【開発秘話】オリジナル版開発秘話9
巨人霊廟 ~思いもよらぬ人気フィールド~
いろいろと人気ありますね、巨人霊廟。体験版を終えて、遊んでもらった人にも導きの門がLA-MULANAであると焼き付いているわけで、ここでガツーンと全然違うイメージのフィールドをぶつけたいぜ!の精神でとりかかりました。イメージモチーフはインカ。インカというか、東南アジア系とか巨人の石像がなんとなく南米文明ぽいってレベルです。このフィールドも初期に作っているのでこのフィールド専用のギミックがいろいろあります。後半に行くに従って専用仕掛けよりも既存の仕掛けの組み合わせってのが増えてるので。専用イベントって作るのめんどくさいのよ。
現在、巨人霊廟は石碑を読んで石像の関連を推理するタイプの謎解きになってます。これはduplexさんのアイディアで、「導きの門で仕掛け的なチュートリアルが出来たので、次に来ると思われるフィールドで古文書をメインにしたチュートリアルが欲しい」ということになりました。推理させる事を前提に組んであるので、導きから侵入して石碑を読むと、一連の物語の終わりから読む流れになってます。しかし、このストーリー仕立てにするって言うのもマップを作る直前に決まったもので、それ以前に巨人霊廟専用のイベントがいくつか出来上がってました。それが天文柱。これはduplexさんの出したネタで、三つの模様をそろえるとなぞが解けるって言う一画面パズルでした。開発用サイトにネタ出し掲示板ってのが設置されていて、そこに各自が思いついた小ネタをストックして行くと言うものでした。LA-MULANAは初期企画から押すブロックがあったように、もともとは仕掛けのほとんどがパズルになる予定でした。しかし俺がパズル作るの苦手~、だれかやって~と甘えているとduplexさんがぽんぽんネタを出してきました。
これによってこの天文柱を中心にぐるぐるフィールドを巡る作りになっちゃいました。巨人が寝るのもduplexさんのネタだし、巨人ごとに微妙に違いがあり、文献から推理して巨人を選んで足下の仕掛けを解くってのもduplexさん。え?間違った巨人の足下に罠を仕掛けたのは俺ですが。
導きの門で「聖杯は元々巨人霊廟に置かれていた」と書きましたが、「太陽の昇る日に聖なる杯をかかげた」なんてふうにしてました。太陽をそろえると今は無意味に数字が書いてある石碑のある場所に聖杯が出るという謎でした。
2度読んではいけない石碑は体験版では導きの門にあったやつをここに移植しました。沈む石碑とか、くずれる床とか罠イベントを大量に増やした仕様変更のあとにいろいろ付け足してます。
開発初期で、だいたい敵キャラはduplexさんが組んでいたんですが、ここからフィールドごとに担当を決めて、ここではサミエルさんが敵キャラを組んでます。何を出すかって言う案は俺が全部出すんですが、動きの嫌らしさなんかはプログラマ側に丸投げです。サミエルさんが敵キャラ全て担当する初のフィールドだったので、サミエルさんも随分苦労してましたな。導きの門とは違うタイプの敵で満載になってます。ロックハンドなんて最初は上下にも気ままに動いてたしね!
地上で変なノリの店を作ってしまい反省はしていたのですが、遺跡内ギルドも比較的まともな導きの門とはうらはらに、エルギーザ好きな幽霊になってしまいました。遺跡の店はここから暴走を始めます。
ここは背景の石像が実はボスだったー!ていうのが最初に案としてあった為に他のフィールドとは大きく違う所があります。それは空間。他のフィールドに比べて床が少ないんです。ボスも三画面がスクロールする広い空間で闘う予定でした。この妙な広さとBGMが醸し出す空間感がduplexさんはお気に召したようでした。これで気を良くして空間もりもりのフィールドを量産してたらあの人、「ワシは迷路フェチなんですよ」とか言うんですよ。
でっけぇ巨像の形が変わるっていうビッグな仕掛けがこのフィールドの印象を高めているみたいで。なまじストーリー仕立てになってしまった為に、この巨人がいろんな意味を持つようになってしまいました。巨人が母の2番目の子供って設定が出来て、じゃあ長老や賢者は7番目の子、ついでに魚どもが4番目の子にしてしまえ。でもその中で2番目の子だけが妙にはっきりしたストーリーを持つことになってしまった。空の水源作ったのも女神の塔を作ったのもこいつらって事になってしまう。サキトを倒すと涙を流すアブト像、滅びの塔もこいつらが作った事に。あれあれ、話が狂ってきてるじゃないか。フィールドごとに先住民がいるっていう設定だったはずだ!まぁいいや。おおらかにおおらかに。あれ?説明書にマスクマンも先住民とか書いてしまったような。おーらっかにぃー。しまいにゃタイトル画面に4賢者と並んで出てくる始末。完全に設定が一人歩きしてます。止まらなかったのです。
そうだ。今までの話と巨人霊廟のマップを見て頂けるとわかると思うんですが、すでにこの頃から背景で無意味な謎感をだすっていう目標が失われてます。えぇ、すっかり忘れってました。もちろん、この後のフィールドも忘れたまま進む事になります。 体重計はかなり後半になって仕掛けたなぁ。正直、浮いてるよ。
ボスはストーリー仕立てになった事でサキトという名の巨人。お前だけまだ生きてるのかよ。末弟が一番悪いやつってすごいよね。兄さんは未だに北斗の拳のライガとフウガみたいに床支えてるのに。これ作ったのはduplexさんだったかな。このサキトだけはボスキャラの中でアンフィスバエナ以外で速いうちから動いていたボスキャラです。そう、まだゆとりのある頃の産物。おかげでじっくりとパターン構築が求められる嫌らしいボスになってます。弱点やその狙い方もヒントなしだからね。この辺、会議で色々話してわからせる工夫をしてました。先攻版の段階で文句がつけられないぐらいしっかり調整されていたボスです。他のは急ぎでしたよー。
曲はやっとこ俺の出番。バングラっていうアラビア音楽からネタを頂きました。インカ全然関係ねぇし。この曲、知らない所で人気あるみたいなんですが、なにぶんにも随分初期に作ったもので最早自分が作った曲に聞こえません。もういい、作曲者アブトで。この曲のMIDIアレンジで変に民族系の音作りに凝ってしまったもんだから、他の曲もMIDIに凝らなきゃな流れが出来てしまいました。こりゃ俺が悪いな!あやまらないけどね!ボス曲はサミエルさん。MIDIアレンジはサミエルさんが不在だったので俺が。なんかサミエル曲なのに変に俺好みだ!どういうことだ!ずんずんずんずんぶわーぶわーぶわー。ちきしょう。ハイドライド3のラストダンジョンみたいでかっこいいじゃないか!お株、絶賛奪われ中。 じゃ、締めにボスの企画書。
- 当時の企画書 ---------------------------------------------------------
まずここがアンクの位置。かなり上の方になるのでアンク崩壊イベントがどうなるか不安ですが。
イントロ中に背景が消え、消え終わったら腕を振る。
アンク崩壊中にジャンプで逃げてもいいですし、ボスの第1挙動が腕振りなので投げ飛ばされてもいいですし。
背景は真っ黒ですが赤い柱ぐらい残してもいいかもしれません。
とりあえず、この通り巨大で頭が弱点などには出来ないので全身弱点の予定です。
サブは不可。あるいはここで取りたての投剣ぐらいならまだ持ち数が少ないので効果があってもいいかもしれません。
他に考えられるのは、背景消える前の右側にある床。これに梯子を付けて…でもボス戦自体別物になっちゃう。
がこん。足が伸び、
がこんがこん。腹が伸び腕が伸び、
首が伸びる。
戦闘開始。
歩きパターンはこの3つ。2キャラ分ずつ進む事になるかな?
ぴったり接地している足がどのパターンでも同じ形してますんでそれを基準に移動です。
動きはグラディウスのカニぐらいのスピードでしょう。あとずさりもします。
一歩動くたびに衝撃で天井から瓦礫が落ちてきます(3つか4つ)
第1の攻撃。右腕をつきだした後(足の形がこれでしかつくってないので足がこの形の時のみ攻撃できる)、
エネルギーをため、ぼわぼわ光る弾を3回発射。
つきだして間があり、かしゃん!と開く感じがいいですね。
間隔はぶわぉん。ぶわぉん。ぶわぉん。ぐらい。ジャンプでよけられるように。
同じく左腕にも攻撃があります。
右腕同様につきだして間があった後、
サイコミュハーンド!
ぐ…アニメにするとマヌケだ。
戻る時はなんというか、掃除機のコンセントを巻き取るような…
倒した後は頭から網消えで崩壊した感じが出ると思う。崩壊用のパターンを作るのはきびしい。
盛り上がるのであれば、もっともっと掘り返してみようと思います。