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Web小説界隈のXアカウントで3ヶ月500万インプレッションの壁にチャレンジしてみた

はじめに

去年から、X(旧Twitter)では収益化の話題がたびたび流れてくる。そのための条件は、1)プレミアム以上の有償プランに加入し、2)3ヶ月間で500万インプレッションを超えたことがあり、3)フォロワー数が500人以上というものであり、特に2の条件を満たすハードルの高さゆえに、殆どのユーザーにとっては無縁の話だ。

おまけにその条件を満たしたとしても、条件ギリギリの達成では毎月の収益は月額980円の有償プランの金額を相殺してなんとか黒字になる程度のものであったため、収益化に対する興味そのものも日を追うごとに薄れていったように思う。

むしろ、少額でも大きなメリットになり得る海外のとある地域のユーザーたちが、トレンドワードに乗っかってデマ情報を流したり、投稿内容を丸々パクったり、バズった投稿のリプ欄に同じような一言コメントを大量につけるという暴挙に出たせい(いわゆるインプレゾンビ)で、収益化に憎悪を向ける人も少なからず居るように思う。

私も先日までは、無関心を決め込んでいたユーザーの1人だったのだが、たまたま今年の2月頭の10日間だけで約85万インプレッションを達成したために、もしかしたら3ヶ月で500万インプレッション達成できるかもと考えるようになった。

とは言え、その目的のために今までの自アカウントの運用方針を大きく変えたくはなかったし、いきなりツイ廃と化して日に20や30の投稿をするのも嫌だなと思った。悩んだ挙句あくまで運用方針は今までと大きく変えず、以下のマイルールでチャレンジしてみることに決めた。

  • 1日の投稿(リプは除く)は10件を超えない範囲で行う

  • Web小説界隈の関心事を中心に扱う

    • 界隈外の話題でもTLで界隈の複数人が言及していた場合は扱って良い

  • インプレゾンビの真似事はしない

なお、これを決めた時点でのフォロワー数は4200程度であり、Web小説界隈のアカウントとしては多い部類である。ただ運用してみて分かったことであるが、500万インプレッションを狙うにあたってこの程度のフォロワー数ではインプレッションへの寄与は誤差の範囲に留まる。だから今回の記事はフォロワー数3桁のアカウントでも十分参考になるはずである。

現状を知る

最初に行ったのは、戦略を立てることだ。そのためには500万インプレッションをもっと細かい単位で考える。まず3ヶ月=90日とした場合、1日あたり5.6万インプレッションを達成する必要がある。そして毎日の投稿件数を10件未満とした場合、1件あたりのツイートのインプレッションは7,000ぐらいが目安になる。しかしながら、私の普段のポストのインプレッションは2,000〜4,000程度と全く足りない。そして一切RPされなかった場合は1,000を少し超えるぐらいが関の山であった。

4,000フォロワーを超えていながら随分低いインプレッションに思われるだろうが、多くのユーザーのタイムラインはフォロワーのポストではなく、一定のアルゴリズムに基づくXのオススメポストが流れる仕組みのため、必然的にフォロワー数とインプレッション数は相関し辛くなる。

実際、同じようなフォロワー数を抱える他のアカウントは1,000どころか500、下手したら200程度のインプレッションだったりする。話題が雑多でポスト数が1日あたり2桁かつ宣伝系ポストを一定流すタイプは、ベースのインプレッションが低くなるのかもしれない。

一方、私のポストの過去実績を眺めてみると、おおよそ「いいね」が100超えるポストでようやく1万インプレッションを超えるようになるということが分かった。そして、そういったポストの中から稀に10、20万インプレッションを叩き出すものが生まれている。ただし、いわゆる万バズの経験はこの4年を通じて1度も無い。色々なまとめサイトに取り上げられたせいで140万インプレッションまで行ったポストはあるけど、4年前の話だし全く参考にはならないだろう。

つまり、現状の延長線でアカウントを運用した場合は、少し頑張った程度では85万インプレッションという幸先の良いスタートを切れていたとしても、3ヶ月で500万インプレッションはほぼ無理ゲーということが分かった。

戦略を考える

今までのやり方が無理ゲーなのは分かったものの、分析結果とは裏腹に過去4年ほどWeb小説界隈に身を置いている私の「勘」は「いや、いける」と告げている。万バズこそ無かったものの過去にパフォーマンスの良かったポストはそれなりに存在しており、ここ1年ぐらいは「いいね」が100以上つくポストの特性はおおよそ分かってきていたのである。

それはズバリWeb小説界隈では毎週のように界隈全体で盛り上がる話題が3つ4つあり、その話題に関するポストであれば万単位のインプレッションは得やすいということである。

ただ残念なことに、それだけでは持続的に1日5.6万インプレッションを稼ぐには心許ない。そこで界隈の話題に関するポストの際には、140文字を超える長めの文章を基本としてそれを2〜3ポストに割って投稿する。また自分自身でも積極的に新しい話題を発信し、界隈のホットな話題が毎週5つほど供給されている状態を目指すことにした。

結果、リプによるインプレッションを含まずとも500万インプレッションを超えることができた。

3ヶ月間のポスト種別ごとのパフォーマンス

週単位の振り返り

おおよその戦略が決まったのは3月の話である。2月前半は全く狙っていなかった複数のポストで高いインプレッションを叩き出し、110万インプレッションとなった。しかし後半は従来通りの運用だったため40万インプレッション止まり。なので振り返りは3月分から行うことにする。なお、各話題のインプレッションはリプのインプレッションを省いた値、その週の全体のインプレッションはリプのインプレッションも含む値とする。

3月/1週目(3/1〜3/7)

この週のWeb小説界隈の話題は、何といっても小説家になろう20周年イベントとヒナプロジェクトの役員総入れ替えである。たまたま私はこのイベントに参加していたので、その内容をまとめていた。また、イベントがキッカケで役員総入れ替えに気づき、その旨をポストしてこちらもそこそこのインプレッションとなった。特に役員総入れ替えの話は、一部のWebメディアが取り上げるよりも先にポストしていたので、情報の発信源として一定の役割を果たせていたように思う。

上記のほか、この週はなろう系を腐す話題があり、『無職転生』の作者の方まで反応する事態になっていた。私もなろう系は過去何作も読んでおり、その腐している人の主張があまりに偏見に塗れたものであると感じたため、私自身の見解を述べたり、過去のなろう系に対する謂れなきレッテルと共に一覧にして振り返るなどした。

以上の2つの話題を何度かポストした結果、なろうの20周年イベントに関するポスト群で約27万インプレッション、なろう系disに関するポスト群で約9万インプレッションとなり、週全体では60万インプレッションとなった。

3月/2週目(3/8〜3/14)

この週はアルファポリスのコンテストにVtuberが関与し、知り合いの作家への投票を呼びかけたことが話題になっていた。これについて私も一応コメントしたもののインプレッションは2万程度。他は特に大きい話題はなく、週全体では16万インプレッションに止まった。

3月/3週目(3/15〜3/21)

この週は、またまたなろう系をdisる人のせいで界隈が騒がしくなった。具体的には「もういい加減「異世界転生」とか「仮想世界」とかやめようよ」との呼びかけから始まるポスト。昔はそのような独創性の無いものはゴミ箱行きだったと、ある種の武勇伝にもつなげており芸術点の高いポストだったと思う。これは私の感覚と大いにズレていたので(もちろん私の感覚が非常識な可能性もある)、何件か批判的なポストをすることになった。また、「ジャンプで人気の漫画マシュルは、転生してチート能力を貰って無双するなろう系とは違う」的な雑語りも話題となり、そちらにも何度か言及をした。ただ、この2つの話題のインプレッションは9.5万程度。大した数値にはなっていない。結果全体のインプレッションも26万インプレッションと2週連続で目標を下回る結果となった。

3月/4週目(3/22〜3/31)

ここまでの累計は100万インプレッション。せっかくの1週目の貯金を2〜3週めで食い潰す結果となってしまった。「この週もダメならもう諦めよう」、そんなネガティブな考えが頭をよぎった。

この週は、「完結済み」の話が界隈の話題として大きくフォーカスされた。Web小説界隈のプロの作家さんが発端となった「小説書きに一番必要な経験は「小説を完結させること」です。」から始まるポストは、万バズとは行かないものの119万インプレッションを叩き出し、Web小説界隈を超え『ジーザス』や『ARMS』で知られる七月鏡一先生も反応するほどの広がりを見せた。まさにビッグウェーブである。

『小説家になろう』の「完結」については、私もそのメリットを昔から何度も説いてきたし、実際その恩恵を受けて飛躍した作品をいくつか記憶していた。このため、完結によって成功を収めた『小説家になろう』の名作を3つほど紹介してみたところ、これが予想以上の話題となり関連ポストの合算は45万インプレッションとなった。なおその3作品は、紹介後に『小説家になろう』の総合日間ランキング中位まで進出したようである。

またこの週は、上記のビッグウェーブと双璧をなす話題として「熟語の誤用」が大きな話題を呼んだ。残念ながらこの話題に関してはいくつかポストしたものの伸びず、6万インプレッション程度。ただし私の周りではこの話題に反応して万バズになった方が複数いらっしゃったので、火力の高い話題だったことは間違いない。今後も数ヶ月おきに話題になるポテンシャルがあると言える。

一方、私から発信した話題でも大きな成果があった。カクヨムを巡回している最中に生成AIの一つである『Claude3 Opus』を活かした執筆活動を模索して発表している評論を見つけ感動したので、その感動をポストとして共有したところ、かなり長い間多くの方に反応をいただいたのだ。結果、関連するポストを合わせて32万インプレッションとなり、紹介した評論へのリンクのクリック件数は約5000件に達し、カクヨムの評論部門では日間のみならず週間でも1位を獲得する人気となっていた。

その他、上記に比べると地味ではあったが、Vtuber界隈には仲介者が不足しているという話を小説家になろうに置き換えてポストするなど、界隈が盛り上がりそうな話題を地道に提供し続けた。1つ1つは1〜2万インプレッション程度だったが、全体では先の2つの主要な話題のインプレッションと合わせ140万インプレッションとなった。

これは仮説だが、Aという人物が万バズやプチバズした場合、そのポストを閲覧したユーザーには、Aの他のポストが一時的ではあるが優先的に配信されるのではないだろうか。このため、普段なら1万インプレッションに満たないはずのポストが2倍3倍の伸びを見せ、それが「塵も積もれば山となる」状態を生み出したのかもしれない。

以上が3月の各週の振り返りであり、最終的なインプレッション数は約250万の着地。2月と合わせると約400万インプレッションなので、目標達成がほぼ確実となり、微妙に感じていたストレスも霧散した。

4月/1週目(4/1〜4/7)

この週は、ほぼ毎日のようにインプレッション数が5万を超えた。その要因は2つ。1つはプロのSF作家さんがなろう出身の作家さんのポストにネガティブに反応して、最終的に他の人とのリプのやり取りの中で「小説家の肩書きもディプロマミルみたいになっちゃいましたね」と嘆き、それをなろう出身の作家さんが非難した件。そしてもう1つはなろうの辺境伯に対する素朴な違和感を嘆いた件である。前者は「選民思想的で嫌だな」と感じたため、いくつかの批判的なポストを投稿した。そのインプレッションが9.5万。一方の辺境伯絡みは9.1万となった。

また、私からも積極的に新しい話題をポストした結果、全部で6万インプレッション。先週に引き続き全体のポストのインプレッションが底上げされる恩恵もあったようで、最終的に50万インプレッションで着地となった。

4月/2週目(4/8〜4/14)

この週は、水魔法の一つであるウォータージェットに関して、作者の知識を浅いと腐す投稿をした方がいらっしゃったため界隈は大きな盛り上がりを見せた。もちろんその腐した人に対し否定的な物言いをする方々が主流だったが、そこから派生して魔法に関するポジティブな話題に転換したポストが万バズとなっていた。

私もこの話題にはポテンシャルを感じたので全力で乗っかり自分の推し作品である『水属性の魔法使い』の素晴らしさをPRして20万以上のインプレッションを稼いだ。作品へのブクマ数も2日で100ブクマ以上増えていたので、かなり貢献できたように思う。最終的にウォータージェット関連のポスト群は33万インプレッションとなっていた。

また、引き続き今週も私から話題を積極的に提供してみた。その中では「なろうのランキング目指しているのに、ランキング読まない作者さんって居るのだろうか?」と前からの疑問をポストしたものが、関連するポストと合わせて11万インプレッションまで伸びた。

以上のようなことが重なった結果、全体のインプレッションは先週より伸びて約78万インプレッションの着地となった。この時点でリプも含めた全インプレッション数は530万。無事目標を達成した。

ジャスト500万に到達した瞬間に上記の通りチェックがついた

4月/3週目(4/15〜4/21)

この週は目標を達成していたため、かなりモチベーションが低下していた。しかし全く狙っていなかった「Xの新規ユーザー3ヶ月間有償化」の噂に対しての感想ポストがプチバズってしまい、これだけでインプレッションが20万ほどとなっていた。どうやら、「3ヶ月ROMれ」と要約したことが、他の方々の琴線に触れたらしい。結果Web小説界隈とは違う方面で、多くのエンゲージメントが発生したように思う。

とはいえこれ以外に大したポストは無く、上記のようなプチバズがあった週であるのに、最終的な着地は約34万インプレッション程度となった。

4月/4週目(4/22〜4/30)

この週も先週と同じくモチベーションは低調だったが、『ハーメルン』の作品をクロールしてAI用のデータセットとしてWebにアップロードする非道な行いが発覚して話題になった。その中で、『小説家になろう』も同じようなことをされているという話をがあり、そこを掘ってみた結果、実際なろう作品を無断で取得してきたデータセットの存在にたどり着いた。その旨ポストで共有したところ5万ほどのインプレッションとなった。

また、前から企画していた「本好きにオススメしたい2023年話題のなろう作品」の一覧をようやく仕上げて公開したところ、多くの反響があり3万インプレッションほどになった。

ただその2つを合わせても8万インプレッション程度だったため、この週のインプレッションは先週よりやや下がって32万インプレッションに止まった。

結局4月は、前半こを力を入れたものの後半のペースダウンが祟って、全体のパフォーマンスは186万インプレッションでの着地となった。

500万インプを目指す中で分かったこと

以上の通り、3ヶ月で無事500万インプレッションを達成したわけであるが、当初の目論見のように毎日5.6万インプレッションをコンスタントに稼ぐことはできず、山あり谷ありの結果になった。

2024年2月から4月の90日間のインプレッションのグラフ

結果をもとに考えるならば、定めた戦略に沿って毎日ポストを重ねていくことでその何割かは期待以上にインプレッションが伸びるという前提を置き、毎日のインプレッション数は2〜3万を目指すぐらいが丁度良いのではないか。1) ポストが伸びた場合それに関連したポストを積極的に投下する、2) ポストに他の自分のポストをぶら下げる、3) 時間を置いてリポストするといった工夫を重ねれば、もう少し楽にインプレッションを伸ばせたかもしれない。それと時間。投稿していく中で、明らかに反応の良い時間帯と悪い時間帯がある。私の場合は、朝8時前後、昼12時ちょっと前、夜19時ちょっと前ぐらいに投稿するのが体感で一番反応をもらいやすいと感じた。

また、日々の界隈の話題をいち早く察知するのも重要で、Xのリスト機能を使って、界隈の話題を迅速にポストしてくれそうなアカウントをまとめておくと、より効率的に運用できるはずだ。ただしその話題に乗るときは、自分独自の観点を入れた方が伸びやすいと思うので、界隈で繰り返し話題になるネタは、事前に文章を推敲してストックしておくことを推奨したい。

課金 + バズツイ返信が最高効率だが…

ここまでを読んで、大体の人は「面倒くさそう」と思われたのではなかろうか?私自身このチャレンジをやっている中で毎日ネタを考えるのに追われて、なかなかに面倒な思いをした。

結局のところ情報商材ネタにもなっている、Xに課金(月額980円)してリプ欄に優先的に表示される権利をゲットし、ゾンビと言われない程度に人気のポストに毎日丁寧なリプをつけ続ける手段こそが最高効率である。なんせそれだけで1日5.6万インプレッションのノルマも余裕なのだから。実際収益化の条件を満たしたと報告している人たちのアカウントを指定して「min_faves:100」で過去のポストを検索してみてほしい。おそらく該当するポストは1、2個程度であろう。これは500万インプレッションを満たした主要因がバズツイへのリプだからである。もちろん中には私のように正攻法で攻略したアカウントもあるものの、残念ながら少数派と言える。

「いいね」を碌にもらえないつまらぬリプであっても、1000万インプレッションのポストにぶら下げるだけで50万、100万インプレッションというのは正直如何なものかと思うのだが……。

さいごに

じゃあ今回のやり方は価値がないのかというと、そんなことはない。なぜなら収益化を達成した後は、リプのインプレッションがいくら増えても実際の報酬には結びつかないからである。

Xの分配プログラムは、オリジナルのポストのリプ欄に表示される広告を有償ユーザーがどれだけ閲覧したかを元に最終的な収益額を算出している。そしてこの広告が表示されるのは、最低でもそのポストにリプが2つついてからと言われている。

よって、多くのユーザーが関心を持つポストを投稿し続けるだけの地力が育っていなければ、収益化の条件を満たしても「猫に小判」と言えよう。易きに流れることなく、ぜひ今回紹介した運用を参考に、自分なりのX運用術を模索してみてほしい。

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