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ポッドキャスト更新、テレビドラマクロニクル補足講義 第四回 特別電子書籍『テレビドラマクロニクル 2020→2021:コロナ禍の進行はテレビドラマをどう変えたか』について。



#25 テレビドラマクロニクル補足講義 第四回「コロナ禍のドラマ(特典電子書籍の生まれた経緯)」1


・特別電子書籍については、もともと、本編に収める内容だった。
・「はじめに」から続くイメージ。
・『テレビドラマクロ二クル 1990→2020』が表パートだとすれば、電子書籍は裏パート。
・まるで『木更津キャッツアイ』みたいだが、実は本書の構造自体が『いだてん』をなぞっているため、そう考えると志ん生パートに当たるのかもしれない。
・だいぶ書き換えてしまったが、個人的な視点、私小説とまでは言わないが、日記やエッセイみたいなタッチで書くイメージだった。
・『テレビドラマクロニクル 1990→2020』自体が打ちっ放しのコンクリートや鉄塔(東京タワーやエッフェル塔)みたいな無機質なイメージで書こうとしたので、その対比としてベタベタした感じにした方が面白いかなぁと思ったが、最終的にその構想は消えていった。ただ、状況に対する生々しい感じ、苛立ちみたいなものの片鱗は残っているのではないかと思う。
・今もそうだが執筆時期はコロナ禍のことばかり考えていた。
 ・長編評論に結果的になってしまった本書には、様々な導線がある。
・ある論考とある論考が対の関係になっているとか。一度過去にもぐって現在に戻って来るという構造とか。これはまぁ、今まで書いた評論もそうで、おそらく本を書く人はそういうことをいろいろ考えてる。

#26 テレビドラマクロニクル補足講義 第四回「コロナ禍のドラマ(特典電子書籍の生まれた経緯)」2



・構造としては、山田風太郎の滝沢馬琴を主人公にした『八犬傳』に近い。
・虚と実のパートがある。虚が山田風太郎による南総里見八犬伝のリメイク。実が作者の滝沢馬琴の物語で鶴屋南北や葛飾北斎も登場する。
・『いだてん』の本編と志ん生パートの関係に近い。

他にイメージしたのは『ペストの記憶』
ただ、これは『100分de名著』で見ただけで本自体は読んでないのであくまで番組から受けたイメージ。ちなみにカミュの『ペスト』は読んだ。

・書いた動機。忘れてしまうことへの危機感。
・7〜8月くらいに2020年1月から4月ぐらいまでのことを思い出そうとしたら、あまりにいろいろなことがあったので思い出せなかった(そのこと自体にショックを受けた)。特に時系列が混乱していた。
・次から次へといろいろなことが起きるため、感覚が麻痺していき、慣れてしまうことへの警戒心みたいなもの。同時に記録しておかないと数年後に振り返った時にいろいろと改ざんされてしまう。そういう世界に生きているということがSNSを見ていると嫌というほど実感する。

 本屋に行っても、ビフォアーコロナ、アフターコロナについて語る未来予測的なものはあったが、今どういう状況かを細かく記述したものはほとんどなかった。知りたかったのは1月からの刻一刻と変化する状況を記録したもの。

 最終的に役に立ったのは滝田洋一さんの『コロナクライシス』と『写真リポート 新型コロナ 見えない恐怖が世界を変えた』という写真集。

 滝田さんはWBS(ワールドビジネスサテライト)というニュース番組に出演されている方。この時期は毎日WBSを見ていた。(今は放電状態なので見てない)

・こういう短期の記憶が一番やっかい。
・SNSの情報は流れてしまうので、できるだけ客観的な事実をまとめておきたかった。

 本書に必要な原稿はある程度出揃っていたし、2010年代パートも、リアルサウンド等に書いたものに加筆修正を加えたものだったので、ブラッシュアップをする難しさはあったが、そこまで苦しくなかった。むしろ書いてる時は、こっちの方が大変だった。ただ、この箇所を書いていることがある種のモチベーションになった。


気をつけたのが状況に対するジャッジをしないということ。
できるだけ客観的に書いていくことの方が、当時、どうしてこんなことになってたんだという状況の深刻さをあぶり出すことになるんじゃないかと思った。この書き方は今考えると橋本治の『20世紀』の書き方の影響が強い。

ただ、この突き放した書き方は私小説、エッセイ的な書き方とは矛盾するので、もっとベタっとした書き方でもよかったかも。両立できるのが理想というか今後の課題。

気に入ってる原稿。

『ウォッチメン』
『野ブタ。をプロデュース』
『不要不急の銀河』
『MIU404』←ここで本書では一章につなげる予定だった。

#27 テレビドラマクロニクル補足講義 第四回「コロナ禍のドラマ(特典電子書籍の生まれた経緯)」3


・政治や社会との距離感について考えさせられた。
・すでに古くなり始めているのは、コロナ禍が続いていて、状況がどんどん変わって行くから。オリンピックの問題も宙吊りにされている。
・数年後に今起きてることも含めて完全版を出さないといけないのかなぁとは思うが、今は力尽きてるという感じ。ただ途中でもいいので出せたことはよかったと思う。
・著者にとって本は加筆修正の痕跡がみえる。書かなかったこと、書いた後削ったことも含めて自分の本。



電子書籍はPLANETSのオンラインショップで『テレビドラマクロニクル 1990→2020』を購入した際の特典となります。


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