見出し画像

『世界はデザインでできている』

『世界はデザインでできている』アートディレクターとして著名な秋山具義さんによるデザイン論。

「デザインがどのように見られ、どのように機能しているのか、これからの未来はどのようなデザインが求められるのか?」についての考えがまとめられています。

デザインへのアプローチ方法と、それを体現したご自身の実例をセットで紹介しているので、非常に読みやすく参考になります。

自分が一番感銘を受けたのは「新しいものを生むためには、自分らしさが必要になってくる。」というメッセージです。

誰もがデザインできる時代であるから、そこに自分の信念やスタイルがしっかりしていないといけません。

では「自分らしさ」はどのように見つけ出していけばいいのでしょうか?

秋山さんの次のコメントはヒントになります。

「自分らしさというのは自然にでてくるものももちろんあるが、自分自身を振り返ってみてそこから自分のスタイルを発見するということもある。
自分らしさを見つけるために、自分が育ってきたものや好きなものを振り返ること。それが自分のデザインに生きてくる。」

「自分らしさ」を確立するためのルールを明確にしていくのは大事です。

そのルールを決めて、実行をここがけていくことが、その人の個性を結果として形作り、その人自身のスタイルにつながっていきます。

実際、秋山さんも、

「自分はこのやり方のものを必ず1案はつくっておく」というようなデザインのルールを決めて提案していくことで、その他大勢との差別化を図っているそうです。

今一度、自分ならではのルールを意識化して、自分らしさを打ち出していきましょう。

その他、参考になったポイントは、以下に列挙しますので、参考になさってください。

■人に話したくなるデザイン
デザインの中に「誰かに伝えたくなる」という要素をいれることは大事です。誰かに伝えやすいかたちでつくっておく。そのような仕組みを入れると、納得感のあるデザインになります。

・知らない人に言いたくなる仕掛けをつくる
・伝えやすい要素で組み立てる

例)立命館大学のコミュニケーションマーク

決定権のある人たちを納得させる何かが欲しいと思い、思いついたのが黄金比。黄金比は、約5対8の比率で構成され、安定した美観を与える

安定した美観を与えるというものは、見ていても飽きない

インパクトを持たせて目立たせるだけでなく、日常の中に馴染む、
存在感はあるけれど、無意識の中に溶け込んでいるデザイン。
何十年と関わることができるというイメージが黄金比と結びついた。

このような提案をするとそこに納得感が生まれる。
「なるほど」ということを1つ発見すると、デザインのかたちも自然に決まってくる。
デザインをつくる側として気持ちが楽になる

あと、「誰かに伝えたくなる」という作用が働く。

プレゼンを受けた相手が、上司など別の誰かに伝えやすいストーリーで伝えるということが大事。

■行動を促すためのものをデザイン

・対象者の行動をイメージする
・行動するきっかけをつくる

■自分だけが気づいた をデザイン

・気づいたのは自分だけ と思わせる

 気づいた人が嬉しくなるような仕組みを入れる。

■信頼をデザイン

・ブランドイメージを活用する
・「新しいもの」だけでなく、「世の中が求めるもの」を考える

「新しいものをつくる」のと同じように、「みんなが好きなもの」を残していくということも大事。いままで築いてきていたブランドイメージを加えることで、安心感につながる。

■半歩先をデザイン

・その方品は、どこに置かれたいかを意識する
・半歩先をいっているものをつくる

ものすごい新しいデザインというのは買いづらかったりする
少しだけ新しいところを狙う

■これしかない!をデザイン

・デザインが完成した後でも、それをどのように伝えるかを考える
・「これしかない!」と思わせる要素をつくる

■常識を抜け出すデザイン

・常識を疑う
・テーマとなる作品の世界観(イメージ)を理解する

■制約をデザイン

・制約があったほうが考えやすい
・制約がない場合は、自分でルールをつくる

■デザインには「形をつくる」だけでなく、「ストーリーを裏に入れ込む」ことも大事

・ビジュアルだけでなく、デザインには人の行動を変える力がある


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?