弱視難聴の私と映画
楽しく、カジュアルに、弱視難聴の日々を発信しております奈良里紗です。
本日は、映画にまつわるお話です。
10歳のときに、学校で視力D判定をもらってから7年間続いた誤診。
それは私の自己肯定感をさげるには十分でした。
中学生のときは、ホラー映画が流行っていて、リングにはじまり、いろいろなホラー映画を友達とみにいきました。
そして、高校生になるとちょっと大人な雰囲気の洋画を見るようになりました。このころ、まだ、字幕が見えていたんですね。
映画館の一番後ろの席からスクリーンをみて、心震わせるような映画との出会いは本当に刺激的でした。
ところが、このころ、私の視力は徐々に徐々に低下をしはじめていました。
高校1年生のときには、一番後ろで見えていた字幕が徐々に徐々に見えなくなっていったのです。
どうしてだろう?
原因がわからない日々は、映画を心から楽しめなくなっていきました。
映画の物語がよくわからなくなり、映画をみたあとに友達同士で話すのが苦痛でどうやって会話からおいていかれないようにするか必死でした。
そして、17歳の夏。
視神経委縮による視覚障害と診断されたときは、どこかすっきりした気持ちもありました。
原因ははっきりしたけれど、映画はこれまで通りに見えるわけではないという現実が私の心を苦しめました。
それでも、友達と一緒に映画をみにいきました。
どうしてもどうしてもどうしてもあのとき言えなかった一言があります。
それは、
「前の席でみよう」
の一言。
あれから十数年。
時間は私の心を成長させてくれました。
テクノロジーは目の見えない私を再び映画の世界へ導いてくれました。
そして、今ならいえる。
「私は見えにくいから前でみるけど、あなたはどうする?」
と。
そして、今なら聞ける。
「ねぇねぇ、結局、あの主人公は最後どうなったの?」
と。
なぜかって。
目の見えない私も、
かつての私も、
全部、同じ人間として
変わらぬ友人として接してくれる人たちがいるから。
あなたが私を社会の一員として、当たり前に対等に扱ってくれるから、
だから、いえる、きける。
これからも映画を通じて私の世界はどこまでも広がっていくことを楽しみに。
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