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小田原文学館/尾崎一雄邸/白秋童謡館(神奈川県小田原市・小田原駅)

小田原は文学者が多く関わりのあった地としても知られている。特に小田原城から相模湾へ向かっての西海子(さいかち)エリアには明治時代に北原白秋や谷崎潤一郎など多くの文学者が移り住んでいることから、西海子小路の通り沿いに出来たのが小田原文学館である。建物自体は明治の政治家である田中光顕の別邸として造られたもので、小笠原伯爵邸や慶應義塾大学図書館などを手掛けた曾禰達蔵が設計している国登録有形文化財に指定されている。

文学館の1階はまず北村透谷の紹介から。北村透谷というと個人的にはラブの概念に迷い続けた人、というイメージがある。最後は自死を選ぶという点も印象深い。透谷の死に際して交流のあった島崎藤村から寄せられた文も残されている。庭を眺められるサンルームに出ることもできる。隣の展示室では尾崎一雄と川崎長太郎といった文人の紹介をしている。

こちらは入口側 田中氏という政治家の別邸

2階の展示室ではまず斎藤緑雨、小杉天外、村井弦斎といった現代ではあまり知られることの少ない小説家を紹介し、さらに北條秀司、岸田國士、坂口安吾に三好達治、谷崎潤一郎といった今でも愛読者のいる文豪たちの自筆原稿や書簡を紹介。こちらにもサンルームがあり、山下清の描いた小田原城や、関連の書籍が読めるスペースとなっている。隣の展示室では牧野信一や北原武夫、薮田義雄などが採り上げられている。

だいたい文学館は館内が基本的に撮影NGなので以下略

最後は3階で、こちらは応接室として使われていたもの。現在は休憩スペースとして使用されており、日当たりの良い部屋でくつろいでみるのも良い。またベランダへ出ることもできる。魚だかなんだかわからない生き物の吐水口が印象的。トイレはウォシュレット式で、小トイレはハンドル式で水が流れるのも良い。

だいたい文学館は館内が基本的に撮影NGなので以下略

庭園から別館である白秋童謡館へ向かうまでにはゆかりのある作家の碑が点在しており、途中の小道「からたちの小道」の途中には尾崎一雄邸の書斎が残されている。さらに奥へ進むと田中光顕の別邸である和館へと辿り着く。

からたち小道の途中にある尾崎一雄邸

こちらは白秋童謡館として北原白秋をメインとした展示を行っている。2階の主座敷と次の間にて白秋に関する映像が紹介され、奥の使用人専用の階段を降りると1階で北原白秋の展示室へ。小田原では寺の境内に「木菟の家」を建て、その隣には「白秋山荘」を建てており、『赤い鳥小鳥』『からたちの花』『ペチカ』といった童謡を生み出した。展示室では白秋山荘で使用されていた棚が残されている他、色々な文学者との書簡、彼が趣味で描いていた絵などが展示されている。トイレは洋式。

だいたい文学館は館内が基本的に撮影NGなので以下略


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