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書評集

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書評を集めました。 取り敢えず、比較的長いのも短いのも、書評と言うより単独の文章に関する論評も、いろいろなものを集めてみます。 多分後で何らかの形でバージョンアップすると思います。
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記事一覧

偽情報/ナラティブ情報の起源と本質――クリヴィツキーの『スターリン時代』紹介

【書誌情報】 ワルター・クリヴィツキー 著・根岸隆夫 訳.『スターリン時代――元ソヴィエ…

偽情報戦と物語戦との違いと関係に関する佐々木孝博氏の考察をもとに(短文)

偕行社安全保障講座――ロシア・ウクライナ戦争を振り返る(2023年4月20日・グランドヒ…

長谷川毅『暗闘 [新版]―スターリン、トルーマンと日本降伏―』(みすず書房。202…

現在、ロシア・ウクライナ戦争を巡っては、ウクライナの「反転攻勢」がほぼ挫折し、戦闘におけ…

文献紹介―小泉悠「ウクライナ戦争をめぐる「が」について」(『世界』2023年10…

ロシアの軍事戦略や安全保障を専門とし、第二次ロシア・ウクライナ戦争勃発以来学術的世界での…

保坂三四郎『諜報国家ロシア』、やっと若手からまともな研究が出てきた。三島が死んでから危機感もなくボケっとして修辞のための修辞に耽ってきた我々の世代の責任も大きい。はじかれ田舎教師ではあれ自分も恥ずかしながらバカ世代の一員だ。70年を境に切断されていた過去を想起することも重要だ。

作家・法政大学教授の島田雅彦氏の暗殺(テロ)肯定論に関わる文章が難しくて理解でき…

作家で法政大学教授の島田雅彦氏が、自分の動画チャンネルAir Revolutionに今年(2023年)…

1934年日本評論社刊 勝野金政著 赤露脱出記 読んでますが、日本では早すぎたスターリン批判。未だソ連的なるものにこれほどの被洗脳者いるのを見るとスターリンのオヤジさんは凄かった。若い人はいい加減気をつけましょう。

上念司氏の新著『経済で読み解く地政学』は「ロシア偽情報戦」の入門書ともなっています(特に3、4章)。有名なメッスネル理論の他反射統制理論のことも解説されています。「国家、革命、軍隊といったものは、すべて心理的現象である」というメッスネル理論は吉本隆明の共同幻想論を思い出させます。

「即興ではできない」―大木 毅『歴史・戦史・現代史―実証主義に依拠して』(2023. KA…

本書は、『独ソ戦』の著者で、別名赤城毅(作家)でもある、大木毅氏による新著である。『独ソ…

棄却されない型―勝野金政『赤露脱出記』(1934年、日本評論社)を読む

1.勝野金政について この本の著者勝野金政(かつのきんまさ)は、戦後文筆や研究を専門と…

人間としてのスターリンの生態(その2)―フレヴニューク『スターリン』に見る

4.仕事の場、生活の場におけるスターリンの生態 ここからは、最初に出典を示した、オレー…

人間としてのスターリンの生態(その1)―グロスマン『人生と運命』、フレヴニューク…

1.はじめに 「政治家」というラベルを貼って済ますにはあまりに桁外れな存在であるように…

岩手県立大学授業(10月10日哲学の世界・参照論文の解説)―文献紹介:高橋杉雄「…

防衛省防衛研究所所属の軍事戦略を専門とする研究者で、ロシア・ウクライナ戦争についても発言…

エッセイ紹介:渡辺保(2023).「猿之助は未来への希望だった」.『文藝春秋』七月特別号 (pp.151-159)―(その3/3)

続く二つの節では、雑誌『女性セブン』によって猿之助攻撃の中心概念として用いられた「セクハラ」や「パワハラ」を巡る議論が展開される。 【「パワハラ」や「セクハラ」という概念による自主規制は現在の社会の一つの象徴的ないし典型的特徴である。すべてをパワハラやセクハラの眼鏡を通じて萎縮的に捉える感性も普及しており、そんな輩の目にはあらゆる男女のヌード写真や裸体像もセクハラの体現物であるらしい。そのくせ、例えば、「勉強し授業の準備をすること以外のどうでも良い雑用に膨大な時間を取らせ教員