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菊坂跡見塾 & 樋口一葉菊坂旧居跡(東京都文京区・春日駅)

樋口一葉がかつて青春期を過ごした文京区菊坂の一帯。父親を亡くし、突如として樋口家の家長として家計を支えなくてはならなくなった樋口一葉はこの菊坂一帯を含め短い生涯のおよそ半分くらいの時間を文京区内で過ごした。借家で家族を養いながら小説家として立つ決意をしたのもこの頃である。
生活に困窮した一葉が家財道具を質草として入れていた伊勢屋質店は一葉が移転したあとも通った馴染みの店だったという。一葉が亡くなったときには香典が届けられたほど懇意にしていた店で、現在も家屋が残っており、跡見学園女子大学の管理のもとで内部を見学できるようになっている。

菊坂一帯はかなり入り組んだ町になっていて迷い込むこと請け合い。石畳の路地が所々に見え隠れしたり、湾曲した道にひょっこりと横道が現れたりと、開発の手が入れられず当時の町屋の風土が色濃く残っている様子が見られる。

伊勢屋の蔵

樋口一葉が小説家で身を立てるまで生活に困窮するたびに足繁く通った伊勢屋質店は蔵と1階を見学することができる。一葉がここに暮らしていたわけではないけれど、日記の中で何度も伊勢屋に訪れた様子が残されており、ここの存在がなければ一葉が小説家として名を残すことはできなかったといっても過言ではない。トイレはなし。

和室には一葉が伊勢屋に通った記録が紹介されている

なお、近隣には樋口一葉の旧居跡もあるため、旧伊勢屋質店へ訪れたら一緒に巡るのが賢いかもしれない。ただし特に案内板などがあるわけではないので迷うことは覚悟したほうがいいかもしれない。実際この時も迷った。
「鐙坂学問所」という古風な看板の見える家の間の小道を進めば一葉の旧居跡がこの辺りにあったといわれているが、実際は現場にも看板らしきものは残っていない。井戸が唯一の名残をとどめるものだろうか。昔ながらの家屋の様子が残っており、現在でも住んでいる人たちがいるので迷惑にならないように静かに見学することを推奨。

この一帯が旧居跡

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