初めてのTRPG。あの日のGMは実は…
今から4カ月ほど前、とある先輩から「TRPGをやってみませんか?」と誘われ、初めて「テーブルトーク・ロールプレイングゲーム(TRPG)」というものに触れました。
そもそもTRPGってなに?
テレビゲームのRPGと同じく、一人ひとり、ある物語の役を与えられ、仲間と一緒に敵を倒したり、問題を解決したりするのですが、そこに「T」がつくと、ごくアナログに。仲間同士で実際に会話をしながら、サイコロを振り、物語を進めていくことになります。
テレビゲームのように、コンピューターが進行してくれるわけではないので、ゲームをするには「GM(ゲームマスター)」と呼ばれる進行役の人が必要です。
つまり、一緒にプレイしてくれる仲間、ゲームを進行してくれるGM、みんなが集まれる時間と場所、という条件が揃わないと始められない、かなり贅沢なゲームなのです。
全力で楽しみたいなら、少々準備が必要
というようなことを知らず「初心者でもOKならぜひ!」と気軽な気持ちで参加。「ジャンルはどうしますか?ホラーとかファンタジーとか色々ありますよ」と聞かれても、よくわからないので「初心者向けなら何でも大丈夫です!」とお返事。
「晩ごはん何がいい?」「おいしかったら何でもいい!」みたいな乱雑な返事をしたわたしに心優しい先輩は、TRPGの中でも特に人気のある「ソード・ワールド2.5*」というファンタジーものを用意してくれました。
一緒にプレイしたのは、わたしを含め5人。プラス進行役のGM。
「エルフ」、「ドワーフ」といった用語に「???」となりつつも、自分の役を選び、「この局面、あなたはどうする?」という選択の連続に脳をフル回転させながら、数時間後、なんとか無事エンディングに辿りつくことができました。
そして思いました。
全力で楽しむには、ファンタジーの基礎知識をつけとくとか、そういう何かしらの準備が必要やったな…と。
落語や講談を1本聴いたような満足感
ファンタジーの素養もなく、普段テレビゲームもボードゲームもしないド素人のわたしが、あの日、お昼から夕方までの長丁場を乗り切ることができたのは、ひとえに「GMの語りがおもしろかった」からに尽きます。
「今、ここでは村のお祭りが開かれています」といった導入から、ちょっとしたお祭りの描写があり、わたしの頭の中にイメージが広がっていく。そこでアクシデントが起こる。「さあ、あなたはどうしますか?」。
ここでGMはいくつかの選択肢を提示するのではなく、各プレイヤーに自由に答えさせてくれました。特にTRPG初心者のわたしはトンチンカンなことも多々言ったかと思うのですが、「それもいいですね」とお話を進めてくれる。
でも、あまりに世界観に合わないことを言ったときには、やんわりとアドバイスをして沿う形にしてくれました。(たとえば、サザエさんの世界でわからないことがあったとき「スマホでググる」はNG。「じゃあ、裏のおじいちゃんに聞いてみましょう」みたいな感じ)
そして、サイコロの出目によって、その成否が決まり、話が続いていく。
大元のシナリオはあるにせよ、かなりの自由度の高さ。それを時間内に参加者の満足のいく形でひとつの物語にする話術。GMすげぇ!マジすげぇ!!!
まるで大作の落語や講談を1本聴いたかのような満足感を得ることができました。
あの日のGMにもう一度、会いたい…
と、それもそのはず。この日のGMは 、今プレイしていた「ソード・ワールド2.5」を制作したグループSNEに所属し、たくさんのTRPGのデザインに携わっているゲームデザイナー・作家の友野詳先生だったのです!
なんだこの「近所の公民館で落語会あるっていうから、サンダル履きで行ってみたら桂米朝が出てきた」みたいな豪華さ。
惜しい!惜しすぎる!!もう少し勉強していけばよかった…。
そして後日、「あの日はゲーム終了後、そのまま解散になったけど、あの後、友野さんにTRPGについてもっとお話を聞いてみたかったです」と言ってみたら、なんと先輩が友野さんとオンラインでお話する機会を設けてくれたのでした!
と、その時の話は…次回に続く。
*ソード・ワールドには、「ソード・ワールドRPG(1989年)」と「ソード・ワールド2.0(2008年)」と「ソードワールド2.5(2018年)」の3つのバージョンがあります。私たちがこの日プレイしたのは「ソード・ワールド2.5」でした。
※こちらの記事は、友野先生のご許可をいただき、ご本人による確認を経て、掲載しております。
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