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はじめに

プログラミングは孤独で地道な作業です。自分が作成したプログラムが,まったく動いてくれない,あるいは思い通りに動かないということは日常茶飯事に起きます。
このうまく動かない状況を,プログラムにバグがあるといったり,プログラムにエラーが発生しているといったりします。プログラムがうまく動かないことをバグ,英語で虫(BUG)というのは,最初に作られた当時の巨大な計算機がうまく動かない原因を探っていったら,機械の中に入り込んだ虫の仕業だったというのは,有名な話です。

「バグ」という言い方はプログラミングをするユーザーがどうすることもできないシステム設計上の問題点も含んでいることがあるため,この書籍では,プログラムがうまく動かないことを「エラー」と呼ぶことにします。

今までのプログラミングを学ぶ書籍では,さまざまなサンプルプログラムを示し,それを実際に自分で入力してみて動かすというのがほとんどでした。これをプログラミングの世界では写経と呼んだりします。サンプルプログラムを自分で入力して動かすというのはプログラミングを学ぶ上でよい方法です。しかしそれだけでは,最終的に自分で考えたプログラムがうまく動かないときに,なかなかその原因がわからず途方に暮れてしまうことが多いのです。

このマガジンでは,あらかじめよくある「エラー」プログラムを示して,その原因を考え,エラーを修正することを通して,より深くプログラミングを学ぶことを目的としています。エラーが発生する原因は複数あり,その原因を学ぶことはプログラミングを学ぶ上でとても役に立ちます。

プログラミング環境として,小学校や中学校で多く用いられている「Scratch」を取り上げます。
Scratchは,ブロックを組み合わせてプログラムを作成するビジュアルプログラミングです。そのため,命令の入力間違いや文法間違いなどが発生せず,エラーの少ないプログラミング環境です。
しかし,その反面,他のプログラミング環境のようにエラーメッセージが表示されないことから,うまく動かない原因が逆にわかりにくいとも言えます。
エラーの原因を学ぶことは,プログラミングの学習における児童生徒の思考過程を考えるヒントになります。上手くできない児童生徒への解決の見通しを示す上でも,とても役立ちます。各問題の最後に注意すべき点をポイントとしてまとめましたので,参考にしてください。

また,すべてではありませんが,各問題に発展課題を用意しました。
エラーを修正するだけでなく,元のプログラムをさらに改良することで,より深く学ぶことができます。

このうまく動かない状況を乗り越えた先に,プログラミング初心者から中級者への道が見えてくるはずです。

#プログラミング  #Scratch

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