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光る君へ 花山天皇の出家と西国三十三所めぐり

光る君へ 第10話「月夜の陰謀」でついに花山天皇が出家しちゃいましたね…

この一連の事件はのちに寛和の変(かんなのへん)と呼ばれる、まーある種のクーデターですよね。

事件のことを知って見ていると、そうそう、この目論見は成功して、花山天皇は髪をおろすことになり、そして花山法皇になって…ということを落ち着いて見ちゃうのですけど、知らなかったら「どうなんの? この数時間の決行は成功するの? どうなの?」と100倍楽しめたことでしょう…

知らないというのは素晴らしいです。

さて、出家後の花山天皇は西国三十三所の観音巡礼を整備する功績を残しています。

これは元々、平城京ができて数年ののち、死去することになった徳道上人というかたが始まりです。

彼は死後閻魔大王の元に行き、最近地獄に落ちるものが多すぎて困っている。人々が徳を得て地獄に来なくなるようにしろ、との命令を受けました。

ありがたい観音さまの御宝印を授かり、人間界にもどって霊場を定めます。

しかし、当時はあまり普及せず、徳道上人はのちに誰かが広めてくれることを願って中山寺に石の櫃に封印しました。

これを見つけて広めたのが花山天皇なのです。

もしもこの陰謀が成功しなかったら。

花山天皇が出家することなく天皇にとどまり続けていたら、西国三十三所の巡礼というものはこの世に出てこなかったか、あるいはもっと遅かったかもしれません。

観音様の巡礼により救われた人が大勢いることを思えば、今回「裏切ったなーー」超絶おこだった花山天皇も、少しは慰められるかもしれません。


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