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「あたしは柴犬のアキ」36

 次の日になった。お出かけできる時間になってモモちゃんがやってきた。
「昨日見てたわよ。前に話していたのんちゃんって人が来てたでしょ。サクラって呼んでたからわかった。アキちゃん大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。ちょっと寂しかったけど今の家族が幸せにしてくれているからね。逆にあたしは今幸せなんだってよく分かった。家族のみんなにありがとうって思ったよ」
「それは良かったわね。アキちゃんは幸せね。家族も優しいし隣の家の人も優しいし、お向かいの家の犬も優しいし」
あたしとモモちゃんは大笑いした。

 さあ、今日もジョンの捜索活動開始!っと思ったら猫のミーちゃんとジローが走ってきた。
「あなた達大変よ。隣町の猫がジョンって名前の白い大きな犬を見つけたって。いつも男の人と噴水のある公園をお散歩してるって言っていたわ。場所もちゃんと聞いたから行って見ない?」
「ありがとうミーちゃん。行く行く。アキちゃんも行くでしょ?」
「行く行く」

 あたし達は四人で歩きだした。あたしとモモちゃんが人に見つからないように、先にミーちゃんとジローが歩いてくれて、誰もいなかったら目くばせでサインを送ってくれたので安心して隣町まで行くことができた。
 噴水のある公園はすぐにわかった。ジョンみたいな犬はいないか探したけど見当たらない。だいぶ時間が経った。
「アキちゃんもう帰ろうか」
「うん。明日から毎日来ようね!きっとジョンが来てくれるわ」

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