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経済産業省「令和7年度予算概算要求」レビュー

ども、ならなすおです。
今回、中小企業さんに関係する情報になります。
 
私が紹介している「公的補助金」に関する情報は、経済産業省系が多いです。
そんな補助金の令和7年度を占う主要情報の一つ、「概算要求」のPR資料が9月4日(水)に公表されましたので、レビューします。

経済産業省の関連リンクは↓です。

https://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2025/pr/ippan.html

 
9月4日の情報を、11日に上げるって、、、
遅いですよね。
 
理由は2つ。
 
・未確定だから
予算要求の段階で、まだ実施されると確定した情報ではないので、急いでアップしなくてもいいと判断しました。
 
・「速報」とか大騒ぎしたくないから
私のお客さんである中小企業さんにおススメできる事業、例えば事業再構築補助金、ものづくり補助金、省力化補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金などは、経済産業省の事業ですが、「補正予算案件」です。
今回の「概算要求」は、「当初予算案件」なので、上記の事業が載ってないです。
それらに匹敵するような「一般的な中小企業さんに使ってもらえる目玉事業」は、私は今回の概算要求の中に見つけることができませんでした。
そのため、「速報」などと騒ぎ立てて目を引くことが、中小企業さんのメリットにならないと判断しました。
 
そんな「概算要求」ではありますが、全く触れないという訳にもいかないので、「私が何を見たか」という所を、ご紹介したいと思います。
少しでも、読者さんの参考になることがあれば幸いです。
 
今回使用画像は、経済産業省の予算関連公表資料からの抜粋です。
 
それでは、本編、スタートしていきたいと思います。



(1)どこを見てる?

まず、私のお客さんとして想定している「中小企業像」を示します。
・従業員50人未満
・スゴイ特許や高価な機械等は持っていない
・営業力や工夫で勝負している
 
従業員が50人以上の、「中小企業でも大きい方」の企業さんは、個人コンサルではなく、コンサルファームのような組織を使った方がいいです。
スゴイ特許や技術を持っているような企業さんは、大学や高専、県の公設試験研究機関などに相談し、技術のビジネス化を図った方がいいです。
こうした「規模の強み」や「技術の強み」を持っている企業さんは、今回紹介するよりも難易度の高い支援制度にエントリーできます
その難易度の支援制度には、それ専用のコンサルさんがいますので、私のような「町医者」「ホームドクター」的なコンサルではなく、専門のコンサルさんに依頼されることをおススメします
 
本稿に私が記載するのは、そうした「圧倒的に強い何か」を持っている訳ではないけれど、頑張って売上を伸ばし、利益を作ろうとしている、そんな企業さん向けの情報です。
 
まず、そんな私が、予算資料のどこを見ているのか、です。


①中小企業庁

経済産業省の中に、中小企業庁という組織があります。
「中企庁(ちゅうきちょう)」と略します。
中小企業庁向け政策の多くは、ここから出されます。
ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金などは、中企庁の予算です。
私は、予算資料では、圧倒的にここを精読します。


②地域経済産業グループ

主に、地域経済、地域産業の発展を目指した政策を立案・実行するグループです。
「地域G(ちいきじー)」と略します。
経済産業省の他の局が「国トップクラス」のレベルの高い案件を集中支援するのに対して、地域Gの政策は「地域トップクラス」の、ちょっと頑張れば手の届くレベルの案件を支援するものがちょいちょいあります。
私は、中企庁の情報を見終わったら、次に地域Gを見ます。


③その他

経済産業省の各局の役割をすごくざっくり書きます(抜粋です)。
時々中小企業さんでも使える政策が出てくる(省エネ補助金とか)ので、見逃さないように一応全部見ます。
 
□経済産業政策局
省の元締めです。
目玉政策やベンチャー向け政策などが時々出てきます。
 
□通商政策局
海外ビジネス向けの政策を実行しています。
 
□貿易経済安全保障局
貿易関連を所管しています。
 
□イノベーション・環境局
イノベーションにつながるような産業技術や、対応が必要な環境問題等を所管しています。
 
□製造産業局
素材産業、産業機械、自動車などの製造業を所管しています。
 
□商務情報政策局
産業のデジタル化などを所管しています。
 
□商務・サービスグループ
商業、サービス業、伝統工芸、コンテンツ産業、ヘルスケア産業等を所管しています。
 
□資源エネルギー庁
エネルギー、電力等の事業を所管しています。


(2)令和7年度当初予算概算要求の抜粋

申し訳ないですが、「これ使えそう!」ってのをご紹介できません
なので、いくつかの政策をピックアップして、「私はこう見てる」というのを紹介します。

①スタートアップ支援事業

経済産業省「経済産業省関係令和7年度概算要求の事業概要(PR資料:一般会計)」より抜粋

イノベーション・環境局さんや経済産業政策局さんが出している事業です。
スタートアップ(起業)を支援する事業ですが、ユニコーン創出支援(ものすごく成長するメルカリみたいな事例を支援)や、ディープテック(世界の課題を解決する技術)、医工連携(お医者さんと製造業者が連携した開発モデル)など、「最先端向けの支援事業」であることが分かります。
 
支援先がこの事業にエントリーできそうな感じだったらお伝えしますが、15年近い支援経験の中で、こういうのに該当しそうなケースというのは、残念ながら出会ったことがありません。


②中小企業活性化・事業承継支援

経済産業省「経済産業省関係令和7年度概算要求の事業概要(PR資料:一般会計)」より抜粋

中企庁の政策ですね。
予算要求額が大幅に増えてます。
しかし、「事業スキーム」という所を見ると、委託先は「商工会議所等」に限られ、中小企業さんに直接補助するタイプの事業ではないようです。
 
企業再生を担当する「活性化協議会」や、事業承継を担当する「事業承継・引継ぎ支援センター」を拡充する必要があるので、予算を増額したい、という事のようですね。


③Go-Tech事業

経済産業省「経済産業省関係令和7年度概算要求の事業概要(PR資料:一般会計)」より抜粋

これも中小企業庁ですね。
ちょっと前まで、「サポイン補助金」と言われていた事業の後継です。
中小企業が担っているものづくりの基盤技術(Supporting Industries)のレベルを上げていくために、研究者と一緒に研究開発して事業化する、というプロジェクトに補助金を出す事業です。
 
すごくいい事業ですが、レベルが高いです。
 
大分県だと、年に1、2件とか、そのぐらいしか出てこないやつです。
なので、県の公設試験研究機関(大分県だと産業科学技術センター)や、中小企業支援センター(大分県だと産業創造機構)に相談した方がいいです。


(3)令和5年度補正予算資料の抜粋

前章の内容だけだと記事としてあまりに申し訳ないので、令和5年度補正予算(今年度(令和6年度)のバリバリ使われている事業)の情報も掲載しておきます。
補正予算の情報なので、年末から年始にかけて出てくるやつです。
令和6年度補正予算の情報も、その頃出ます。
こっちには、読者さんにもなじみがあるかも知れない、「中小企業向け補助金」が出てきます。
まず注目していただきたいのは、予算の規模です。
前章の事業とは違い、1,000億円単位です。
たくさんの企業さんに補助金を届ける必要があるため、額は当然大きくなります。


①生産性革命推進事業

経済産業省「経済産業省関係令和5年度補正予算の事業概要(PR資料)」より抜粋

この事業の中に、「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」「事業承継・引継ぎ補助金」が含まれています。


②省力化投資補助事業

経済産業省「経済産業省関係令和5年度補正予算の事業概要(PR資料)」より抜粋

私が何度か紹介している、「カタログに載った省力化設備を導入すると補助金が出る可能性がある」というやつです。


③省力化等の大規模成長投資補助金

経済産業省「経済産業省関係令和5年度補正予算の事業概要(PR資料)」より抜粋

これも私の記事で何回か紹介しました。
省力化に関係する10億円以上の投資(工場新設など)をする場合に1/3補助を受けられるかも知れない、というやつです。


(4)おわりに

何か最近、「補助金」の話をすると、世間様の見る目が冷たいような印象を受けてしまいます。
先日、中小企業診断士の業界団体の先輩と話したんですが、やはり事業再構築補助金以降、そういう風潮があるようです。
 
ですが私は、声を大にして申し上げたい。
 
使える補助金は、どんどん使いましょう!
正しく申請すれば、後ろ暗いことなど、何にもないです。
むしろ「知らなくて使わなかった」というのは、誠にもったいない。
そのお金、企業の成長に充てませんか?
 
私は、「制度を知らないから使わなかった」というケースを少しでも減らしたくて、補助金に関する記事を書いています。
 
制度を知っていただき、使うべき企業さんに、きっちり使っていただきたいです。
 
皆さんが使える事業の多くは「補正予算」の情報の中に入っています
 
年末年始に、私もきっちり精読して記事を上げるので、是非検討してください。
 
今回も、ご覧いただき、ありがとうございました。

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