母と父とONE OK ROCK

恥ずかしながら、うちの実家は家庭崩壊しています。

ありがちですが、祖母の介護問題で親夫婦は分裂しました。わたしには弟がおり親と同居していますが、まあいい歳だし交流はないようで、3人とも家庭内別居みたいなものです。わたしは介護問題が発生する前に結婚して家を出ていますが、家を離れてからは家族がちょっと苦手になってしまい、結婚してから実家へ行ったのは2回ほど。先日祖母の49日に訪問した際(これが2回目)は、なんと、道に迷いました。実家なのに。

とはいえ「苦手」程度なので(そもそもわたしは夫以外すべての人間がちょっと苦手です、子どもでさえも)、それぞれとたまに連絡を取り合っています。

うちの父はいわゆるアングラ・サブカル野郎で、わたしも幼少期からさんざん教育されてきました。ジブリなんか観たことなかった。かわりに「AKIRA」を与えられ、アンパンマンでなくチェコアニメ、映画館で見るものと言えばゴジラかガメラ、週末はだいたい美術館。トマソンを見つけて報告すると飛んで喜ぶような親でした。とはいえ本人はもともと登山やスキーが好きで、サッカー部でタバコを覚えたような、ふつうの人であることもたしかです。もともと大手企業のインハウスデザイナーでしたが、今はフリーランスです。そんな父はyoutubeが大好きで、もともと電車がただ走るだけの動画(こんなの誰が見るんだと思っていたのですぐそばにいてびっくりした)を見ていたそうですが、昔のアイドルソングを聴くようになりその関連動画でBABYMETALにハマり、売れる前のSuchmosやAmPmだのわたしですらついていけない若者系ミュージックシーンを熟知し、その後外国人のリアクション動画(これも初めて聞いたときジャンルを知らなくて引いた)を経て、ONE OK ROCKにたどり着いたそうです。ワンオク聴いて号泣する外国人の動画見て、心揺さぶられたらしい。「みんなあの曲がいいっていうんだけどさ、おれはあの曲が好きなんだ(全然覚えてない)」とか、「海外のライブだと"ワンオーケーロック"って名乗るんだよ!」とかいろいろ教えてもらった。父は顔が広く、某女優さんのお父さんや、最近若者に人気の某バンドのドラム?のお父さんと仲が良かったりして、結構前にその某バンドが出るフェス的なのに行ったときそこですでにワンオクを見てたっぽくて、「ちゃんと見とけばよかった!!!」とめっちゃ悔しがっていました。たまに父と食事に行くと終始こんな話をしています。ところで先日の会合では「最近ゆいちゃんがいないんだ…大丈夫かな…」が父の最後の言葉だったので、「YUI-METAL脱退」のニュースを見てわたしも大いにショックを受け、その日の夜、父が夢に出てきました。

母とはあまり話が合わないので父ほど会わないのだが、先日喫茶店でコーヒーお替りしながら4時間くらいしゃべってきました。うちの家庭が複雑なのは祖母の介護問題以外にも原因があるのだが、そっちの方の原因で、母は母自身の家族とも交流がありません。母の実家に関しては、わが家ではほぼタブーとされてきました。そんな母が、ちょっと言いづらそうに「最近、姉と会っている」と告白してきた。別に全然かまわないので、母がひとりぼっちでないことに逆に安心して「そうなんだ」と返した。母の姉は森進一の大ファンだそうで、しかもいわゆる認知っていうの?、森進一ともふつうに会話するくらいのファンらしい。それで妹である母を森進一に紹介したいということで、母はディナーショーや公演にたびたび連れられているそうだ。毎回姉が全額出してくれるそうで、「ちょっと最近行きづらい」とのこと。そう、我が家は全員小心者なのである。そんなな流れで、「ONE OK ROCKって知ってる? 最近ライブに誘われててさ…」と母の口から飛び出たもんだからびっくりした。なんと母の姉は推しの息子をも応援しているらしい。そういうもんなの…? ワンオクもデビューからずっと支えているらしく、なんかもう世話人みたいなレベルで森一家に金を落としまくってるらしい。ONE OK ROCKのライブには行ったことがないが、おばちゃん軍団がいたら、それはきっと森進一親衛隊(名称不明)のみなさんです。

そういうわけで、夫婦の縁というのは不思議なもので、本人たちは憎みあっていても、どこかつながっているとわかって、なんか安心する事件だった。ありがとう、ONE OK ROCK。わが家はワンオクでつながっています。ちなみにわたしはミスチルファンなんだけど、「Your Song」の「ウォー」ってやつ、ワンオクっぽいよね!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?