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中小企業省力化投資補助事業「カタログ登録サービスセンター」設置

ども、ならなすおです。
今回、法人さん向けの情報になります。
 
ロボットやスチームコンベクションオーブンなど、人手不足を解消する設備の購入が補助される「中小企業省力化投資補助金」、2024年8月9日から、応募・交付申請が「随時受付」に変更になります。
つまり、いつでも申請できるようになります。
 
[公式サイト]

ただし、この制度、
事務局が指定したカタログに載っている製品を、
事務局が指定した販売事業者から、
買わないといけないんですが、
まだ登録された製品カテゴリ、製品数とも、少な過ぎます。
 
このため、事務局が新たに、「カタログ登録サービスセンター」を設け、製品登録を目指す工業会、製造事業者、販売事業者等をサポートしてくれることになりました。
 
この記事では、制度概要を振り返るとともに、
・今後増えて欲しい製品カテゴリ
・なぜバシバシ製品が増えていかないのか
といった点を、個人的にコメントしていきたいと思います。
 
コメントは、ならなすおという「いち中小企業診断士の妄言」に過ぎませんので、その旨ご了承いただいたうえでご覧ください。
 
それでは、本編、スタートです。



(1)制度のおさらい

詳細は、私が以前「中小企業省力化投資補助事業(2024.6.25現在情報まとめ)」という記事で書いたので、ご興味のある方はご参照ください。


①どんな補助金?

人手不足を解消するための設備投資について、事務局が業種や製品カテゴリ-、製品、製造事業者などを指定した「カタログ」を作り、中小企業者が「カタログに載っている製品」を「公式サイトに載っている販売事業者」から購入する場合に、購入資金の最大1/2を補助する制度です。
 
2024年8月7日現在、19カテゴリ、128製品がカタログに載っています。

公式サイト記載内容を筆者加工


②登場人物

この補助金は、登場人物が多いため、難しく感じますが、それぞれに重要な役割を担っています。
 
A.中小企業者
実際に省力化製品を買って、現場で使う企業です。
 
B.販売事業者
中小企業者と一緒になって補助金申請をし、中小企業者に製品を販売する事業者です。
販売事業者になるためには、「カタログに載っている製品を売ってます」という確認を製造事業者からもらい、事務局に登録申請をする必要があります。
 
C.製造事業者
製品を作っているメーカーが、カテゴリごとに製品を登録し、カタログに載せます。
 
D.工業会
製品カテゴリを登録する組織です。
「製造事業者さんの代表」という感じでしょうか。
「清掃ロボット」だと、工業会は「(一社)日本ロボット工業会」さんです。
製造事業者が、「弊社はカテゴリに当てはまる製品を作っています」と登録したい時は、工業会の証明が必要です。
 
E.事務局
事業のルール作り、審査等をやっている組織です。
経済産業省の予算を、中小機構に補助金として支出し、中小機構が中央会に委託して事業実施しています。

③申請要件

労働生産性を向上(人が少なくても生産性を上げることで生産能力をUP)させることが必要です。
補助事業終了後3年間で毎年、申請時と比較して労働生産性を年平均で3%以上向上させる事業計画を策定することが求められます。

現場を監視する彼女
(AIで生成)

(2)増えていくと嬉しいカテゴリ(例)

中小企業さんの現場を見せていただいてきた私が思う、「ここがあると省力化につながるな」と感じるカテゴリです。

①加工機械

工場などで、人が作ったり加工したりしている工程。
人がどんどん少なくなっています。
加工作業を手伝ってくれる機械を「費用対効果がプラスになるような投資として」実施出来たら、現場の大きな助けになります。


②警備システム

人が巡回警備をしているような現場。
どんどん人が足りなくなってきています。
警備ロボットの導入や各種センサーによる「機械警備」の更なる充実を図らなければ、もはや現場を回せない状況だと思います。
工場と違い、現場がクライアント(自社でない)なので、「機械警備システムの設置」といった行為はおそらく補助対象外になってしまうでしょう。
その辺が、本スキームに乗っかるうえでのネックなのかも知れません。


③外観検査システム

以前「中小企業のDX」の「IoT カメラ編」で触れましたが、製品の外観検査工程で活躍していた「神おばちゃん」がこれからどんどん高齢化し、退職していくため、検査の現場が立ち行かなくなる恐れがあります。
まさに、省人化設備を入れていかないとヤバい現場です。


④環境監視システム

食品製造の現場などで、「夜間も温度、湿度などの環境を一定に保たなければならない」現場があります。
中小のそうした現場では、まだIoT投資が行えておらず、人が泊まったりしているケースが少なくありません
IoT投資により、労働生産性が劇的に向上する可能性の高い現場です。


⑤稼働監視システム

工場の機械故障による稼働停止や、工具劣化による生産性の低下などを、システムでいち早く発見していく事で、労働生産性年率3%向上を達成していける現場は、少なくないと思います。
 

食品検査に従事する彼女
(AIで生成)


(3)なんで増えていかないのかな?

このように、省人化投資のニーズがありそうな現場は多いのに、本事業で工業会さんが行う「製品カタログ登録」と、製造事業者さんが行う「製品登録」が、多分事務局さんの当初想定ほど順調に進んでいないのかな、とお見受けします。
それを後押しするために、今回の「カタログ登録サービスセンター」設置に至ったのかな、と。
 
ニーズはあるのに、制度運用がはかどらない時、、、
どこかに「全体の流れを停滞させているボトルネック」があります。
 
私は、この制度におけるボトルネックは、「工業会さんの製品カテゴリ登録」なのかな、と思っています。
 
「外観検査」を例に、説明しますね。
製品を作って、出荷する前の最終検査などで行われる「外観検査」に関係のある工業会さんは、「日本ロボット工業会」「日本光学測定機工業会」「日本検査機器工業会」「日本非破壊検査協会」など、たくさんあります。
 
製品カテゴリを登録したくても、「どこの工業会が動くべきか」が分からないんじゃないでしょうか?
(こういうのを、政策運用業界では「ポテンヒット」と言ってました。)
 
この状況を打開するのは?
すみません、10年以上前の知見で恐縮ですが、「行政の調整」だと思います。
関係のありそうな複数の団体さんに、集まってもらうんですね。
で、製品カテゴリの登録の在り方、各工業会さんの関与の仕方について、意見をもらい、行政が調整役を買って出る。
で、最も関係の深い工業会に、カテゴリ登録を申請してもらう。
事務手間を押し付けるのではなく、「整理して簡単にしたうえで、パスする」イメージです。
 
ごめんなさい。一歩間違えば「やらせ」になっちゃいますよね、、、
でも、民間で「ポテンヒット」が起きている場合、割と行政が「ゴリゴリ」っと動かないと、運用が停滞したままになってしまいます。
 
結果的に中小企業のためになり、工業会の傘下企業にもメリットの出る運用を達成するために、少し力技を使ってもいいんじゃないかな、とか思ってしまいます。
生意気言って、申し訳ないです!

夜間警備に従事する彼女
(AIで生成)


(4)おわりに

カタログ登録サポートセンターは、電話窓口です。
電話番号:03-6746-1530
お問合せ時間:9:30~17:30
(祝日を除く月~金曜日)
 
公式サイトには、
「カタログ登録サポートセンター」は、主に、製品カタログの登録プロセスに関与する工業会や省力化製品の製造事業者をはじめ、販売事業者、中小企業等からの御相談を受け付けることで、製品カタログにカテゴリ及び製品を登録するためのサポートを通じ、製品カタログの充実を加速させていきます。
と書いていますが、中小企業さんが直に電話しても、あまりいい反応は得られないと思います。
 
中小企業さんは、どうすればいいか?
 ↓
これがカタログに載ってたらいいな、と思う製品の販売事業者さんに、話してみてください
 
販売事業者さん
 ↓
「この製品がカタログに載って補助対象になったら、もっと売れますよ!」と製造事業者さんに話してみてください。
 
製造事業者さん
 ↓
カタログに載せたい製品がある旨を、「カタログ登録サポートセンター」に相談してみましょう!
 
このプロセスで、停滞してる運用に流れができ、省力化に資する製品がバンバンカタログに載っていく事に期待したいです。
 
今回も、ご覧いただき、ありがとうございました。

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