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高砂コレクションギャラリー(東京都大田区・蒲田駅)

蒲田駅というと映画『蒲田行進曲』。JR駅の発車ベルは『蒲田行進曲』になっている。あとは羽付き餃子が有名だろうか。先日ここから離れた下丸子の周辺に訪れた際に大田区のミュージアムについて紹介されていて、この蒲田駅前にも貴重なミュージアムがあるという情報をそこで初めて知って伺った次第。
蒲田駅東口から徒歩2〜3分の場所にある大田区民ホール・アプリコ。このアプリコと、隣接しているオフィスビルの総称をアロマスクエアという。この「アロマ」の名前の元になったのがこのビルにも入っている高砂香料工業株式会社。日本最大の香料メーカーである。かつてはここに高砂の工場があったという。さらに時代を遡れば松竹の蒲田撮影所があったのもこの場所。
このアロマスクエアの17階にあるのが高砂香料工業の誇る高砂コレクションギャラリーである。

普通のオフィス内なので平日のみの開館となっていることに注意。ギャラリーであると同時に企業の打ち合わせ室もいくつか併設されているため、うっかり重役と鉢合わせ、なんてこともあるかもしれない。とはいえ、基本的に外部の人もウェルカムの姿勢で、いくらでも自由に閲覧できるというのがありがたいところ。

オフィス側の展示スペース 打ち合わせ室とかが隣接している

以前にパナソニック汐留美術館で行われた展覧会でも所蔵品を提供しており、そこに出品された香水瓶などもじっくり見ることができる。パナソニック汐留美術館では撮影は限られていたけれど、こちらは自由に撮影することができるのも特徴。そもそも平日のみなので見学者も少なく(この時は誰もいなかった)、独占状態で好きなだけ見られるというのは大きいポイント。

ギャラリー側の展示スペース こっちは閉鎖空間

ギャラリー室とオフィス側の展示スペースの二箇所に分かれている。ギャラリー室は照明を落として効果的な演出をしている。まず日本古来の香道の道具を展示。これはパナソニックの時は撮影できなかったもの。
高砂香料工業の創業者は香料技術者だった甲斐荘楠香。その名字からピンとくる人もいるかもしれない。怖い絵の『横櫛』で知られる画家・甲斐庄楠音の兄である。兄弟揃って才能の塊である。

ちなみに高砂香料工業の取締役にはノーベル化学賞の野依良治もいる。展示室では甲斐荘楠香の研究ノートが展示されている他、歴史を遡って古代の香油や香膏(クリーム)、古代オリエントのガラス製容器、イスラム世界の香炉や油瓶、東アジアの香炉などを紹介している。また香水文化が発展したヨーロッパにおける香水瓶を大量に展示しており、その鮮やかで精緻なデザインにうっとりしてしまう。香炉に施されている蒔絵なども美しい。これだけのコレクションを心ゆくまで堪能できるのはありがたい。

さまざまな種類の容器がずらり

オフィス側の展示スペースではアールデコ以降の香水瓶を主に展示している。ガレにラリック、ドーム兄弟といったガラス工芸おなじみのメンバーの作品がたくさんある。そのほかにもバカラ、クルト・シュレフォクト、エルメス、セーブルなどの容器が見られる。
オフィスなのでトイレは無し、ただし1階のトイレは利用できる。ウォシュレット式。

明らかにお高いですわね


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