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スネでブーツのタングを押すには!?

後傾にならないように「スネでブーツのタングを押すって」聞いたことがあると思います。しかしスネで押しても後傾してしまう話を聞きます。今回はレッスンでいただいた質問をもとに、僕の考えを回答します。

なぜタングを押しても後傾してしまうのか?

スネでブーツのタングを押した時に、つま先で踏ん張ったりカカトが浮いてしまう感覚がある人は後傾になります。
なぜなら、つま先に重心が移ることで前加重になりますが、その状態では前のめりになってしまいます。そのためお尻を落としたり、骨盤を後傾させて重心のバランスをとるので後傾になってしまいます。

すねでタングを押す1

お尻が落ちると速い動きに対応できなくなりますし、骨盤が後傾してしまうと体重の大部分を占める上半身の重心が後方に移るので後傾してしまいます。上半身は常に斜面に対して垂直が基本です。

タングをスネで押すときは踵を踏む

つま先に踏ん張ったりカカトが浮いてしまう人は、まず踵を踏みましょう。しかし踵を踏むと後傾になってしまうというイメージがある人もいると思います。

この時に超大切なことは足首を曲げることです!!

踵を踏んでも足首が曲がっていれば後傾にはなりません!!
「足裏がインソール全体にべったりフィットする」と表現する人もいます。

ちなみに僕はよく言われる「スネの圧を感じる」ようには押しません。
足首を曲げることで、結果的にスネで圧を感じます。
なぜなら「スネでタングを押す」と意識すると、足首が曲がってなくても押せてしまうからです。前述どおり、足首が曲がっていないと後傾になり安いですし、後傾を防ぐため上体を被して代償するので、前のめりになってしまいます。

ですので、足首を曲げる感覚や、踵でしっかり地面を踏んでいる感覚はとても重要です。コブの中ではシンプルに足首が曲がっているイメージだけでいいです。

足首を曲げる=スネの圧を感じる=ブーツのタングを押す すべて同じです!

すねでタングを押す2

スネで押すと痛む方(通称スネキチ)

スネキチの原因の多くは後傾です。滑っている時にブーツの後ろが支点となってスネのスジが伸ばされて炎症が起きるためです。そして炎症が起きている状態でタンを押すので痛みます。
押すから痛むと思われがちですが、それならトップ選手はほとんどスネキチです。解剖学的に足首は約20度しか曲がらないので、押しすぎて痛むことは考えにくいです。

硬すぎるブーツの方は足首を曲げられません。一時的な措置としてパワーベルトや第4バックルを緩めて足首を曲げれる状態にしたり、スネ当てで炎症部の点接触を面接触にすることで改善することもあります。

自分自身もモーグル選手時代スネキチに悩んだ時期がありました。当時は鎮痛シップで誤魔化していましたが、再発を繰り返していました。

スネキチ

<おまけ>足首が曲げやすいブーツ

足首がしっかり曲がるブーツが重要なことはわかっていただけたかと思います。

ずばり私のオススメは「FTブーツ」です!
通常のオーバーラップ型2ピース構造のスキーブーツに比べて自然に足首を曲げれます。

2ピース構造のブーツは足首を曲げた時に足の甲の部分が膨らむように歪んでしまい、フィット感や横方向の ホールド感が失われてしまいます。そのため不安定になってスキーコントロールが難しくなってしまいます。

一方、 FTブーツは3ピース構造なので、足首を曲げる動きはタング、横のホールドはシェルと、動きとホールドの担当が独立しているので、膨らむように歪みません。そのため足首を曲げてもフィット感や横方向のホールド感は損ないません。
またピッチの細かい尖った硬いコブや、エア台の進入時の圧にバランスを崩さずに耐えられるように技術レベルに合わせてタングを変更することで、フレックスを調整することができます。さらに足入れしやすいのに加え、軽くて暖かいので全てのスキーヤーにオススメします。

元モーグルナショナルチームの某選手は、当時オフィシャルサプライヤーの関係から他メーカーのブーツを履かなければならなかったのですが、硬めの2ピース構造のブーツに切れ込みを入れて足首の曲げ方向の剛性を落とすことでブーツが歪まないように改造して、3ピースに匹敵する足首の動きと横方向の剛性を作っていました。

圧倒的にモーグルの使用率が高いのでフリースタイルのイメージがありますが、ライケルというブランド名だった時代はアルペンスキーの歴代のオリンピアンも使っていました。
4バックルのブーツを使用している方が懸念されることとして、第一バックルが爪先寄りに無いことかと思います。確かに初め指が動きすぎて不安になるかもしれません。しかし、後傾になった時は指を掴むように踏ん張ったり、加重や衝撃でアーチが潰れて爪先は動くものですので、ある程度のゆとりは必要です。しっかりと成形してもらったFTブーツは第2バックルでしっかりと踵をホールドできるので、何回か滑れば異感覚も慣れてしまいます。

試し履きの機会がありましたら、以上の点を考慮してブーツの動きをチェックしてみてください。

熱く語ってしまいましたが(笑)自分はFTブーツの販売していないのでお近くの販売店などにお問い合わせください。 また質問などありましらお答えします。少しでも皆様の重要なブーツ選びの参考になれば幸いです。

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