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「あたしは柴犬のアキ」37

「アキちゃん、噴水の公園に行くわよ」
「モモちゃんやる気満々ね。あたしも張り切っていくわよ」
あたし達は今日もジョンの捜索。手がかりが掴めたので二人は元気いっぱい。ミーちゃん達を誘いに時計台に行った。でもミーちゃんはいなかった。
「ミーちゃんはジローと噴水公園に行ったよ」
他の猫ちゃんが教えてくれた。

 噴水公園に着いた。ミーちゃんとジローがいた。
「どう、ジョンは来た?」
「ううん。この辺りのお家の中も入ってみたけど見つからない」
「ミーちゃんもジローもありがと」
あたしとモモちゃんは公園の草むらに隠れてジョンを待った。
暫くすると大きな白い犬が現れた。
「ジョン、ジョンだわ」
飼い主に見つかるといけないのでモモちゃんは小さな声であたしに話した。
あたし達はジョンをジッと観察した。ジョンは何やら地面を匂っている。
ジョンがリードをグイグイ引っ張ってあたし達の方に向かってくる。
「おいシロ、どこに行くんだ」
ジョンの今のお家での名前は「シロ」なんだ。
ジョンが草むらに入ってきた。そしてあたし達を見つけた。
「何してるの?」
ジョンはびっくりしてあたし達に話しかけてきた。
少し後ろに隠れていたモモちゃんが前に出てきた。
「やっぱり。匂いがすると思ったんだ。会えて嬉しいよ。ほんとに嬉しいよ」
「何日も探したのよ。この子はアキちゃん。友達よ。私は今モモという名前なの。あなたはシロなのね」
もっと話したかったけど、シロのパパさんが話しかけてきた。
「君たち首輪をしているね。お家があるんでしょ?こんなところでウロウロしていると保健所に連れて行かれるよ。この子も保健所にいたんだよ」
保健所と聞いてモモちゃんは表情を失った。そうモモちゃんとシロがいたところが保健所なんだ。モモちゃんは何かを思い出したかのように急に走り出してしまった。

「モモちゃーん待ってよ!」あたしも後を追いかけた。
家の近くの曲がり角でモモちゃんの追いつきそうになった時、バイクが出てきた。
「キャーーン」あたしはバイクとぶつかった。後ろ脚が痛い。あたしの鳴き声にモモちゃんがびっくりして帰って来た。バイクはそのまま走り去った。
「アキちゃん大丈夫?」
「モモちゃん後ろ脚が痛い。痛いよう」
モモちゃんはあたしの後ろ脚を舐めてくれた。
「歩ける?」
「うん歩ける」
「じゃお庭まで見送るわ」
モモちゃんはあたしのお庭までついてきてくれた。
「あまり動かさないようにして小屋で休んでおきなさいね。後でまた見に来るね」
「うん」
あたしは小屋に入って横になって休んだ。隣のおじいちゃんが呼んでいる。でも小屋から出る元気がなかった。そのうち気が遠くなってきて寝てしまっていた。

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