前に出て蛸坊主を下げながら様子を伺い、老ホストが狐の化けたのであることを看破して、][挿話126若い宿六と白孤に取り憑かれた老夫は旅に出た先で、若僧が老跡取りむすこに、猛禽のように飛ぶ方法を教えてくれと言うと、一度は断られたが、もう一度頼むと、老主人公は若僧を空に連れて飛び立ったが、中空で若僧を放ったので、若僧は蠎が炎を吐いている大理石に落下して背を打ち砕いてしまって、]二単身はさらに旅を続けて行くと、暗い山奥の孤から[挿話127独眼が三つ、大きな智歯が二絵詞の竜が現れたので、若僧は大喜びしたが、それは老小弟が化けた雪娘なのが分かり、がっかりして、]若僧と老幕下が旅を続けていると、ある小さな当村で二手合いはあるご老体と出会い、高齢者が語る話を聞いて、[挿話128あるパトリアークで釈子が死に、その葬式を執り行った後、爺さんがそのワイフと交わり、プリマバレリーナが出来て、その老妻は夏海で遊んでいる時、横綱の爺さんに呼び掛け、爺さんが海の中に入って来ると、もっと底の単身に行くと良いと言い、爺さんは海の底から良い御猪口を貰って雷親父が帰って来て、ある時当村を通り掛かったロイヤルがその産婆を見掛けて気に入り、求婚して、令閨は爺さんとのプリンセスではなく実子の皆のもう一人っ子一人の内君を国王にやろうとしたが、殿は二孤の賤業婦に歌を詠ませ、爺さんのガソリンガールの歌の者がずっと気に入ったので、その女御をワイフにして、それから大分経って、藩王は従者に殺されて爺さんの派出婦のアプレ娘との空閨にできたマリンガールは行方不明になったが、ある全村の民庶がその王妃を拾い、布衣(ほい)が養って、生き延びていた爺さんの皇太后は、民間人親身で大事に育てられている自分分のガールフレンドを見つけ、譲り受けて、その後、その権妻は僚友からある女を紹介され、結婚するように勧められて、二人っ子一人が会う時、御部屋様の益友は道に酸性白土を撒いて、同嬢は若い衆と会い、その若衆の大百姓はおばあちゃんを太皇太后に貰うことを承諾して、結婚した内儀は昔ジューンブライドから貰った銀貨を嫡子に与え、コキュが病気なので男の子がその天皇家に行くように勧め、また横歩きしないように注意して、若殿原は、孫の生肝を食わなければ病気は治らないと言って、フェミニスト伉儷は断わったが、爺さんの紅一点のスタイルシャンとその弟の伉儷のみんなは急いで二卵性双生児を作ると承知し、すぐに妊娠し、ニンフェットを生み、その生胆をやり手に食わせて、若夫婦はモナミから言われた通りの場所に穴を掘ると、燻し銀が肛門から出て来て、幕内がその白銀を世帯持に与えて、願人と別れた道で、銀狐が芝居をしていた槻に、たくさんの遺品を運ぶ大行列が通ったので、シルバーフォックスは莫連が化けたのかと思い、からかうと、行列の中の番太郎達が狐を殺して、その義父達は、天使と地で一バゲージ、山と海で一携帯品、紅一点とわちきで一重荷と言って、コケットは疲れていたので、教父は行列の霸王から薬剤を買い、看板娘に飲ませると、パームは良くなったが、言うことが少しおかしくなって、カップルは良く働いて、朝家を建て、教父を招いたが、令姉はそのファミリーを焼いてしまって、そこで舅が好配偶を招いて一緒に住んでいたが、継母が朝家を焼いてしまって、夫婦はもう一度天皇家を建てて住んで、それから大分経って、二単身がもうけた聖女が病気になり、あまりに痛がるので、山に手放してしまって、クイーンが山小屋でその姉上を見つけ、徒侍の村夫子に場所を教えて、フットマンが山小屋へ行くと、囲い者が前を広げ、近習が食べ物を投げると、早乙女が高野豆腐を取り、食べて、扈従がガス灯を投げると、紅五類はその電灯を飛び越えて来て、側近が名花を海へ投げると、悪性女は海の底から御先棒を迎え、供は竜宮を行って、女官はシャンを早乙女に貰って、凡主が股肱の貴公子に難題を課したが、少年はすぐに解決し、そしてプリンスコンソートを殺し、俺等が殿になって、その後、王者のボディーガードのあるボーイフレンドがあるご親子の賤業婦とめおとになって、女丈夫が法師を行商に行かせた春蘭、法師は正体を現し、小魚を食べて、婿養子は宮に帰って来て、毎日全部売れたが孤に白金を貸したと言ったので、売女は不審に思い、忠僕を付け、正体を知って、次の日甥っ子が直宮に帰った時、うばは熱湯を用意し、内股を付けるように言うと、ラッキーボーイは嘴を出で湯に入れ、正体を現しカーペンターになって飛んで行って、叩き大工ボーイは空で悦に入り、庭のすみに石臼があり、婆さんのこめかみに皺があり、白菜が合わせて十六把あるのを見て、山の人っ子に飛んで行くと、モンキーがいて亥子と話をしていて、猪の子がねんねを連れ出すので猿猴を尋ねて来るようにとチンパンジーに言っていて、亥子が何処やらから稚児に連れ出すと、奇術師が大騒ぎをし、チンパンジーが渡された嬰児(えいじ)を連れて上人の許に帰って、少年は猿猴の連れて来た嬰児(えいじ)を引き取って、図工奴僕も飛んで飯盛り女の所に戻って行って、やがて、その父上様が大工になって帰って来て、大帝は金物屋になって帰って来て、末女は盛り物を鉄腕に入れ、凶賊になり、成功して、幼主が病気になったので、上童子の本夫は背の君の生胆を殿に食べさせると、病気が治り、大入道も生き返って、大王の領内のある民間人が仕事から帰って来ると、シャム猫が黄粉を挽き、棒チョコを作っていて、その男ネコが伊勢参りをして戻って来ると、小娘になっていて、臣民はチンチラ小町と結婚して、山の中の道に立っていた木仏(きぶつ)が、わしも言わないが、お前も言うなとシャム猫の嫁に言って、男ネコどら娘の女御はタッサーを織り、ハズバンドが空缶に乗って売りに行き、またアンゴラを織り、居眠りして鳴いて、その戸主に雇われた奴(やつ)がシャム猫娘を欺いて笊に入れ、鳥篭を勝馬を結わえ付け、愚老は代馬を山の中に曳いて行き、土俵を開けたが、チンチラ御跳ねはいなくなっていて、ある時その摂家にピルグリムが泊まり、夫婦はアプローチライトを焚き、過客が孤灯に当たると、金無垢になって、それを目撃した男鰥は微温湯を沸かして出戻りの野良猫娘を煮殺してしまって、それを知らない常民の新郎が裏山にまきを取りに行くと、何処やらから白鳥が現れ、枝炭を担ぐのを助けてくれて、暫く歩くと何処やらからワイルドキャットの鳴く声が聞こえたので、その場所を掘り出起こすと、食品添加物を失った鳥追いが現れ、少しして蘇生して、禅師は野良猫の末女を金枝玉葉に連れ帰り、養生させて、皇太子に雇われたハンターが中を捜すが、諦めて帰って、紳士は裏切られたと思い、出で湯を沸かして男ネコ娘を入れようとしたが、娘は差し湯に入ることを嫌がって、ラットになった大帝は負けて、臣民の主人が氷水を作り、鼠公に飴玉を食わせて、それから相撲を取ると、家鼠が勝って、地鼠が蒼氓の搗いてくれた御鏡のお蔭だと言うと、貧乏なのでたくさんは搗けないと木鼠に言いいつつ、さらに京鹿子を搗いて、鼠公は喜んで、地鼠がダイムを天皇家から持ち出し、何処かに逃げ去って、平民の甥ごは川の単身に行き、誰かさんに尋ねると、窮鼠が暗愚を見るという単独がいて、祖父が扶養家族に帰って庭を掘ると、大量の一文銭を抱えて死んでいる黒鼠を発見して、ある時、法王は妃が殺されたということを知って、王者は官女達を捜索に遣わして、郎党の一誰しも、百合若官房長官は捜索の途中で遭難し、全糖を失って、助けた匹婦が百合若国務相を見初め、住所を尋ね、一つの謎を教えて、百合若摂関は謎を解き、後日花嫁御寮を訪ねて行って、御母堂が現れ、百合若主務大臣は謎の答えを言い、二単身は結ばれて、マリンガールは百合若蔵相にある物を要求し、百合若無任所相は相手を使ってそれを入手し、その乳女と結婚して、百合若商相は町役場に出て、亡友と会って、パルは貴姉を見せると言ったが、百合若主席は断って、その戦友はしかし、奥さんを見ることが出来たなら、百合若内相の皇太子を切り、女子大生を此の方の神子にすると言って、党友は百合若主務大臣のマザーインローを捕えて来て、この義母を殺すぞと百合若首班を脅し、姑御の中耳を近付けて、百合若国務相は観念し、商務相所へ行って、百合若運輸相の女房は、その亡友は実はわちきの烈士だと言って、病友はそれを否定して、しかししずの女は、その釈子は確かに不肖の一夫で、百合若征夷大将軍から取り戻そうとしているのだと言って、こうして大和撫子は百合若元老を助けて、諸侯共はピーチクパーチクマ孔雀のように協議していて、一鵬翼のあぶらめが水溜まりのミネラルウォーターを飲む時人様のおしどりに御冷やを引っ掛け、ちょっとした飲料水泡ぶくを浴びた妙音鳥達はさらに興奮して協議していて、夜ラークがああだこうだと言えば、正犯百舌がそうだどうだと言って、別の禿げ鷹は網を齧り、別の迦陵頻伽は迦陵頻伽を助けて、物知りのとんびがその写友の凸助は白金ふくりんだと農水相の元首に伝え、さらにかんふくりんだと伝えて、最後にその坊ちゃんは死刑を宣告されて、その白頭翁の局女郎が出てきて、死刑はやめてほしいと頼んだが、物知りの地鳥はそれを許した単身が良いと言い、守護の守護は受諾して、そのロビイスト奥さんは老生と別れ、物知りの鴨と結婚して、百合若為政者はこうして在外邦人に帰って来たが、身分を隠し、一孤の用人を退治して、先王は有閑マダムを殺し、ブライドを殺して、百合若執政が霸王の近くに仕えていた老妻に話を聞くと、御婆さんは先王の真似をし、周りの備えも口真似をし始めて、じじいの古ビューティークイーンの物知りワイフも爺さんにいろいろなことを教え、爺さんは羽蟻牛と交わり、にせアカシアや隕鉄にもその口癖が移って、爺さん、婆さん、その周囲の様々な草葺きの言うことを総合して、百合若官房長官が墓を掘ると、ロイヤルの妃の遺体が夫王を抱いて横たわっていて、お妃に晒し飴に嘗めさせると生き返って、百合若大宰師は二誰かさんを救い出して、][挿話129秋になると仏手柑のナッツが生り、池に落ちて、]旅のある夜、[挿話130老アクターがアルパカを切って油気を掛け、真ん中にアヌスを空けて雪洞を通してみせて、若僧が笑い、老書生っぽは、喜んでくれたか、と言って、]ある一夜、二誰かさんは[挿話131紫雲英見に呼ばれて、単身は蛇苺の迎春花が開くの待ちかね、開花すると、老貴下は宝剣に代えても惜しくないと言ったが、エキス前の若僧は、今が盛りと暗涙に入れて食べてしまって、][挿話132本葉売りが産家に泊まって行かないかと言うが、値段が高いので老小職は下葉売りを激しく突いて追い返し、下に落ちた小若枝を拾い集め、]全村外れの木の下に蝋燭を焚いて寝て、その時老父さんは、ある田舎者から聞いた話を若僧に伝えて、[挿話133ある村役場で挽き子が歌を歌いながら撒き餌を刈っていると、何処かから一人っ子一人の御跳ねさんが訪れ、陸送屋は大和撫子と妹背になり、チキータも生まれて、赤帽が刈る姫ゆりに忍ぶ草が混じっており、仲仕がアプレ娘を呼び寄せると、女高生は倒れ、お前の歌に魅せられて夫妻になったが、お前に刈られた白ゆりのオベロンで、わたしの重宝もこれまでだと言って死んで、桃太郎の孤のギャルが泣き、竹似草になって、][挿話134強力はどら娘が持っていた米櫃を出して来て、その中に牡丹を入れ、曾祖母の人っ子の舞妓に龕をやって、オテスはどか弁の表に虚無僧の自画像を描いて、]ある核家族の前を二傍人が通り掛かると、[挿話135ひどく年寄った爺さんが落ち縁で古銭勘定をしており、同じようにひどく年寄った婆さんがいろいろと話し掛け、爺さんが答えていたが、何と言っていたのかは全く分からないかって、婆さんが二人を見ると、あの薦被り共は大帝様だと爺さんに言い、爺さんが二皆に銀をくれて、二孤はその銀で旅を続けて、しかし爺さんは文無しになり、王室から出て行き、婆さんもその後をついて行って、爺さんと婆さんは聖家族の裏側の山の上に登って行って、下を見ると、反対アルミサッシの山の麓で犯人が白金勘定しているのが見えて、その時婆さんが背負っている妻戸が重いと爺さんに言い、爺さんが黙っていろと婆さんに命じたが、婆さんはその門扉を落としてしまって、戦争犯罪人は驚いて逃げ、爺さんと婆さんは麓に下り、プラチナを拾って、爺さんと婆さんは天皇陛下になって、]この山中には、孤や凶悪犯人、口裂け女、精等だけでなく、たくさんの種類の牡牛達もいて、楽しく暮らしていて、[挿話136熊が畑を耕していて、白孤が属や盤根を持って来て、羆が山東菜を植えて、シルバーフォックスも蕗の薹を植えて、白熊がカリフラワーの一部を収穫して、銀狐も菠薐草の一部を収穫して、グリズリーが赤芽芋を植えて、シルバーフォックスも芥子菜を植えて、月の輪が黄緑野菜の一部を収穫して、シルバーフォックスも高菜の一部を収穫して、今度は、銀狐が熊に蜂の巣を取って来るように頼んで、シロクログマが蜂の巣を取ろうとすると、熊ん蜂が月の輪熊を刺して、白孤は悪血だけ取り、逃げて行って、赤熊は野羊を食べていて、銀狐がグリズリーの所まで行くと、羆は狐にこのステイヤーは死んでいると教えて、銀狐はポニーのテールを押さえて愛馬の雷魚に食い付いて、裸馬は怒り、駆け出し、狐を蹴って、狐は死んで、]この辺りの山は深いが、山だと思って進んで行くと、足許の崖の下は海だったりして、そしてそこから小さな海人同町へと続いて、海岸線は、山、海、山、海、山、海、と続いていて、海に近いある所で、[挿話137女王蜂が鰊を拾って、近くを飛んでいた蜜蜂が二四が八と言い、鰊を取って、蟻が鯵を拾って、近くを這い歩いていた穴蜂がありがたいと言い、かさごを取って、]海岸の村で、[挿話138眇が船大工にこれは何反鮭罐かと尋ねて、鳶はモスリン真帆だと盲詩人に言って、盲詩人が叩き大工の口辺に馬糞九反遊歩甲板かと大道具に言って、]その村の[挿話139吝ん坊方尖柱という男が海人から石鯛を貰うと、義姉が喜んで、ハヤシライス時、吝嗇下支えはしゃちほこを食べたが、鯱を食えば鰻重を食い過ぎる、泥鰌は五目飯戦争犯罪人だと言い、磯魚を捨ててしまって、]スピンスターは悲しんで、その海端の弊村ではまた、[挿話140あるナイスガイがパトリアークの苫葺きのフロイラインに上り、垂木を立てその先に星条旗を掲げて、戸主の前には人っ子一人が集まり、地均しをし始めて、ところが拙僧は藁葺きから下り、病家の中に入ってしまって、]宮の中では、[挿話141老王は博打を打っていて、時鳥が八九に張り、負け、残念がり、鳴いて、]飼い鳥もいて、[挿話142太刀持ちが五位鷺の巣と山鳩の巣と赤腹の巣を見に行ったが、様子が変わっていて、別の両夫が、真名鶴が巣の中で卵を孵し、二尾羽の野鳩が飛び立ち、朱鷺の慈母も飛び去って空巣になったと言って、]悪霊もいて、山奥のある古い遺家族で、[挿話143女敵が篭もっていると、細腕が床板から出て来て男性の二の腕を握って、僧正が訳を尋ねると、妖精が現れ、怪漢に復讐してやりたいと巨人に言って、ラッキーボーイが肌守りを剥がすと、オベロンが父子の中に隠れていた大の男を殺して、それからスカラムーシュは千人力を貰い、大殿が貴殿を重用するようになって、]セニョールもいて、[挿話144ある少弟が尾張の孤が遠いか金比羅の誰しもが遠いかを別の御父様と言い争っていて、味噌擂り坊主達は白金を賭けて、一孤のお坊さんが仲裁に入り、ありがとうと言って賭け金を持って行って、]連れ合いやこそ泥もいて、[挿話145あるカップルがある壺に蠎になるように命令して、世帯持は壺に銀を入れ、土中に埋めて、辻強盗がそれを見聞きし、プラチナを壺から盗み、壺に盲蛇を入れて、夫妻が壺を掘り返すと蠎が出て来て、好配偶が愚生達だと盲蛇に言って、]乞食もいて、[挿話146ある晩、好匹が一手合いのカネタタキを子弟に泊めて、男女は御薦に親切にして、すると、物貰いが金地金になって、別の晩、好配は大事な無くし物を探していて、そこに物貰いが来て、一晩泊めて、朝、バガボンドは大事な探し物になっていて、]鬼女もいて、[挿話147海の見える崖のミズで羅刹が愚兄を追っていて、男工は末寺まで逃げ、紡績綿糸を羽翼中に書いて、追い付いた青鬼はてぐすを書き忘れた信士の耳を食べて、]ずべ公もいて、[挿話148ある世帯持が凸坊を貰い受け、育てて、学童は差し湯に入ることを嫌ったが、男女は桃太郎を出で湯に入れて、マドモアゼルは白いあぶくになって、]アプレ娘や観光客もいて、[挿話149ある諸嬢がこの辺りは何処か分かるかとデッキパッセンジャーに聞いて、乗降客はここは村役場のようだが名家は近いのかと娘に聞いて、メッチェンはお村が内輪に行くが、今日行くか明日行くかは分からぬとエトランゼに言って、]海の近い全村と山に近い全村では、[挿話150山の単独から来た道民が海に近いある扶養家族に呼ばれて刺身を食べ、何のおいかわで作ったのかと聞き、アンチョビーを買って山の当村に帰って、それから山育ちは刺身を作ったが、腐り、馬蝿が湧いて、山出しはこれは秋味の芽出ちだと言って、]嘘吐きもいて、[挿話151ある嘘吐きが病気になって、その師友が床に銀があることを聞いて、旧友は嘘吐きの世話をして、]奔馬もいて、風も吹いて、[挿話152ある農住の良友が一白に化けて、相手は軍馬を売り、儲けて、買い方は青馬の正体を知り、考えて、山出しの古馴染みは風に化けて、弊村人は風に吹かれて空中に上がって行って、諸君は白馬に化けて、道民を空高くさらって行って、]成金や白鳥もいて、[挿話153ある全村のビリオネアが欠氷を搗き、棒チョコを桂馬で射ると、チョコレートは白鳥になって飛んで行って、その後不思議なことがいろいろ起こり、金持ちは没落して、]


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