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夢のあとに

今、習ってる弦楽器でフォーレの「夢のあとに」をまた弾いている。
日曜日に生徒だけのささやかな発表の場がありそこで弾く。
本当はもう別の曲を弾き始めていたのだけど、先生からこの曲の演奏は形になってるしいいんじゃないかと言われてまた弾くことになった。

この前ピアノ伴奏との合わせがあった。
これはいつものことだけど、ピアノと合わせるとすごく集中が増す。
緊張よりも集中。
楽器は一人ぼっちよりも誰かと一緒がはるかにいいなと思う瞬間。

夢の中で会えた恋人と、目が覚めたらまた離れ離れで、それがとても悲しいみたいな、たしかそんな曲で。
イタリア語の歌詞が付いてる曲。(あ、イタリアに伝わる詩をフランス語に翻訳した歌詞か。)
ずっと昔から好きな曲で、それで選んだのだけど。

私にはずっと忘れられない人がいたから、なんだか無意識的にこの曲にたどり着いたような気もしてて。
でも選曲した頃からまた少し時が経ち、その感情が次第に薄れて行って…今はなかなか世界に没入できなくて困っていたりも。

そういえばそのピアノ合わせの日に、楽器の作り手さんがいきなりやってきて私の演奏を間近で聴いてくれていたのだった。
実は私の持っている楽器はその方のご厚意でずっと貸してもらっているもの。
細部に至るまで作り手のこだわりに溢れていて、買うととても高価なのだけど、縁あり「あなたがこの楽器をつづける限り貸してあげる」と言っていただいて。
この方の作った楽器を使ってる他の人は皆、その道の名だたるプロの人ばかりで、そんな中でなんで私の手にこの楽器が、と思う瞬間もあるのだけど。

その方が久しぶりに私の演奏を聴いて、全然下手くそなんだけど、終わったとき拍手をしてくれた。
…ホント下手なんやけどね。笑
前より上手になったねの拍手だと思う。
ちょっと楽器見せてと言われてちゃんと弾いてるかチェックされて(ドキドキした笑)、「これからも大事に弾いてな。頑張りや」と笑顔で言われた。

私の場合はただの趣味にすぎないのだけど、でも…そう言われて嬉しかったな。
ただなんかこの曲、ちょっと悲しい気持ちになっちゃうんやけどね。笑
それでも大事に弾けたらいいなと思っている。

上手な演奏は他にもっとあるけど、この少年の素直な演奏がとても好き。



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