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【開発秘話】オリジナル版開発秘話12

灼熱洞窟 ~すでに遺跡じゃねぇ~

灼熱洞窟にまいりました。ここは遺跡全体の構成を考えているときから中盤以降へ進むための壁としての役目が与えられておりました。んで、ガリウスがベースであるし、ロマンシアやらハイドライドIIやら、終盤のデンジャラス感をあおり立てるのに溶岩って言うアイテムはとても便利な訳です。落ちたら死ぬ、デンジャラス!なんか赤い、デンージャラス!………遺跡じゃないな、これ。
そう、アクション的な難所であることは決めて作っていましたが、まさか遺跡にすらならないとは思ってもいませんでした。岩の固まりだし。なんとか背景で遺跡らしさを出そうと思ったものの、どーみても8時だよ全員集合のオーケストラのバックの模様です。
どうしてこんなことになってしまったのか、全く身に覚えがありません。すべて秘書が行ったことです。

そんなわけで、ここだけ~~文明風っていうモチーフがありません。仕掛け的なことからいいますと、まずカギ爪なんてアイテムは当初ありませんでした。ここにあったのは氷のマント。なんと、最下層にいくまでは溶岩に落ちる=死亡な一撃死満載フィールドだったのです。それがあった上で、アンク出現用の錘台の出る溶岩縦穴に意味があった訳なんですが。太陽神殿からの入り口が落下するブロックの上を渡らないと落ちて死ぬとか、何度も訪れるごとにたまるストレスの方が楽しさを上回ってんじゃないかってことで今の形になっています。

ここは敵キャラの担当はサミエルさんでした。この当時は敵の動作とか仕様に統一性がなかったため、プログラマごとにクセというか、違いがあるのです。サミエルさんが作った敵の特徴に、同じ敵でもスピードが違うやつがいます。スピードの指定ができたんです。カコウジュウやキラーロックなんかが部屋ごとにスピード違って嫌らしい感じですやね。もーちろん俺のせいじゃありませーんよー。
そんな感じで、サミエルさんはタイミングをみていくつかのフィールドの敵を受け持っていったんですが、一つやるごとに新たなモノにチャレンジしなければならないのでした。
ここでサミエルさんが面と向かった新モノはルームガーダー。パズスですね。これはパズスがどうこうではなく、サミエルさんの初ルームガーダーなわけで、結構苦労してましたね。調整も結構入ってました。なーに、俺が思いつきで「はいた炎がブロックになるんですよ!きゃはー!」て言ったためです。ほかにこんな動きする敵はいないので独自処理が必要になります。ブロックが博士の上に落ちてくるって言うのも想定されていませんでしたからもう、大変です。最初は殺す気か!って量のブロックを出してました。いやまぁ、殺す気なんでしょうけどね、彼としては。
そもそもなんでルームガーダーがブロックを出すのか。……ブロックを使ってパズルをやるって言うのは、体験版の時から出ていたネタです。で、ここまでフィールドを作っていて、ブロックパズルを有効に使った仕掛けってのがどこにもなかったんです。初期はこのフィールドでグローブが取れてましたが、ここのパズルを解いたらもうブロックパズルをすることがなくなってしまうのです。それじゃーだめだよってことで、このフィールドをアクション&ブロックパズルにしたのでした(ブロックパズル自体をなくせばいいという判断ができないところが小物)。

ほかにも嫌な専用仕掛けとしては横から吹き出す炎。これはもう、カギ爪アクションを覚えさせるために置いたものです。アクションゲームとして何か目新しいアクションを一つぐらい入れたいということで出てきたアイディアです。俺としてはなんとかガリウスや月下の夜想曲と差別化を図りたかったので。最初は三角飛びなんてネタもあったな。

最初はこんな縦穴ありませんでした。カギ爪の操作方法はマニュアルにも載ってないです。これを載せるかどうかを結構悩みましたが、ガリウスなんかでも「UMBRELLA」(注釈:ガリウスの迷宮で短剣というアイテムを取ると、キーボードからUMBRELLAと入力すると画面上のコウモリが全滅するってのがあった)なんて説明ありませんでしたからね。ということでこちらもそのままズバリな説明は入れませんでした。その代わりにイラストとか古文書の絵とか、感覚的に上を押すと掴まるってのが伝わらないかと工夫はしました。カギ爪張り付きジャンプはいっさい説明入れませんでしたけどね。これはやっていれば「おや?今飛距離が伸びたよ?」って気づくだろうと思って。こういう、操作面を自分で発見するって言うのを楽しむ仕掛けな訳だ!
そーいえばこの炎は最初はこの形じゃあありませんでした。ゴボボボボって永遠にのびるタイプでしたが、なんかこれが非常にコナミっぽくない。背景キャラで炎を表現するのはどちらかと言うとT&Eソフトっぽいので、炎はコナミっぽくスプライト表現にしました。せっかく作ったゴボボボ炎はもったいないので産声の間、のびる針として使ってあります。

なんかこのフィールド、広さを感じないよね。一度聖杯石碑までいったらそれまでのルート通らなくてもいいし、鎖ムチなんかのルートも取ったら用はないし。おまけにマップに表示されないぜ、ミステリアスぅ~!をやりたかっただけの隠し部屋も原因かな。

曲はサミエルさんです。あらゆる溶岩要素が混ざった曲だそうです。非常にストレートで、本来ゲーム音楽はこういうものでなければいけないと言う声が俺には聞こえてきます。ボスは俺ですね。エルマックを作曲して、なんかこう作るものいつもぐちゃぐちゃしてて、シンプルなメロディーってのを追求しないと俺だめになるんじゃないかと言う強迫観念に押されてシンプルな曲になってます。1小節にメロディーの音符が2つしかないとか。今までの俺には考えられないことです。コンセプトはガリウスとかシャロムのボスのような、ボスキャラとしての定番を目指しました。 ははは、企画書見ると目ん玉レーザーないんだよね。

- 当時の企画書 ---------------------------------------------------------

出現方法はアンク破壊後、にじみで背景変更(ボスマップに移行)、下からヴィーがず、ず、ず、とあがってきます。
4本の触手はうにゅうにゅ動きながら弾を出します。
ちなみに画面は今のマップとは配置が違います(古い画像から作ってるので勘弁)

時々弱点がにょーーんと伸びてきます。

引っ込み際に弾をばらまきます。
ゴーファーの細胞ステージのボスのような感じです。

このぐらいしか思い付きませんでした。
床下に落っこちたらどうなるか、考えないといけません。

倒すとボスがにじみで消えてマップスクロールが破壊前と同じ位置に戻ってから終了。

盛り上がるのであれば、もっともっと掘り返してみようと思います。