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第10回クリエイターEXPOを振り返る。


イラストレーターのならのです。
今週の2021年4月14日(水)〜16日(金)に東京ビッグサイトで開催されました「クリエイターEXPO」にブース出展しました。大型の商談イベントです。

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非常に有意義な3日間でした。今後参加を考えておられる方に向けて、そして自分の振り返りも兼ねて、準備したこと、当日の様子、得たものをお伝えします。

参加を決めたきっかけ

ちょうど1年前の2020年の春、とある出版社にイラストファイルの持ち込みをしに行きました。ファイルを見てくださった編集部の方に「普段どんな風にイラストレーターさんを探しているんですか?」と尋ねたところ、この「クリエイターEXPO」という商談イベントがあることを教えて頂きました。
早速WebやSNSなどで関連記事を検索。実際に「お仕事に繋がった」という声も結構見られたので、参加を決めました。まだまだ駆け出しなので、出来ることはなんでもやってみよう精神です。


目的

出展費は、早割で143,000円(税込)。とても大きい金額です。
何となくの参加は良くないと思い、目的を明確に決めました。以下の3つです。

1.自分のイラストの「商業的な」位置付けを知る。
SNS投稿や同人誌制作などは自分の世界観や趣味を存分に発揮できます。一方で商用イラストとなると、クライアントの求める媒体や用途に合ったイラストを描くことが求められます。前者についてはSNS投稿を続けていく中で少しずつ掴めてきたものの、後者はネットだけではなかなかわかりません。次またイラストの持ち込みをしようにも、自分でイラストの方向性が分かっていなかったのでどの分野に焦点を決めればいいのか分からず尻込みし続けていました。企業の方々にイラストを見てもらえれば方向性も見えてくるし、今後の持ち込みもしやすくなるかなと思いました。

2.ポートフォリオを作るための〆切にする。
ポートフォリオをまとめなきゃ作らなきゃと普段から思いながらもいつも後回しにして新しい絵ばかり描いていました。ただ、クリエポ に参加すると決意すればそれまでにポートフォリオがないと話にならないので、自分を追い込むいいきっかけになりました。

3.仕事の獲得
これは言わずもがなですね。

準備

1.会場で申し込み、下見と見学(2020年10月)
会場で早くに申し込んだ方がいい場所がとれるので、下見も兼ねて日帰りで東京に行きました(当時は大阪在住)。とった場所は「イラストレーターゾーン」。人通りも多く、人気が高いエリアです。事前にWebで入場券をダウンロードすれば個人でも無料で入れます(当時は事前入場券がないと入場に5000円かかりました。)
色んなブースを見て回り、印象に残ったブース、そうでないブース、いいな、欲しいなと思ったパンフレット、そうでないパンフレットの分類をしました。また、なぜ印象に残ったかなぜこの人にならお仕事を頼みやすそうだと思ったのかを考え、整理し、紙に書き起こしました。

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上の文章はほんの一部です。全部足したらA4用紙4枚分くらいクリエポ 下見の感想ビッシリ書いてて、マジで長すぎてビビりました。そのうち有料記事とかで全部まとめようと思います。

クリエイターさんに許可をとってブースの参考写真も撮らせてもらったり、作品集も見せてもらえたりしました。

2.準備開始。コンセプトを考える(2021年2月〜)
下見に行ったことで「どんなイラストが描けるか」ではなく、「自分はイラストで何が出来るか」を明記することの重要性を知りました。まずこのコンセプトを考え、それに合わせてイラストを準備した方がいい。そう思い、しばらくこれについて悩んで考え悩んで考えを繰り返しました。

自分のやりたいイラストジャンルは何か。ある程度絞った方がいいものの、絞りすぎも良くない。そしてその分野でもし描くとしたらどんな価値を提供できるか。それを突き詰めた結果、「楽しくて遊び心のあるイラスト」というコンセプトに決定。キャッチコピーもそのままこれを採用することにしました。


3.メインビジュアルを作る

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キャッチコピー通り、ワクワクするようなイラストを目指しました。
イラストが出来上がった後は、Web告知用の画像も作り、SNSで宣伝しました。

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4.印刷物制作
パンフレット(A5・16P冊子)、タペストリー(幅150cm×縦140cm)、名刺、壁に貼るパネルを用意しました。部数や金額についてはあまり公にしたくないので、そのうち有料記事でまとめます。

5.荷物の郵送
遠方なので印刷所から直送りしました。当日まで現物は見れませんが、一旦家で受け取ってまた向こうに送る、という手間を考えるとこっちの方がいいと思いました。

6.ポートフォリオ制作
ポートフォリオは自宅プリンターで印刷。ギリギリまで作っていました。前半は最近SNSに投稿していたイラスト、後半は実績とこれから受けてみたいお仕事分野に合わせた想定イラストを盛り込みました。

当日の様子

・2021.04.13(火)前日搬入
夕方18時ごろから搬入を始め、20時ごろに終わりました。
初回なので色々反省点もあるかと思い、来年の優先申し込みも済ませました。(お隣のブースの方に、使用後の脚立を譲ってもらったので助かりました。お優しいです。)

・04.14(水)会期1日目

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こんな感じのブースになりました。
パンフレットの手配りはしなかったです。スペースに目を留めてくれた人に「持っていっていいですよ」とたまに声を掛けるぐらいにしました。周りが結構積極的に手配りをする人が多かったのでちょっと不安でしたが、この方がブースをゆっくり見てもらえた気がします。

アルコール消毒液は、運営側が用意してくれました。


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最初は角ブースではなかったのですが、感染症対策で隣の「E-41」スペースとの間に通路ができ、運よく角ブースになりました。


初日から具体的な企画や案件の話をたくさんお聞きできました。Twitterのフォロワーさんにも声をかけていただきました。嬉しかったです。

・4/15(木)会期2日目
この日が一番多く名刺交換をし、たくさんお話が出来ました。
私の場合、ポートフォリオに入れたSNS投稿イラストと想定サンプルイラストのタッチが結構違うので、それぞれ全然別分野の企業の方々から色々ご相談を受けました。

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△SNS投稿イラストはこんな感じの1枚絵。
(TwitterとInstagramに他にも沢山あるので、ぜひご覧ください)

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一方で想定サンプルイラストはこんな感じ。
どちらのタッチもそれぞれ「いいね」と言って頂きました。ブースを見に来る方々が「どんな案件、企画を持っていて」「どんなイラストのタッチを求めているか」は人それぞれ違ってました。本当にそれはイラストを見て実際に声をかけてもらわないとわからないので、少しでもやりたい分野に引っかかるイラストを描いて用意していくことが大事でした。イラストは沢山あるに越したことはないです。

(等身大パネル、大きすぎて運営側に「ちょっと下げて」とお願いされてしまいました。規定のサイズを超えてしまってたようです。次からは気をつけます。)

4/16(金)会期3日目
金曜日が一番多いのかなと思っていましたが、木曜日に比べると少しゆったりめでした。

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パンフレットとは別に置いてあったポートフォリオも、この日が一番ゆっくり見てもらえた気がします。

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タペストリー上の名前の看板には実験的に「元保育士であること」「総フォロワー数7000人超」であることを明記してみました。
保育士だったことは結構多くの人に反応いただき、子ども向けの企画のご相談に繋がることも多かったです。一方でフォロワー数についてはあまり反応はありませんでした。SNSの数値的なステータスよりも「求めているものを描けるイラストレーターかどうか」を見ている印象でした。フォロワー数関係なく純粋に絵そのものを見てもらえるので、すごく心地よかったです。

成果

1.具体的な相談が非常に多かった
ブースの前で立ち止まってくれた方にのみ声をかけるスタイルだったからか、頂くお話も具体的な相談ばかりでした。また自分がやりたい分野のサンプルイラストも用意したので、やりたいジャンルのお仕事の話ばかりですごく嬉しかったです。
2.商業的なイラストの方向性がつかめた
声をかけてくださる企業の業種、企画の種類に似たジャンルのものがあり、自分がその分野に強いイラストであることを確かめることができました。
今後持ち込みやポートフォリオの送付を行う際、どの企業にすればいいかを考えやすくなりました。
3.ポートフォリオが完成した
イベントという名目の〆切はマジで最強です。
4.動画、アニメーションの相談を受けた
自作アニメを映したiPadもテーブルの上に設置しました。同時開催の企業ブースでも動画関連事業が多かったからか、結構目に留めてもらえました。イラストだけでは声がかからなかったであろう企業とも名刺交換ができました。

課題

1.自主制作の絵も、もっとたくさん入れていい
「作家性」ではなく「商業的価値」を出したかったため、SNS投稿イラストよりもサンプルイラストの方を多めにパンフレットに載せました。でも、SNSに投稿していたイラストを気に入ってくれた人からは「本の表紙」「コンセプトアート」「バーチャル背景」など、ものすごくやりたいお仕事の相談を受けました。個性があると強いです。

2.パンフレットの紙がちょっと分厚くて、めくりにくく閉じにくかった
すでにチラシ、パンフレットを手にたくさん持っている状態の方も多く、私のパンフレットは若干ページがめくりにくそうでした。110kg程度の薄い紙の方がめくりやすそうです。

3.壁面の文字パネルは、絵のパネルに変える
人がたくさん歩いているのでゆっくりブースを見る時間はなく、パッと見てイラストで何ができるかをどれだけすぐに伝えられるかが勝負だと思いました。
今回、文字パネルで「保育士」と「フォロワー数」を明記しましたが、イラストパネルにした方がすぐに伝わりやすいだろうなと思いました。

4.ポートフォリオにふせんをつける
「一枚絵」「こども」「ビジネス」「図解」など、イラストのジャンルごとにポートフォリオページに付箋をつけるとスムーズです。
見にくる方がどのタッチを求めているかは聞いてみないと分からないので、ふせんがあると、聞かなくても相手がポートフォリオで求める絵柄を見つけやすくなります。

まとめ

反省点を次に生かしたいため、来年も参加する予定です(再来年以降は多分出ません)
「商談の場」「いろんな企業の方々が見に来る」ということで最初はめちゃくちゃ緊張していました。でも皆さん本当に親しみやすい方ばかりだったので緊張も徐々にほぐれていきました。商用イラストとして気に入っていただけるのは勿論ですが、画集感覚で楽しんで作品集を見てくださる方も沢山いました。嬉しいしありがたい限りです。

自分のイラストの強みが明確になったので、それをもっと活かしたイラストを今後描いていきたいと思います。描きたいものがまだまだいっぱい。

また少し時間が経ったら、費用、具体的な戦略決定、受注件数等をまとめた有料記事も作ります。

TwitterInstagramにイラストを投稿しております。
「COMITIA」に出たり、絵本や画集も作ったりしているので、ぜひ見てみて下さいね。

少しでもこの記事がご参考になったのなら何よりです。



イラストレーター
ならの

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1995年生まれ。
台湾で保育士として勤めたのち、
イラストレーターになりました。

はっきりとした線ながらどこか優しくてあたたかいタッチで、
様々な媒体に「楽しさ」と「遊び心」をお届けします。


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(自作絵本、画集を販売しております)

お仕事のご連絡、ご相談は、narano0902@gmail.comまで。

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