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【開発秘話】オリジナル版開発秘話5

そしていきなり方向転換するよ ~そして完成へ~

※すでに公開されていないオリジナル版の開発秘話を公開していきます。
今となっては伝わりにくい部分などは修正・補足を入れてあります。
今回のものは、制作時間が長くかかりすぎていたために本来の完成形(おまけ要素を入れる程度だけど)に達していない状態で公開した「先行公開版」の頃の話です。だとおもう。おぼろげ。

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年をまたいで出来たとこまでテストプレイ。ボスもいないし溶けない、じゃなくて解けない部分もあるのでデバッグモードのまま進めます。これを行って俺の中にやばーーーいもやもやが生まれました。
「ひょっとしてこれ、長いだけでおもしろくないんじゃないの?」と。

それに関しては、まだ謎解きが完成してないので古文書などは半分以上置いてないからってのもあるんですが、なんというかこう、LA-MULANAのキモは?と聞かれてもうまく答えられないような。これは二人と話してみても似たような意見が出て、ゲームのコアになる物が乏しい、遺跡感が薄いとか出ました。
なんでこんな事になったかというと、理由はわかってるんです。「なんとなくガリウス」のまま作り続けてた以外の何者でもありません。この段階では2004年春には公開の予定でした。しかしこのままじゃなんかまずい気がしてならない。うーむ。

そこで会議開始。まずは遺跡感というか全体に漂う雰囲気の統一。二人は遺跡の古さが足りないと言ってましたが、俺はこれを無視しました。だってマップ書き替えるのめんどくさいんだもの。マジマジ。
とりあえず、誰も入った事のないはずのエリアに白骨死体がごろごろしてるのがおかしいってことで、裏面や封印されてたような所から骨を削除。バランス調整もかねて、初期フィールドの謎の絡みを再考察。アイテムの配置変更、値段変更。骨がなくなった事で隠し要素のロムの配置全部変更。

もういっこ。この会議をする前にこのヤバさをなんとかしようと俺なりに考えてました。そんで初心にかえろうと憤死確定さんの体験版攻略ページを眺めてました。面白いページで、どこにつまづいたか、どういう行動をとったかとかまで書かれてて楽しく読んでました。背景の丸をしばいたり、壁をしばいたり……「ふはぁー、そこには何もないぜぇ!」とニヤニヤしながら眺めていたら電球ピコーンと来ました。

「謎解きゲームでよくあるこの手当り次第に探る行動、これを封じたらどうなるか?」と。

説明書のあとがきにも書いてますが、ひらめいたら話は早い。露骨に怪しそうな壁には天罰、落とし穴、崩れ床、落下する壁、沈む石碑、飛び出す針…今まで何もなかった行き止まりのような所にこれらを一気に仕掛けました。謎も何もない部屋をいじくり回してほぼすべての空き画面に罠を仕掛けました。迷いの門の針のある縦穴とか、氷のマントなしで溶岩にダイブとか、上のルートから死滅の間に入ると明かりが灯せないとか、もともとそういうヒントを無視すると痛い目にあう箇所は最初からありました。これを強化した訳ですね。場合によっては一撃死トラップも置きたかったんですがこれはゲームが長いので没にしました(唯一、産声の間の針天井だけ残ってます)。
「この手の謎解きゲームで手当たり次第が出来ないのは斬新じゃねーの?カラカラカラ。」とノリノリになりました。ヒマがあれば罠を仕掛ける毎日。

おっしゃー、ゲームの流行に逆らう不親切投げっぱなしゲームだ!かっこいいぜ!作るぜ!な勢いでしたが、このへんから開発陣がぱらぱらと時間が取れなくなってました。誰かが抜けて復帰すると他の人が抜けて…ってのがしばらく続きましたな。とはいえ一人でも進められる物は山ほど残ってたんですがね。曲とか。ちょっとしばらくLA-MULANAから離れ気味になってたりしましたが、思い出しては通しプレイをしてみて、無限回廊を丸ごと作り替えたり、太陽神殿にスフィンクス置いたり、未だ手つかずだった女神の塔、産声の間、次元回廊やムニャムニャ~なフィールドとか作り込んでいってました。産声はさらに全体作り直しとかしたな。

そして知らぬ間に2005年がやってきました。その時やっと3人がすべてレディーゴーな感じにうまい事なってました。「この間に完成させて公開しないとヤバイ」と、かなり駆け足で進めました。女神の塔以降はそのため練り込みが少し甘い所があったりしたんですが。
ボスも巨人は仮で動いてましたが、残りのボスもこの期間に一気に進めましたね。間を空けての開発再開だったもんで、改めて見ると甘い所も結構見つかるもんで、
「できるだけ現状出来てる物で組みましょう」という戒めを無視して
「この部屋にこういう仕掛け作って」
「ここの仕掛けもったいないからこっちのフィールドに移植して」
「ここの謎?まだ考えてません」
「この中ボスつまんないからこれに変更」
「今思いついたからこの雑魚キャラ追加」
と、なんか何も考えずに進めてた気がしますけど気のせいでしょう。俺は精神的貴族なので何をやっても許されるはず。このときに6月に公開とかいいつつしばらくシカトぶっこいてたのは多分、俺のせいだけど。

そしてボクたちの夏。この間に今度こそ完成だぁ!と何度も言った言葉を胸にラストスパート。次々とボスキャラが動き始めます。「何これ!」という攻撃が追加されていても直す時間はありません。放置。
2年の間、空っぽだった次元回廊や産声の間がにぎやかになっていきます。なんとなくGR3全盛期のノリが戻ってきてますよ。進め!一瞬!だけど閃光のようにっ!…おっと、ここで浮かれちゃいけないのがボスの役目だ。パーティーの中で常にクールでいなくちゃならねぇ。「GR3中間デモ追加事件」(追記:開発終盤に中間デモがいきなり追加され、それに伴うボスの追加、システムの追加など作るものが増えてしまった事件)のような事があっちゃならねぇ。誰かが暴走したら俺が止めるんだ。しかしそれでも暴走するやつは出てくる。ウチらの良い所とも言えるんだが。この期に及んでアホやらかすのは誰か。はーい、ぼっくで-ーーーす。

サミエルさんから発注の品が届いたんです。何年か前に発注してたらしいんですが覚えてません。品は「ダメダメファンファーレ」。失敗したときとか、罠が発動する時に使う物らしい。なんで今頃こんな物が!と、アムロの親父の秘密メカみたいに投げ捨てようかと思いましたが、一応設置してみるとなんだかよい心地。しかし遺跡全体を眺めてみても、このダメダメファンファーレが流れる場所が数カ所しかない。もったいない。

しかたないよな。

これはもっと罠を増やせってことでしょう。公開5日前にして。二人がバグつぶしにヒーヒー言ってる間に最後の執念でマップの隙間に仕掛け尽くしました。
できたてほやほやの裏面あたりにこういう仕掛けが少ないよなぁって思ってた所だったのよ。ということで、野ざらしアンクジュエルとか、落ちてるお金とか、裏面まで来てるのに宝箱の目の前に錘台とか。すでにイベントを駆使して作った。duplex長老さえ「どうやって組んでるのかわからない」仕掛けを編み出すトラップおじさんになっていた俺様、あらゆる罠の組み合わせで瀕死ギリギリまで追い込む素敵な罠が出来ました。時間があればもっと置きたかったがね。 でも公開1日前に二人に内緒で隠れキャラを2体仕込んでおいたよ。

このサイトでは誰が見てるかわからないうちからカウントダウンを開始してました。ついに公開の日、公開の時間…は守られませんでした。2時間ほどはみ出しましたか。ちいさいじいさんが「もうちっとだけ続くんじゃ」とか言い出した後のこのていたらく。何をしていたかというと、最後にバラバラに製作が進んでいた各ボスの体力を羅列してもらったんです。そこで公開リミットの12時。ついに勃発、第4回「ネットの回線にもぐってお前のパソコンから顔出してやるぞコラァ!」論争です。ボス難易度論争。これもヘボゲーマーの俺と、アクションゲームは死んでナンボの二人の対立。正直、ヴィー以降のボスは2、3回しかまともに闘ってないです。ホントギリギリでしたから。もう俺の印象は「だれが倒すんじゃ、こんなもん!何、この極太レーザー!」ってな感じです。確かに特定武器で接近戦を挑めば瞬殺可能だったりしますが、ヌルゲーマー達の為にも俺がサブウェポンでも倒せるレベルに抑えなければ!と奮闘しました。結果、実は攻撃のダメージがたいした事ないとかバランスに問題のあるボスがいくつか残ってしまいましたが。この辺は完成版でもう一度調子に乗って、皆様を殺しにかかろうかと思います。

盛り上がるのであれば、もっともっと掘り返してみようと思います。